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被災者支え必死の治療 益城町の医療機関

2016年05月07日 20時42分36秒 | 地域
被災者支え必死の治療 益城町の医療機関
2016年5月6日 (金)配信熊本日日新聞

 熊本地震で甚大な被害を受けた益城町の医療機関が、地域医療を守り抜こうと奮闘している。今も水道が復旧せず、レントゲンなどの医療機器も使えないが、「地元の患者さんのために」と必死の診療を続けている。

 上益城郡医師会によると、同町内の17医療機関は建物が損壊するなどし、2日現在、半数以上が医療機器の故障などで通常診療ができない状態。6施設は新規患者の受け入れができないという。

 「地震の時はどうでしたか」。2日、益城整形外科医院(同町安永)で、山本正昭院長(67)が男性(77)に優しく声を掛けた。本震で転倒し、左手の薬指を骨折した男性は「これぐらいは不幸中の幸い。避難所は応急処置しかできず、かかりつけは安心できる」と笑顔を見せた。

 同医院は地盤沈下のため、応急危険度判定で危険を示す「赤紙」が張られたが、専門家の診断では建物に大きな被害はなかったという。上下水道も破断したが、飲料水などで器具を洗浄するなどしてカレンダー通りの診療を続けている。

 4月14日夜の前震後、診療ロビーはけが人や避難者であふれた。翌日未明まで山本院長は懐中電灯を手に診療を続け、入院患者を別の病院などに移送した。

 本震で院内の被害は広がったが、今も毎日約60人の診療を続けている。山本院長は「ほとんどが避難所から通ってくる患者さん。通常の半数ほどに減り、来ていない方が心配」と表情を曇らせる。

 同医院から入院患者を受け入れたさくら病院(広崎)では、ほかの医療機関の透析患者も引き受ける。前震直後は、高齢者施設の避難者も受け入れた。

 昨年9月の建て替えで専門家に「近くに断層がある」と指摘を受け、耐震強度を上げた結果、被害はほぼなかった。人工呼吸器が必要な患者や透析患者らが多く、柴田美貴子事務長(65)は「自分で動けない方も多い。被害がなくてよかった」と胸をなで下ろす。

 かかりつけ患者の容体変化が気掛かりな医師もいる。おがた整形外科(福富)の緒方博司院長(56)は「膝や腰の痛みを訴える患者が多い。窮屈な避難所生活の影響だろう」と心配する。

 どの施設も職員自身が被災者でもある。自宅兼医院が被災した永田内科医院(福富)で事務を担当する永田昭子さん(70)は、4月末まで避難所暮らし。職員6人のうち4人は自宅が全半壊した。それでも、次女の美与院長(45)を中心に診療を続ける。永田さんは「患者さんがいる限り医院は閉められない。規模を縮小してでも続ける」と力を込めた。(林田賢一郎)
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「飢え死には残酷」 主治医、葛藤も 「私たちの最期は」「延命治療どこまで」

2016年05月07日 20時35分31秒 | 医療情報
「飢え死には残酷」 主治医、葛藤も 「私たちの最期は」「延命治療どこまで」
2016年5月6日 (金)配信共同通信社

 「口から食べられなくなったらそのまま逝くというのは、飢え死にするということ。それはやはり残酷だ」

 チューブで栄養を送る「胃ろう」を付けて97歳で亡くなった前田キヨ子(仮名)が入院していた高知市の療養病床、上町(かみまち)病院。院長の田中誠(たなか・まこと)(71)と、キヨ子の主治医だった広瀬良江(ひろせ・よしえ)(68)=仮名=は口をそろえる。「病院に来た以上、『何かしてほしい』と期待されているのだろうから、何もしないわけにはいかない」

 終末期の胃ろうには「単なる延命にすぎない」と見直しを求める声がある。否定的なイメージが定着し、医療現場では「胃ろうは嫌だが(胸の血管に栄養を注入する)中心静脈栄養法ならいい」と希望する患者もいる。どちらもチューブで栄養を入れる点に変わりはなく、むしろ感染症のリスクは胃ろうの方が低いのに、拒否反応が先に立ってしまっている状況だ。

 田中たちもむやみに勧めているわけではない。まずは患者や家族の同意が大前提。喉に内視鏡を入れて飲み込む力を見極め、自力で食べられる人は見送る。取り付けた後も食べる喜びを感じてもらおうと、ゼリーやプリンを口から摂取してもらうよう取り組んでいる。

 実際、キヨ子は上町病院に移ってくる前に胃ろうが取り付けられていたが、リハビリで一時は自分で食事する力を取り戻した。胃ろうが外れ、退院する患者もいる。

 「鼻のチューブと違い、患者の苦痛は少ない。薬も入れられるから注射で痛みを与えることもない。栄養がついて抵抗力ができるので状態が安定し、家族は安心できる」。院長の田中は胃ろうのメリットを列挙した。

 それでも葛藤がないと言えばうそになる。「そこまでして生きたいかと聞かれれば、自分はそうは思わない」と広瀬。

 だが、胃ろうを付けない、ましてや外すという決断は家族にも、医師にも勇気がいる。既に取り付けた状態で転院してきたり、認知症や植物状態で意思を確認できなかったりすることも多い。

 一方で、近年は延命治療を控え、自然な衰弱で亡くなる「平穏死」を提唱する動きも広がる。どう思うか尋ねると、広瀬は「分からん」と困ったように笑った。「そこまで踏み切れるほど強くない。やっぱり人工栄養をしてしまうね」。揺れる思いがのぞいた。(敬称略)


婆の両親は、胃ろうのおかげで、安らかなさよならができたと思う。
二人とも自然死、老衰に近い状態まで、生きらせていただいたと思う。
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