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帷子川沿いに歩きながら、シャブリエの狂詩曲「スペイン」を聴く

2007-06-02 10:21:26 | 古典~現代音楽フランス編
昨日は二俣川から上星川まで歩く。
風邪をひいたせいか体もだるいので、
無理のない距離でとどめておこうと思い、
鶴ヶ峰から西谷の間の途中から帷子川沿いに入り、
途中シャブリエの管弦楽曲を聴きながら歩いた。

ということで今日からはフランスの管弦楽曲の話に入る。
シャブリエは1841年生まれの作曲家であるが、
彼の人生も単純ではない。
CDの解説書によると始めは法律を学び法律士となり、
27歳の時には内務省に入って役人としての生活を送った。
もちろん、幼い時からピアノを学び、
音楽的素養を身に付けていたものの、
生活が安定しない音楽家に息子がなることは、
父親としては反対であり、彼もその意見に最初従っていた。

それでも余暇の時間を使って音楽を勉強し、
ダンディやフォーレなどと交流する中で、
音楽家として徐々に歩みだすようになっていった。
36歳には喜歌劇「星」を世に発表し、
その2年後にミュンヘンに行き、
ワグナーの「トリスタンとイゾルデ」を聴き、
その音楽に感銘し、音楽の道に進むことを決心した。
39歳には18年間の役人の生活にピリオドを打ち、
音楽家として本格的に活動をしはじめたようである。

シャブリエの管弦楽曲の中で一番有名なものといえば、
やはり狂詩曲「スペイン」だろう。
なんといっても異国情緒たっぷりでいて、
フランス音楽らしく華やかで、
魅力ある旋律やリズムもさることながら、
管楽器を中心としたオーケストレーションはすばらしい。

この狂詩曲「スペイン」だが、私の持っているCDはあまりなく、
デルヴォーの指揮したCD2種と、アンセルメが指揮したもの、
そしてプラッソンのものがあるのだが、
聴き比べるとまずアンセルメの指揮したCDはテンポが遅く、
軽快な曲のイメージとして考えると私の好みではない。
プラッソンの場合オーケストラの演奏は総体的に悪くなく、
軽快なテンポや録音の良さは十分であるとは思うが、
最初のハープの音が少し遅めに聴こえるのが気になる。
デルヴォーがパリ管弦楽団を指揮したCDはテンポが速く、
パリ管弦楽団らしい華やかさがあり、
フルートなどの木管楽器の音がよく聴こえておもしろいが、
編集でつないだ部分が不自然に聴こえ、聴きにくい。
結論としてデルヴォーがコロンヌ管弦楽団を指揮したCDが、
一曲を一気に聴かせるライブ感のある演奏であり、
一番均整が取れている演奏で、私にとってはベストのCDだ。
このCDは、レコードの廉価盤で売っていた時に買ったもので、
やはり今でも名演だと思える。

その他の管弦楽曲で触れておくと、
ここでは、歌劇「クヴァンドリーヌ」序曲をあげておこう。
ワグナーに心酔していたシャブリエが書いた作品の中で、
ワグナーの影響がはっきり出ている管弦楽曲である。
その重厚な感じと金管楽器の扱いは、まさにその例である。
50歳になると彼の体に起こった不調や故障が彼を悩ませた。
創作力の落ちた彼は思うように創作のペンが進まなくなった。
これは音楽家にとってつらいことだっただろう。
自分は音楽をこれだけ愛しているのに、
自分の中に音楽が生まれてこない、沸きあがってこない。
音楽から見放されたような心境にあった彼の最後は、
悲痛なものだったのだろう。

でも、39歳になって新しい道を歩むのは勇気がいることで、
余暇の時間を使って音楽を学んでいたことは、すごいことだ。
彼に見習って私も自分の研究を進めければいけないが、
ハーバーフェルトトライベンの研究にはバイエルン方言が、
行く手をさえぎっており、たいへんなんだよなあ。

なお、中南米の管弦楽曲編でとりあげたCDは、
http://www1.ocn.ne.jp/~bocchi07/ongaku-kenkyu.html
に載っていますので参考にしてください。

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