<出石皿そば>
快晴である。
(さぁて、どこへ行こうか・・・)
有馬駅そばのコインパーキングにとめた車の中で、火照った身体をエアコンで
冷ましながら、広げた地図に見入った。
松江のほうは中国道が渋滞していたから、これは捨てだ。ううむ、城崎。城崎
温泉か・・・日本海側の風情のある温泉町である。城崎に行ってみるか。
そばに出石という地名があるが、どこかで聞いたことがある。そうか、皿そばで
有名なところだ。
わたしは全国の麺類には詳しい。たいていのものは食べたことがあるのだが、
出石の皿そばは未体験なのだ。
よし、出石経由で、城崎に向かおう。
渋滞を避けて途中まで国道、高速、国道とそれぞれ飛ばしたが、出石までたっぷ
り二時間半ほどかかった。思ったよりけっこう遠い。
出石に入ったのは十一時ちょっと、ちょうどいい。
最初にみつけた出石皿そばの店の前に車を乗り入れた。
まだ開店したばかり、わたしが口開けの客だ。
小上がりの座敷にあがる。
メニューのところにある皿そばのセットの写真を見て、驚いた。五皿の蕎麦が
一人前である。
(ほとんど徹夜状態の胃袋には多すぎるなあ・・・)
「あの・・・これって最低が五皿なんでしょうか」
「そうです」
「そんなに食べられるかなあ・・・それほど腹へってないんですけど」
「写真では多そうですが、ひと皿の蕎麦が、二口か三口の分量ですから」
「では一人前でお願いします」
メニューのところに、皿そばの歴史が書いてあった。
江戸時代中期の宝永3年(1706年)信濃国上田藩より、但馬国出石藩に国替えと
なった仙石政明が蕎麦職人を連れてきたことに始まる、とのことである。
(なんだ、信州の蕎麦の流れをくんでいるのか。会津の「高遠そば」みたいなもの
なんだ!)
源流が信州蕎麦とわかり、ちょっと安心する。
出石の蕎麦は挽きたて、打ちたて、茹がきたて、の「三たて」が信条で、蕎麦を
盛る小皿は出石焼で各店それぞれの絵付けがされているそうだ。
すぐに、びっくりするほど大きな徳利に入ったソバツユと、薬味として刻み
ネギ、生卵、ワサビ、トロロ芋が運ばれてきた。生卵はどうするのかと訊くと、
蕎麦猪口に、ツユより先にいれるのが出石の流儀だそうだ。
続いて皿そばが運ばれてくる。蕎麦の実をまるごと引いているようで、いわゆる
田舎蕎麦風の色あいだ。なるほど、量は言われたとおりで、出雲の割り子蕎麦や
岩手のわんこ蕎麦くらいのもので、安心した。
生卵は使わず、とろろは単品として、蕎麦はいつもの自分の流儀で蕎麦を一気に
食べきった。はるばる走った甲斐がある、なかなか素朴で美味しい蕎麦であった。
卵は食べなかった旨を言うと、料金から50円差し引いてくれた。良心的な店で
ある。
ついでに城崎への道と距離を訊くと、店の前の道を道なりに行けばすぐだとの
ことで、安心した。
満腹にもなり、精神的にもすこし余裕がでてきたので、近くの大型の土産物セン
ターのようなところに行き出石焼や土産物を見て廻ることにしたのだった。
そこで、気に入った陶器が目に留まり入手したのである。
いま、その陶器でお茶を飲みながら出石を懐かしく思い出しているのだ。
→ 有馬温泉の朝(1)の記事はこちら
→ 有馬温泉の朝(2)の記事はこちら
快晴である。
(さぁて、どこへ行こうか・・・)
有馬駅そばのコインパーキングにとめた車の中で、火照った身体をエアコンで
冷ましながら、広げた地図に見入った。
松江のほうは中国道が渋滞していたから、これは捨てだ。ううむ、城崎。城崎
温泉か・・・日本海側の風情のある温泉町である。城崎に行ってみるか。
そばに出石という地名があるが、どこかで聞いたことがある。そうか、皿そばで
有名なところだ。
わたしは全国の麺類には詳しい。たいていのものは食べたことがあるのだが、
出石の皿そばは未体験なのだ。
よし、出石経由で、城崎に向かおう。
渋滞を避けて途中まで国道、高速、国道とそれぞれ飛ばしたが、出石までたっぷ
り二時間半ほどかかった。思ったよりけっこう遠い。
出石に入ったのは十一時ちょっと、ちょうどいい。
最初にみつけた出石皿そばの店の前に車を乗り入れた。
まだ開店したばかり、わたしが口開けの客だ。
小上がりの座敷にあがる。
メニューのところにある皿そばのセットの写真を見て、驚いた。五皿の蕎麦が
一人前である。
(ほとんど徹夜状態の胃袋には多すぎるなあ・・・)
「あの・・・これって最低が五皿なんでしょうか」
「そうです」
「そんなに食べられるかなあ・・・それほど腹へってないんですけど」
「写真では多そうですが、ひと皿の蕎麦が、二口か三口の分量ですから」
「では一人前でお願いします」
メニューのところに、皿そばの歴史が書いてあった。
江戸時代中期の宝永3年(1706年)信濃国上田藩より、但馬国出石藩に国替えと
なった仙石政明が蕎麦職人を連れてきたことに始まる、とのことである。
(なんだ、信州の蕎麦の流れをくんでいるのか。会津の「高遠そば」みたいなもの
なんだ!)
源流が信州蕎麦とわかり、ちょっと安心する。
出石の蕎麦は挽きたて、打ちたて、茹がきたて、の「三たて」が信条で、蕎麦を
盛る小皿は出石焼で各店それぞれの絵付けがされているそうだ。
すぐに、びっくりするほど大きな徳利に入ったソバツユと、薬味として刻み
ネギ、生卵、ワサビ、トロロ芋が運ばれてきた。生卵はどうするのかと訊くと、
蕎麦猪口に、ツユより先にいれるのが出石の流儀だそうだ。
続いて皿そばが運ばれてくる。蕎麦の実をまるごと引いているようで、いわゆる
田舎蕎麦風の色あいだ。なるほど、量は言われたとおりで、出雲の割り子蕎麦や
岩手のわんこ蕎麦くらいのもので、安心した。
生卵は使わず、とろろは単品として、蕎麦はいつもの自分の流儀で蕎麦を一気に
食べきった。はるばる走った甲斐がある、なかなか素朴で美味しい蕎麦であった。
卵は食べなかった旨を言うと、料金から50円差し引いてくれた。良心的な店で
ある。
ついでに城崎への道と距離を訊くと、店の前の道を道なりに行けばすぐだとの
ことで、安心した。
満腹にもなり、精神的にもすこし余裕がでてきたので、近くの大型の土産物セン
ターのようなところに行き出石焼や土産物を見て廻ることにしたのだった。
そこで、気に入った陶器が目に留まり入手したのである。
いま、その陶器でお茶を飲みながら出石を懐かしく思い出しているのだ。
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