<そうだ 大阪にも行ってみよう。(2)>
温泉旅をしていると副次的にだが、そのご当地の名物を食べる機会も多い。酒呑みで万年二日酔いのせいもありどうしても麺類が多くなる。
たとえば、うどん。思いだして列挙すると、秋田・稲庭うどん、群馬・水沢うどん、山梨・吉田うどん、富山・氷見うどん、愛知・味噌煮込みうどんと豊橋カレーうどん、三重・伊勢うどん、香川・讃岐うどん、福岡・博多うどん、長崎・五島うどんなど。
「なんで、愛知のうどんが二つも入っとんのに、大阪のうどんが入ってないねん!」
ある日の酒席でそんな話題になり、大阪から転勤してきた先輩に噛みつかれた。たしかに旅でなく、出張で何度も行っている大阪のうどんは経験がなかった。旅先でないこと、出張先の支社の人が連れていってくれなかったからだ、おお、もうこんな時間かと、あのときはいかにも苦しい言い訳をして誤魔化した。いずれそのうち再燃するに決まっている。
今回の大阪急ぎ旅でのミッションはふたつ。ひとつ目の「天満の天神さん」が完了。次は課題の「けつね(うろん)」の遂行である。
さすがに汗ばみ始めたころ、道頓堀川に架かる、「グリコサイン」のある「戎(えびす)橋」に到着した。
今や「大阪の風景」としてお馴染みのこの屋外広告は、照明に14万個のLEDを使用しており、毎日<日没30分後から24時まで>点灯されている。初めて設置されたのは昭和十年(1935年)、その後、何度もリニューアルされて現在は六代目のデザインだそうだ。
♪大阪は 今日も活気にあふれ
又 どこからか 人が来る~
コロナ禍で道頓堀はいつもより人通りが少ないのだろうが、いつもこの辺りに来るとついつい「大阪で生まれた女」の一節を口ずさんでしまう。
(またまた、見つけたぞ!)
<ヒャッキン(百円均一)の飲料自販機>を、歩きだしてからここに来るまで何度もみかけた。首都圏でもごくたまにみかけることはあるが、極めて稀で、さすがは庶民の街大阪だと感じ入ってしまった。
戎橋から少し歩いたところにある「道頓堀 今井本店」である。
まだ空いている店内の卓に案内されると、メニューを一応みて、「かちんうどん(力うどん)」を頼みたいのをぐっと堪えて、大阪の代表選手「きつねうどん(けつね)」を注文した。
歩きのせいで食欲は完璧だ。待つことしばし、選手が卓に堂々入場する。
まずは出しをひと口、静かに啜る。
厭味な甘さはまったくなくて、うーむ、と思わず唸る。北海道産の天然真昆布と九州産の鯖節とうるめ節の薄味の出しは、雑味を排して、研ぎ澄まされた旨みとコクを引き出している。創業から三年もの月日を掛けて五代目の妻が完成させた味だ。今井には、この出しを原点に料理ごとに九つの出しがあるという。
次にきつねをひと口齧る。
一枚ずつ手揚げされた油揚げから、吸った甘い汁がたっぷりジャバジャバ迸るかと思えば、さにあらず。炊きあげられた歯触りのよい揚げからは、適量の旨みと甘みがジワッと沁み出てきて驚く。
そして、うどんだ。
博多や京都よりはちょい腰があるもちもちしたうどんが、出しときつねと連携して旨みを相乗させての見事な三位(三味)一体ぶりだ。さすがは、多いときには一日六百食の注文があるという看板メニューの「きつねうどん」である。
入る前は、うどんにしちゃあずいぶん高い代金だなあと思っていたが、食べたあとは納得する。
勘定を払い、店を出た真ん前に「わなか」のたこ焼き屋があった。あの「ミシュラン 京都・大阪 ビブグルマン部門」に三年連続掲載された有名店だ。
ちょうど茶飯くらい食べられる腹具合である。えーい、ついでだ。行列も短いので食べてみるか。
思ったとおり、外側カリッの中はトロリの食感と、いい感じの“出し”の効いた味わいでとっても旨かった。
とくに中に入ったタコが丁寧な仕事をされているのか、食べやすいのに驚いた。
たこ焼きは次回にたっぷり食い倒れる予定で、今回は前哨戦といったところ。
きつねうどんの「きつね」、たこ焼きの「たこ」・・・・・・両方とも仕込段階で、ジツにいい仕事してまっせ。
→「そうだ 大阪にも行ってみよう。(1)」の記事はこちら
温泉旅をしていると副次的にだが、そのご当地の名物を食べる機会も多い。酒呑みで万年二日酔いのせいもありどうしても麺類が多くなる。
たとえば、うどん。思いだして列挙すると、秋田・稲庭うどん、群馬・水沢うどん、山梨・吉田うどん、富山・氷見うどん、愛知・味噌煮込みうどんと豊橋カレーうどん、三重・伊勢うどん、香川・讃岐うどん、福岡・博多うどん、長崎・五島うどんなど。
「なんで、愛知のうどんが二つも入っとんのに、大阪のうどんが入ってないねん!」
ある日の酒席でそんな話題になり、大阪から転勤してきた先輩に噛みつかれた。たしかに旅でなく、出張で何度も行っている大阪のうどんは経験がなかった。旅先でないこと、出張先の支社の人が連れていってくれなかったからだ、おお、もうこんな時間かと、あのときはいかにも苦しい言い訳をして誤魔化した。いずれそのうち再燃するに決まっている。
今回の大阪急ぎ旅でのミッションはふたつ。ひとつ目の「天満の天神さん」が完了。次は課題の「けつね(うろん)」の遂行である。
さすがに汗ばみ始めたころ、道頓堀川に架かる、「グリコサイン」のある「戎(えびす)橋」に到着した。
今や「大阪の風景」としてお馴染みのこの屋外広告は、照明に14万個のLEDを使用しており、毎日<日没30分後から24時まで>点灯されている。初めて設置されたのは昭和十年(1935年)、その後、何度もリニューアルされて現在は六代目のデザインだそうだ。
♪大阪は 今日も活気にあふれ
又 どこからか 人が来る~
コロナ禍で道頓堀はいつもより人通りが少ないのだろうが、いつもこの辺りに来るとついつい「大阪で生まれた女」の一節を口ずさんでしまう。
(またまた、見つけたぞ!)
<ヒャッキン(百円均一)の飲料自販機>を、歩きだしてからここに来るまで何度もみかけた。首都圏でもごくたまにみかけることはあるが、極めて稀で、さすがは庶民の街大阪だと感じ入ってしまった。
戎橋から少し歩いたところにある「道頓堀 今井本店」である。
まだ空いている店内の卓に案内されると、メニューを一応みて、「かちんうどん(力うどん)」を頼みたいのをぐっと堪えて、大阪の代表選手「きつねうどん(けつね)」を注文した。
歩きのせいで食欲は完璧だ。待つことしばし、選手が卓に堂々入場する。
まずは出しをひと口、静かに啜る。
厭味な甘さはまったくなくて、うーむ、と思わず唸る。北海道産の天然真昆布と九州産の鯖節とうるめ節の薄味の出しは、雑味を排して、研ぎ澄まされた旨みとコクを引き出している。創業から三年もの月日を掛けて五代目の妻が完成させた味だ。今井には、この出しを原点に料理ごとに九つの出しがあるという。
次にきつねをひと口齧る。
一枚ずつ手揚げされた油揚げから、吸った甘い汁がたっぷりジャバジャバ迸るかと思えば、さにあらず。炊きあげられた歯触りのよい揚げからは、適量の旨みと甘みがジワッと沁み出てきて驚く。
そして、うどんだ。
博多や京都よりはちょい腰があるもちもちしたうどんが、出しときつねと連携して旨みを相乗させての見事な三位(三味)一体ぶりだ。さすがは、多いときには一日六百食の注文があるという看板メニューの「きつねうどん」である。
入る前は、うどんにしちゃあずいぶん高い代金だなあと思っていたが、食べたあとは納得する。
勘定を払い、店を出た真ん前に「わなか」のたこ焼き屋があった。あの「ミシュラン 京都・大阪 ビブグルマン部門」に三年連続掲載された有名店だ。
ちょうど茶飯くらい食べられる腹具合である。えーい、ついでだ。行列も短いので食べてみるか。
思ったとおり、外側カリッの中はトロリの食感と、いい感じの“出し”の効いた味わいでとっても旨かった。
とくに中に入ったタコが丁寧な仕事をされているのか、食べやすいのに驚いた。
たこ焼きは次回にたっぷり食い倒れる予定で、今回は前哨戦といったところ。
きつねうどんの「きつね」、たこ焼きの「たこ」・・・・・・両方とも仕込段階で、ジツにいい仕事してまっせ。
→「そうだ 大阪にも行ってみよう。(1)」の記事はこちら
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