産後うつ、パパにも…男性の1割に初の分析結果
その他 2019年7月5日 (金)配信読売新聞
産前産後の妻がいる男性の約1割が、うつ状態にあるとする分析結果を、独協医大などの研究チームがまとめた。妻の妊娠・出産に関連した男性のうつを大規模に分析したのは初めて。これまで女性だけの問題と思われていたが、男性にもサポートが必要な可能性があるとしている。5、6日に徳島市で開かれる日本うつ病学会で発表する。
うつ状態は一般的に、気分が落ち込み、意欲の低下が続いていることをいう。妊娠・出産に関わる女性のうつは、ホルモンバランスの急激な変化や育児での孤立など、様々な要因で起こるとされる。
チームは2006~18年に発表された14の研究、延べ約4万9000人のデータを分析した。妊娠中か出産後の妻がいる男性に、不安感や気分の落ち込みなどを尋ねるテストを受けてもらい、うつ状態かどうかを調べた研究を対象にした。
うつ状態の男性の割合を時期別に見ると、「産後3か月~半年」が13・2%で最も多かった。それ以外は8~9%台だった。女性は123の研究を分析したところ、「妊娠中」(後期)が最多の16・3%で、産後は11%台半ばに下がった。
うつ病と診断される人の割合は、生涯で5~6%程度だが、女性特有のいわゆる「産後うつ」の状態が、男性にも一定割合で起こることを示す結果となった。
期待や役割 重圧に
チームの古郡(ふるこおり)規雄・独協医大准教授(精神神経医学)は「男性がうつ状態になるのは、父親として期待される役割に重圧を感じたり、育児と仕事の両立に困難を抱えたりしているためではないか。男性にも支援が必要だ」と指摘する。
今回の結果について、竹内崇・東京医科歯科大講師(精神医学)は「見過ごされてきた父親の心の不調に注目した意義は大きい。男性もうつになる可能性があることを本人も社会も知ってほしい」と話している。