<時には海路で。(1)高松~小豆島~岡山>
なんともはや、あっけない船出だった。
あらためて言うのもなんだが、本州から四国に渡るのには3つの連絡橋がある。
まずは、横浜から車でくるといつも必ず使ってしまう便利な「神戸・鳴門ルートの『明石海峡大橋(と大鳴門橋)』」。
第二には、出張のときに渡る「児島(岡山)・坂出ルートの、道路鉄道併用橋である『瀬戸大橋』」。
そして三番目には、いつかは必ず渡るぞと心に決めている「尾道・今治ルートの、唯一チャリでも渡れる『しまなみ街道(離島に架かる10本の橋と島内道路の総称)』」。
今回は海の守り神の<こんぴら参り>をした帰りなので、ここは一番、ゆっくり海路を使って本州に戻ることにした。費用対効果と利便性の追求にばかり血道をあげる世の中だが、こんな旅があってもいいだろう。
徒歩の乗客十名たらずと、トラックと乗用車を二十台ほど船腹に呑みこむと、毎朝の首都圏のターミナル駅で折り返し出ていく電車なみの出航だ。そういえば途中ですれ違う乗客たちは通勤通学客ばかりだったような気がする。
桟橋には作業員たちだけ、見送り人の影もなし。別れの紙テープが舞うこともなく、当たり前だがセレモニーも涙も情緒もなく、ひどく乾いた事務的な感じでフェリーは高松港をまことに静かに離れた。
(あのひときわ高いビルはたしか・・・<高松シンボルタワー>だろうか)
昨日、琴平から“ことでん”一本でまっすぐ高松駅に戻ると、コインロッカーに預けたザックをとり戻し、そのまま「JRクレメントイン高松」にチェックインしたのだった。
船の形をモチーフとした三角型ビジネスホテルで、14時チェックインなのに12時チェックアウトとなんとも宿泊客にやさしい。なお、すぐ隣にある系列の「クレメント高松」はワンランク上のシティホテルで間違えやすい、というか徳島でよく利用したわたしでさえも間違えてしまった。
高松駅の界隈は思いきった区画整理でもしたように、わたしの好きな狭くてゴミゴミしたいくつもの赤提灯がゆれる横丁もみつけられない、きれいで近代的な街並みであった。夕方に、一時間ばかり居酒屋探しで歩き廻ったのだが、コロナで休業中と喫煙できない店ばかりだった。
出航してしばらくすると、売店の一角にある“さぬきうどん”の店が開いた。小豆島に到着する20分前までの営業時間だそうだ。
大好きな“さぬきうどん”だから大いにそそられる。が、しかしここは涙を飲んでパスだ。
早朝の5時過ぎに、ビジネスホテルの9階にある瀬戸内海と屋島を展望できる鉱石温泉の大浴場でさっぱりしたあと、一階にあるわたしの朝食会場は旅先感まるでなし、首都圏にいるような馴染の喫茶店「カフェ&バー プロント」で食べ慣れたモーニングセットを食べたばかりなのだ。
それにこれから行く小豆島で、目当てにしている名物麺類ランチを決めていたのである。
― 続く ―
→「こんぴら参り(1)」の記事はこちら
→「こんぴら参り(2)」の記事はこちら
なんともはや、あっけない船出だった。
あらためて言うのもなんだが、本州から四国に渡るのには3つの連絡橋がある。
まずは、横浜から車でくるといつも必ず使ってしまう便利な「神戸・鳴門ルートの『明石海峡大橋(と大鳴門橋)』」。
第二には、出張のときに渡る「児島(岡山)・坂出ルートの、道路鉄道併用橋である『瀬戸大橋』」。
そして三番目には、いつかは必ず渡るぞと心に決めている「尾道・今治ルートの、唯一チャリでも渡れる『しまなみ街道(離島に架かる10本の橋と島内道路の総称)』」。
今回は海の守り神の<こんぴら参り>をした帰りなので、ここは一番、ゆっくり海路を使って本州に戻ることにした。費用対効果と利便性の追求にばかり血道をあげる世の中だが、こんな旅があってもいいだろう。
徒歩の乗客十名たらずと、トラックと乗用車を二十台ほど船腹に呑みこむと、毎朝の首都圏のターミナル駅で折り返し出ていく電車なみの出航だ。そういえば途中ですれ違う乗客たちは通勤通学客ばかりだったような気がする。
桟橋には作業員たちだけ、見送り人の影もなし。別れの紙テープが舞うこともなく、当たり前だがセレモニーも涙も情緒もなく、ひどく乾いた事務的な感じでフェリーは高松港をまことに静かに離れた。
(あのひときわ高いビルはたしか・・・<高松シンボルタワー>だろうか)
昨日、琴平から“ことでん”一本でまっすぐ高松駅に戻ると、コインロッカーに預けたザックをとり戻し、そのまま「JRクレメントイン高松」にチェックインしたのだった。
船の形をモチーフとした三角型ビジネスホテルで、14時チェックインなのに12時チェックアウトとなんとも宿泊客にやさしい。なお、すぐ隣にある系列の「クレメント高松」はワンランク上のシティホテルで間違えやすい、というか徳島でよく利用したわたしでさえも間違えてしまった。
高松駅の界隈は思いきった区画整理でもしたように、わたしの好きな狭くてゴミゴミしたいくつもの赤提灯がゆれる横丁もみつけられない、きれいで近代的な街並みであった。夕方に、一時間ばかり居酒屋探しで歩き廻ったのだが、コロナで休業中と喫煙できない店ばかりだった。
出航してしばらくすると、売店の一角にある“さぬきうどん”の店が開いた。小豆島に到着する20分前までの営業時間だそうだ。
大好きな“さぬきうどん”だから大いにそそられる。が、しかしここは涙を飲んでパスだ。
早朝の5時過ぎに、ビジネスホテルの9階にある瀬戸内海と屋島を展望できる鉱石温泉の大浴場でさっぱりしたあと、一階にあるわたしの朝食会場は旅先感まるでなし、首都圏にいるような馴染の喫茶店「カフェ&バー プロント」で食べ慣れたモーニングセットを食べたばかりなのだ。
それにこれから行く小豆島で、目当てにしている名物麺類ランチを決めていたのである。
― 続く ―
→「こんぴら参り(1)」の記事はこちら
→「こんぴら参り(2)」の記事はこちら
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます