温泉クンの旅日記

温泉巡り好き、旅好き、堂社物詣好き、物見遊山好き、老舗酒場好き、食べ歩き好き、読書好き・・・ROMでけっこうご覧あれ!

酒田、相馬楼

2012-09-12 | ぶらり・フォト・エッセイ
  <酒田、相馬楼>

 鶴岡でラーメンを食べると、高速を使わなくても予定の時間に間に合いそうなので一般道で酒田に向かった。走っている途中で、メロン園をいくつもみかけて「この辺ではメロンもとれるのか」と、ちょっとびっくりする。

「相馬楼」の駐車場に予定時刻の三十分前に車を入れることができた。すぐ手前の信号で止まったときに、間口がやけに広い妙な建物が右手にあり、よく見ると今夜の目的の酒場だったので探す手間がはぶけた。





 急いだのは相馬楼では毎日午後の二時から舞妓さんの踊りがあるのだ。
 京都の祇園あたりで何度も舞妓さんを見かけたことはあるが、贔屓客と一緒とか紹介がなければ祇園で踊りなど観られるわけもない。
 酒田の相馬楼なら観光客でも観られると聞き、今回ふたたび酒田を訪れたのである。

 江戸時代(1672年)、河村瑞賢が西回り航路を整備すると酒田はますます栄え、その繁栄ぶりは「西の堺、東の酒田」ともいわれた。酒田には、昭和の初めまで百数十人の芸妓がいたという。



 相馬楼は、もともと江戸時代より料亭「相馬屋」として開業していた。庄内大震災で焼失後、残った土蔵を囲んで再建されたものである。

 入場と踊りの観賞のセット料金の千円を払い、暇つぶしに見てまわることにする。
 館内は<撮影厳禁>だが、庭だけを撮るなど、とにかく建物が写らなければいいと云われる。これはなんとも難しい。
 一階の「くつろぎ処」と茶室の間に中庭があった。



 他に竹久夢二美術館、雛の蔵、蔵座敷、現相馬楼主である「平田牧場」のオーナーが収集したコレクションを展示する蔵画廊などがあり、思ったよりも客を飽きさせない。

 時間がきて二階の大広間にあがってみると、どこにいたのだろうというぐらいの満員盛況であった。
 しばらく待たされて、若い舞妓がふたりと、妙齢の三味線を抱えたお師匠さんが入場してきた。



 三味と唄で、踊りが始まった。最初の演目は「庄内おばこ」である。
「おーーばぁーーえー~」
 突然、優雅に踊っている舞妓が、優雅とはほど遠い素っ頓狂で間延びした掛け声をあげたので思わず噴出しそうになってしまい、咳をしたふりをして誤魔化した。
 この雰囲気で笑ったら間違いなくつまみ出される。本気で噴出したら最後、馬鹿笑いが止まらなくなってしまうわたしである。

 掛け声がかかりそうになるたびに、息が詰まるように緊張してしまう。
 堪らず外の景色に視線を投げると、空き地に猫がいるのが眼にとまった。数えると三匹いる。遠目にもきれいそうな猫たちで、喧嘩かなとおもったら、じゃれあって仲良く遊んでいる。
 無心に遊ぶ猫たちをちょっと眺めているうちに心が静まって、平常心が戻ってくる。そうしてようやく舞妓の踊りに集中することができたのである。



 あとで調べてわかったのだが、「おーばーえー」と聞こえた掛け声は「こばえて」で、意味は「くればいい」とのことであった。


  →「鶴岡ラーメン」の記事はこちら


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 玉原ラベンダーパーク(2) | トップ | 海の青 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ぶらり・フォト・エッセイ」カテゴリの最新記事