コロナ後遺症、茨城で相談増 半年で外来1000人超
2022年10月7日 (金)配信茨城新聞
茨城県で新型コロナウイルス感染による後遺症の相談が増えている。県医師会と県が連携する「罹患(りかん)後症状外来」の開設から半年がたち、せきの症状や倦怠(けんたい)感などを中心に受診者は千人を超えた。ただ「受診はごく一部にとどまり、実際にはかなりの数がいる」(医療関係者)とみられ、県は同外来や後遺症に対する認知度を向上させる方針。
コロナ禍で発熱外来などを担う日立市大沼町の根道ケ丘クリニックでは、4月からの後遺症が疑われる患者が100人を超えた。半年前は数日に1件ほどだった受診件数は、最近は連日5~10件に増えるなど受診者数は9月に入り、さらに増加傾向にある。
「療養期間を終えていったん症状が治まった後、2~3週間たって再びだるさなどを訴える患者さんは多い」。中広一善院長は状況を説明する。症状では、せきや倦怠感、頭痛などが多く「投薬により症状を和らげるうちに改善に向かう」ケースが多いという。
新型コロナウイルスの後遺症診療に対応しようと、県医師会は3月22日から県と連携し、罹患後症状外来を県内51医療機関に設置。段階的に施設数を増やし、9月末現在、県内29市町の計83医療機関で診療体制を整備している。
同会によると、受診者数は9月11日現在で累計1092人。流行「第7波」による感染者の増加に伴い、特に呼吸器内科や耳鼻咽喉科を中心に受診が目立つ。増加の要因について、中広院長は「感染者そのものが増えたこともあるが、(9月半ば以降)感染が落ち着き、医療機関が後遺症診療にも手を回せるようになってきた」との背景を説明する。
県も後遺症への対応を課題として位置付ける。県が療養期間を終えた感染者を対象に6月中~下旬に行った調査では、回答のあった2441人のうち、約半数に当たる1222人が「後遺症があった」とした。大井川和彦知事は9月末の定例記者会見で、「これからしっかりと見ていかなければならない問題だ」と指摘した。
ただ、新型コロナの後遺症は、症状が感染の直接的な影響かどうか判断することが難しく、知見も少ないのが実情。中広院長は「外来を受診する人は一部で、実際に療養後も症状が続いている人はかなりの数いるのではないか」と話す。
県は罹患後症状外来の認知度が低いとみて、さらなる周知を図る。陽性者向けに配布しているチラシに罹患後症状に関する内容を加えるほか、同外来を受診する目安などを示した県の専用サイトへ誘導する。県感染症対策課は「広く知ってもらうための取り組みを進めたい」としている。