温泉クンの旅日記

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中山平温泉、うなぎ湯の宿(1)

2017-07-09 | 温泉エッセイ
  <中山平温泉、うなぎ湯の宿(1)>

「あっ!」
 石畳の表面のヌメリでバランスを崩し転倒しそうになったが、間一髪踏みとどまった。



 ひゃあー危なかった。温泉通が未踏破の温泉を眼の前にして入る直前の転倒死なんて、愚の骨頂、バカの極みではないか。
 温泉で気をつけなければいけないのが血圧の急変による心臓発作と、転倒だ。何千回も温泉に入っているが転倒しそうになったのはこれが二度目、貝掛温泉以来である。



 檜の木枠で六角形の「亀甲檜露天風呂」だ。
 心を静めて掛け湯する。けっこう熱いがまさに好みの温度である。
 掛け流しそのものの、碧色の湯が溢れている浴槽に慎重に身体を沈めていく。
 とろりとするほど濃密な温泉に全身が包まれる。思わず感嘆の溜息をもらす。
「なんていい温泉なんだ・・・」
 輝きを保ち続けたい女性たちがスベスベする美肌の湯だの、まるで化粧水のような湯と絶賛するのもよくわかる。



 中山平温泉、名湯秘湯うなぎ湯の宿、旬樹庵「琢琇(たくひで)」は四本の源泉を持つ湯量豊富な<秘湯宿>である。



 いまごろ「うなぎ湯」かよ、と思われるかもしれない。
 秘湯を無条件でありがたがるひとがいるが、わたしはそうではない。秘湯ブームのころいわゆる秘湯宿をいくつも訪ねてみて、どこが秘湯なのかという温泉もけっこうあった。それに秘湯宿となのるだけで上納金でもあるのか、高めの料金設定なのが気にいらなかった。



 だから「琢琇(たくひで)」はずっといつかいってみた宿のひとつにしていたのだ。ひところの秘湯ブームの熱も冷めてきたからこそいまなのだ。誤解がないように書いておくが、この宿の料金は手ごろである。



 手作りの茶菓の接待を受け、部屋に案内され、浴衣に電光石火の早着替えすると別棟にある「鶴亀の湯」に急行したのである。





 わたしが入ったのは「亀の湯」だが、女性用のもうひとつの露天風呂「鶴の湯」は木造屋根付きの岩風呂だそうだ。
 日帰りもやっているのに露天風呂にまるで先客がいなかったのは、朝からの雷雨のせいかもしれない。よし、続いて玄関近くにあった「長生の湯」にいってみるとしよう。


  ― 続く ―


  →「貝掛温泉」の記事はこちら
  →「続・貝掛温泉」の記事はこちら


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