帰宅は年に3回だけ 甲状腺がんと診断され 「原発事故 100カ月の記憶」
2019年7月12日 (金)配信共同通信社
福島県浪江町には約180平方キロの帰還困難区域が残る。町の面積の約8割、県内の同区域の半分以上に当たる。
今は兵庫県に暮らす菅野(かんの)みずえ(67)も同区域の住民だ。この間、福島県内の仮設住宅や親類の家など4カ所を渡り歩いた。「大阪市に避難した時『あなたたちが逃げてくるから、高速道路で汚染が広がった』と言われ、私は腐ったミカンなんだなと思った」と話す。
事故の8カ月前に新築したばかりの家に帰るのはお彼岸とお盆の墓参りの年3回だけ。火事を出すといけないのでお墓の線香には火を付けない。
菅野は2016年に兵庫県で受けた避難者健診で「放っておけない甲状腺がんだ。直ちに手術を勧める」と言われた。
菅野は「県のマニュアルで、体表面検査で汚染がひどい人に行われることになっていた甲状腺被ばく測定も、安定ヨウ素剤の服用指示もなし。詳しい記録も残っていない」と指摘する。
7月2日、福島県に対し、マニュアル通りの対応ができなかった理由の調査や情報公開などを求める要望書を提出した。(敬称略、共同通信編集委員 井田徹治)
2019年7月12日 (金)配信共同通信社
福島県浪江町には約180平方キロの帰還困難区域が残る。町の面積の約8割、県内の同区域の半分以上に当たる。
今は兵庫県に暮らす菅野(かんの)みずえ(67)も同区域の住民だ。この間、福島県内の仮設住宅や親類の家など4カ所を渡り歩いた。「大阪市に避難した時『あなたたちが逃げてくるから、高速道路で汚染が広がった』と言われ、私は腐ったミカンなんだなと思った」と話す。
事故の8カ月前に新築したばかりの家に帰るのはお彼岸とお盆の墓参りの年3回だけ。火事を出すといけないのでお墓の線香には火を付けない。
菅野は2016年に兵庫県で受けた避難者健診で「放っておけない甲状腺がんだ。直ちに手術を勧める」と言われた。
菅野は「県のマニュアルで、体表面検査で汚染がひどい人に行われることになっていた甲状腺被ばく測定も、安定ヨウ素剤の服用指示もなし。詳しい記録も残っていない」と指摘する。
7月2日、福島県に対し、マニュアル通りの対応ができなかった理由の調査や情報公開などを求める要望書を提出した。(敬称略、共同通信編集委員 井田徹治)