「赤チン」来年で姿消す 最後のメーカー生産中止
2019年4月17日 (水)配信共同通信社
傷口に塗ると赤色になることから「赤チン」の愛称で親しまれた消毒薬「マーキュロクロム液」の国内生産が2020年末で終わることが16日、分かった。日本で唯一のメーカーとみられる三栄製薬(東京)が生産をやめると明らかにした。昭和世代になじみ深い製品がまた姿を消す。
赤チンはかつて家庭や学校の常備薬の定番だった。しかし、水銀が原因の水俣病が公害に認定され、生産過程で水銀を含んだ廃液が発生することから、1973年に原料の国内生産が終了した。
三栄製薬などは海外から原料を輸入して生産を続けたが、71年に無色透明の消毒薬「マキロン」が登場し、売れ行きは落ち込む一方だった。根強いファンから「いつまでもつくり続けて」などの声も寄せられるという。
法律の規制対象となり来年末で国内での生産が禁止される。藤森博昭(ふじもり・ひろあき)社長は「先代の父親から大事に育ててきた薬なので、なくなるのは寂しい」と話す。