温泉クンの旅日記

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大船渡温泉(1) 岩手・三陸

2022-10-02 | 温泉エッセイ
  <大船渡温泉(1) 岩手・三陸>

 ローカルな在来線は単線区間が多く、またその同じ線路を利用して長い貨物列車が走るので遅延もけっこう発生する。

 

「よしよし、時間通りだな・・・」
 盛岡発の快速「はまゆり1号」が入線してきた。花巻発は9時15分、釜石までは7駅で釜石着は10時53分だ。初めての釜石、ちょっとわくわくする。
 3両編成で、1号車のみが指定席で別料金が発生する。この快速は空いているので自由席で充分だった。

 10時過ぎくらい、4駅目の「遠野駅」に停車した時にひどく懐かしくなって、途中下車して駅舎を撮影したい衝動を抑えるのに苦労した。わたしはちょっとだけだが<駅舎の撮り鉄>でもあるのだ。

 

 

 釜石駅を軽やかな足どりで出てみると駅前の景色は殺風景そのもの、いきなり目の前に広がるのはどでかい製鉄工場だった。とにかく“旅情をかきたてる風景”とはほど遠い、がっかり風景だ。

 

 工場の壁には「ようこそ!! 鉄と魚とラグビーの街 釜石へ」と書かれていた。
 幕末のころ、日本初の西洋式高炉を建造され、そして明治政府が官営の製鉄所が建設されたのが<鉄の町釜石>の始まりだそうである。
 遠野に旅したあのとき、釜石まで足を延ばさなくて正解だったと強く思う。

 

 とりあえず煙草が吸えそうなところを探して、右の方向に歩きだす。
「サン・フィッシュ釜石」という建物の入口に灰皿があるのを目ざとく見つけた。

 

 

 一服しながら中を覗くと、釜石で水揚げされた魚介や乾物などを売る店が入っている施設である。
 入ってすぐのところにあった「駅前食堂」という店で昼を食べることにした。

 

 

 メニューをざっと検討する。朝食抜き台温泉を出発して、花巻駅のコンビニのハンバーガーと珈琲で軽くすませたので腹は減っている。ただ夕食がヘビーそうなので、昼は軽くが理想だ。
「釜石ラーメン」の立派な幟もあったことだし、無難なラーメンを注文することにした。もっとも、無難なはずが釧路の塩ラーメンみたいに、ごくたまに失敗することもあるが。

 

 

 透きとおったスープから味をみた。醤油味のあっさりスープというよりは、塩味がかなり強い。
 次に麺を啜る。茹であがりの早そうな、極細の麺である。
「この麺は・・・」

 

 インスタント焼きそばの、あの「ペヤング」の麺を特注で長くした・・・といったらわかりやすいか。その長い縮れぺヤング麺に塩味の強いスープが思い切り絡んで、血圧高めのわたしには、かなりキツイ“ラーメン”だった。でも透け透けスープなので頑張って食べきった。他に客が誰もいないし、口開けがわたしだったみたいなもんでね。

 

 タンメン用の太めの中華麺を茹でて、焼きそばをつくると逸品の焼きそばになる。横浜には、そういうヤミツキになる焼きそばを食べさせる店が何軒かあるんだけど。
 黒石の「スープ焼きそば」は“あり”だけど「ペヤング風ラーメン」じゃあね。このラーメンははっきり言って失敗だった。

 

 さあてと、釜石ラーメンは記憶から抹殺して、気を取り直して大船渡温泉を目指そう。
 花巻駅のホームの、さきほど降りた電車の向かいに止まっている、三陸鉄道リアス線乗り込み「盛駅」へ。

  ― 続く ―

   →「台温泉(3)」の記事はこちら
   →「語り部の宿」の記事はこちら
   →「遠野ふるさと村(1)」の記事はこちら
   →「遠野ふるさと村(2)」の記事はこちら
   →「遠野ふるさと村(3)」の記事はこちら
   →「釧路、幣舞橋界隈(2)」の記事はこちら


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