南半球で流行、インフルエンザのワクチン接種は
2022年10月21日 (金)配信山陰中央新報
気温が下がり乾燥する季節を迎え、医療関係者や各自治体がインフルエンザのワクチン接種を呼びかけている。過去2年間は全国的に流行せず、危惧されていた新型コロナウイルスとの同時流行はなかったが、免疫を持つ人が減っている可能性がある。今季はオーストラリアなどの南半球で既にはやっており、警戒が必要だ。(勝部浩文)
山陰両県のインフルエンザの流行は現在、なりをひそめている。島根にある38の定点医療機関からの報告患者数は例年、多い時期で週に千人を超していた。ところが新型コロナの出現に合わせるように激減。21年4月以降ゼロが続き、今年10月に入って1人の報告例が出た。鳥取県もこの間、定点(29点)でわずか8人の報告にとどまる。
手洗いやマスク着用の徹底、体調不良者の早期発見など公衆衛生意識の高まりが影響しているとみられるが、安心はできない。
島根県感染症対策室によると、日本ではやらなかった過去2年間でインフルエンザに対する集団免疫が弱まっている可能性がある。毎回、一足早く流行することが多く、日本での流行の目安となるオーストラリアでは、今年8月ごろに感染拡大が確認されており、警戒が求められる。
インフルエンザのワクチン接種の料金は3千~4千円程度で、自治体や企業によっては独自に補助を出しているケースもある。
インフルエンザと新型コロナの初期症状は同じで検査しなければ区別が付かず、同時流行は医療現場を混乱させる恐れがある。松江市医師会の堀浩太郎副会長は「今季は高い確率で流行すると思った方がいい」と強調し、「ワクチン接種を考えてほしい」と呼びかけた。