<続・小瀬温泉(1) 長野・軽井沢>
前にたしか書いたことがあるが、那須と軽井沢は似ているところがある。
両方ともリゾート地であり、東京から那須まで約百八十キロ、東京から軽井沢までが約百七十キロとほぼ同じくらいの距離に位置しているのだ。だから所要時間はどちらも約二時間二十分となる。
ただ、那須はどちらかといえば庶民的であり、軽井沢のほうは集客の必要のないリゾート地と言われ、そのブランド力は高い。いや、高かったというべきか。
宿でも飲食店でも土産物屋でもリピート客を増やそうなんて考えがないのか、極めて接客が良くない。そのせいだろう、ピーク時には観光客も年間八百万を超えたが、最近は割り込んでさらに減少しているらしい。
いまのわたしは、短い旅でも長距離を走るので庶民的な那須に泊まることはあっても軽井沢は通過点となってしまった。
それでも旅に夢中になる前には、軽井沢に何度か泊まったことがある。
そのなかで気にいった宿がひとつあった。温泉も軽井沢では一番良かったな・・・たしか「軽井沢パークホテル」という名前だった。あの若旦那、若女将ら経営する気のきく一家もとても懐かしい・・・久しぶりに行ってみるか。
小瀬温泉の湯である。
掛け流しの源泉が浴槽の淵から静かに溢れている。懐かしの、あのパークホテルを彷彿とさせる大きさの浴室と浴槽だ。泉質はナトリウムー炭酸水素塩泉、弱アルカリで肌にとてもやさしい。
パークホテルをインターネットで調べたところどうにも埒があかないので、直接現地に行ってみたら、あの家族経営の宿は数年前にリニューアルされて、富裕層向けの横文字のホテルに大変身していたのだ。部屋数を半分にして宿賃は倍以上だ。前の経営者一家も横文字ホテルの経営に参加しているらしいのだが、残念ながらこの宿賃ならわたしは九州の黒川か湯布院を選ぶ。
でも、懐かしい小瀬温泉なのでゆっくり温泉に入りたい。そこでもう一軒の「小瀬温泉ホテル」に部屋をとったのである。
国有林に囲まれた自然の中、小川沿いに佇む一軒宿で、明治九年(1876年)創業の老舗ホテルだ。
大浴場を出ると、遠いフロントまで歩き貸切風呂の鍵をもらいにいった。貸切は二つあり、空いていれば無料で使用できるのだ。
もともとは露天風呂付客室だったのを改装したように思えるほどの広いスペースである。
外の森にはまだ白い雪が残っていた。風が冷たい。
掛け湯をしてざぶりと浴槽に入ると、源泉らしく湯の花が舞った。
フロントに鍵を返しにいき、暖炉のところに灰皿があったので一服する。
(宿賃・・・だが、まだシーズンオフの平日だったので、夕食のとき酒をセーブすればなんとか許容範囲ちょい超えくらいでなんとか済みそうだ・・・な)
― 続く ―
→「小瀬温泉」の記事はこちら
→「軽井沢、森閑の滝」の記事はこちら
前にたしか書いたことがあるが、那須と軽井沢は似ているところがある。
両方ともリゾート地であり、東京から那須まで約百八十キロ、東京から軽井沢までが約百七十キロとほぼ同じくらいの距離に位置しているのだ。だから所要時間はどちらも約二時間二十分となる。
ただ、那須はどちらかといえば庶民的であり、軽井沢のほうは集客の必要のないリゾート地と言われ、そのブランド力は高い。いや、高かったというべきか。
宿でも飲食店でも土産物屋でもリピート客を増やそうなんて考えがないのか、極めて接客が良くない。そのせいだろう、ピーク時には観光客も年間八百万を超えたが、最近は割り込んでさらに減少しているらしい。
いまのわたしは、短い旅でも長距離を走るので庶民的な那須に泊まることはあっても軽井沢は通過点となってしまった。
それでも旅に夢中になる前には、軽井沢に何度か泊まったことがある。
そのなかで気にいった宿がひとつあった。温泉も軽井沢では一番良かったな・・・たしか「軽井沢パークホテル」という名前だった。あの若旦那、若女将ら経営する気のきく一家もとても懐かしい・・・久しぶりに行ってみるか。
小瀬温泉の湯である。
掛け流しの源泉が浴槽の淵から静かに溢れている。懐かしの、あのパークホテルを彷彿とさせる大きさの浴室と浴槽だ。泉質はナトリウムー炭酸水素塩泉、弱アルカリで肌にとてもやさしい。
パークホテルをインターネットで調べたところどうにも埒があかないので、直接現地に行ってみたら、あの家族経営の宿は数年前にリニューアルされて、富裕層向けの横文字のホテルに大変身していたのだ。部屋数を半分にして宿賃は倍以上だ。前の経営者一家も横文字ホテルの経営に参加しているらしいのだが、残念ながらこの宿賃ならわたしは九州の黒川か湯布院を選ぶ。
でも、懐かしい小瀬温泉なのでゆっくり温泉に入りたい。そこでもう一軒の「小瀬温泉ホテル」に部屋をとったのである。
国有林に囲まれた自然の中、小川沿いに佇む一軒宿で、明治九年(1876年)創業の老舗ホテルだ。
大浴場を出ると、遠いフロントまで歩き貸切風呂の鍵をもらいにいった。貸切は二つあり、空いていれば無料で使用できるのだ。
もともとは露天風呂付客室だったのを改装したように思えるほどの広いスペースである。
外の森にはまだ白い雪が残っていた。風が冷たい。
掛け湯をしてざぶりと浴槽に入ると、源泉らしく湯の花が舞った。
フロントに鍵を返しにいき、暖炉のところに灰皿があったので一服する。
(宿賃・・・だが、まだシーズンオフの平日だったので、夕食のとき酒をセーブすればなんとか許容範囲ちょい超えくらいでなんとか済みそうだ・・・な)
― 続く ―
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→「軽井沢、森閑の滝」の記事はこちら
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