本庶氏、26億円受領せず 小野薬から、特許契約不服 がん治療薬オプジーボ
2019年4月11日 (木)配信共同通信社
2018年のノーベル医学生理学賞を受賞した京都大の本庶佑(ほんじょ・たすく)特別教授(77)と弁護士が10日、京大で記者会見し、本庶氏の研究を基に小野薬品工業(大阪市)が開発した、がん免疫治療薬「オプジーボ」を巡り、特許に関する契約を結んだ同社から昨年12月までに支払われた約26億円を、契約に納得できない点があるとして受け取っていないと明らかにした。正当な対価を払うべきだと引き上げを訴えており、全額法務局に供託されているという。
井垣太介(いがき・たいすけ)弁護士は、06年に本庶氏個人と同社が契約を結んだ際、同社からの対価の料率に関する説明が不正確だったと主張。同社がオプジーボの販売や他社へのライセンス契約などで得た利益の還元率について、井垣弁護士は「常識的なレベルではない」とし、「引き上げを求め協議したい」と話した。特許は両者が共同で出願した。
小野薬品は10日、取材に「(本庶氏側の要求と)現在の契約との乖離(かいり)が大きいが、誠意を持って今後も話し合いに応じていきたい」とした。
井垣弁護士によると、本庶氏は11年ごろ、契約内容の修正を求め同社と交渉を開始。13年に具体的な提案があったが、本庶氏は内容を不服として断ったという。
本庶氏は06年当時、知的財産に関する知識がなかったが弁護士を立てずに契約を結んだと説明した上で、大学での研究成果で得られた利益は正当に還元されるべきだと主張。「公正な産学連携のモデルが作れないと、日本のライフサイエンスは非常に大きなダメージを受ける」と述べた。本庶氏側は、法的手続きの可能性を問われ、否定的な姿勢を示した。
本庶氏は若手研究者支援のため設立された京大の基金に、オプジーボの販売による対価を充てたい考えを表明していた。ノーベル賞の賞金は既に基金に寄付した。
※オプジーボ
免疫の力を利用したがん治療薬。本庶佑(ほんじょ・たすく)京都大特別教授の研究を基に開発され、小野薬品工業が2014年に発売した。本庶氏のチームが発見した、免疫細胞の表面にあるタンパク質「PD1」と、がん細胞の結合を妨げることで、免疫の働きを高め、がんを攻撃する仕組み。皮膚がんの一種である悪性黒色腫や、肺がんなどに保険適用されている。一方、高額な薬価が問題になり、段階的に引き下げられている。
2019年4月11日 (木)配信共同通信社
2018年のノーベル医学生理学賞を受賞した京都大の本庶佑(ほんじょ・たすく)特別教授(77)と弁護士が10日、京大で記者会見し、本庶氏の研究を基に小野薬品工業(大阪市)が開発した、がん免疫治療薬「オプジーボ」を巡り、特許に関する契約を結んだ同社から昨年12月までに支払われた約26億円を、契約に納得できない点があるとして受け取っていないと明らかにした。正当な対価を払うべきだと引き上げを訴えており、全額法務局に供託されているという。
井垣太介(いがき・たいすけ)弁護士は、06年に本庶氏個人と同社が契約を結んだ際、同社からの対価の料率に関する説明が不正確だったと主張。同社がオプジーボの販売や他社へのライセンス契約などで得た利益の還元率について、井垣弁護士は「常識的なレベルではない」とし、「引き上げを求め協議したい」と話した。特許は両者が共同で出願した。
小野薬品は10日、取材に「(本庶氏側の要求と)現在の契約との乖離(かいり)が大きいが、誠意を持って今後も話し合いに応じていきたい」とした。
井垣弁護士によると、本庶氏は11年ごろ、契約内容の修正を求め同社と交渉を開始。13年に具体的な提案があったが、本庶氏は内容を不服として断ったという。
本庶氏は06年当時、知的財産に関する知識がなかったが弁護士を立てずに契約を結んだと説明した上で、大学での研究成果で得られた利益は正当に還元されるべきだと主張。「公正な産学連携のモデルが作れないと、日本のライフサイエンスは非常に大きなダメージを受ける」と述べた。本庶氏側は、法的手続きの可能性を問われ、否定的な姿勢を示した。
本庶氏は若手研究者支援のため設立された京大の基金に、オプジーボの販売による対価を充てたい考えを表明していた。ノーベル賞の賞金は既に基金に寄付した。
※オプジーボ
免疫の力を利用したがん治療薬。本庶佑(ほんじょ・たすく)京都大特別教授の研究を基に開発され、小野薬品工業が2014年に発売した。本庶氏のチームが発見した、免疫細胞の表面にあるタンパク質「PD1」と、がん細胞の結合を妨げることで、免疫の働きを高め、がんを攻撃する仕組み。皮膚がんの一種である悪性黒色腫や、肺がんなどに保険適用されている。一方、高額な薬価が問題になり、段階的に引き下げられている。