<成田のヒラメ>
JR成田駅を成田山新勝寺のあるほうへ出て、線路沿いを佐原方向に進む。
短い下り坂をおりて五、六十メーターくらい行ったら右に折れる。
「さわらや」がそこにある。
全国各地の銘酒が外から見えるように山ほど並んでいる。
カウンターに座るのも気づまりなので、座卓が三つある小上がり風の座敷にあがった。
さて、なにを呑もうか。
焼酎は「魔王」以外はすべて四百円。芋焼酎でも二十種類近い。ちょっと狂喜してしまう。
呑みものをオーダーして、さてつまみをなににしよう。白身の魚の刺し身がいい。
鯛がないから平目にした。ついでにもろきゅうも頼む。
(えっ、これが頼んだ刺身か・・・)
うーん。
運ばれてきた平目の刺身をみて思わず唸った。もちろん喜んで唸ったのだ。
エンガワがメインではないか。こんな贅沢な平目のエンガワ食べたことない。コリコリとした食感であるが、全体として上質な鮪の大トロの味に近いのである。生涯で食べた平目で一番旨いと心底思う。
最近、わたしのお気に入りのTV番組に「吉田類の酒場放浪記」というのがある。
全国、といっても首都圏が多いが、酒場詩人といわれる吉田類(よしだるい)が酒場を訪ねて酒を呑み、肴を食べて酒場の客や主人と交流し盛りあがる、という内容だ。
番組の最後は一句詠んで締める。吉田類はイラストレーターでもあり俳人でもある。いろいろな分野に造詣が深い吉田類だが、決して知識をひけらかさない。そこも気に入っている。
わたしも、B&Bで泊まり夜は酒場ということが多いので、参考になる旅先での酒場があればということで観ているのだ。だいたい二十軒くらいに一軒、そんな割合でちょっと行ってみたくなる店が出てくる。
この店は、そこで紹介された一軒である。
「他意(鯛)はない・・・がヒラメはある」
つまらないことを思いだした。
どう考えても一回こっきりの笑いしかとれそうもないギャグなのだが、一度これがみんなに受けたら毎度繰り返すけっこう真面目な同僚がいたのを思いだす。
収入がいい、ただし勤務時間が死ぬほど長い会社へ転職していったが、いまごろどうしているだろうか。
ついで、夏の香りが皿で運ばれてくる。
こんな圧倒的な匂いの胡瓜は珍しい。
(この香り高い胡瓜で一句ひねるか・・・)
なんか一句くらいひねれそうだ。
思いついたらメモできるように携帯をテーブルの上に用意する。
いつもの虚空を睨みながら白目を剥いて俳句をひねる、をやると他の客の迷惑になる。なるべく視線を上に向けないようにして沈思する。
茄子とつみれの挟み揚げ。
ふつう魚のすり身がつみれなのだが、ここのはヒラメをベースにしてアワビと桜エビを使った贅沢三昧のつみれである。老舗料亭の一品として出せるような、すごく高級な味わいであった。
横に礼儀正しい四人組の男性客、奥に若者男女五人組がはいってきてとんでもなく下品な話を大声で喋り出す。
生湯葉の刺身。
実はこれが目当てだったのだが、お通しで生湯葉の小皿がでたので最後にしたのだ。
ここで焼酎から日本酒に変えた。
「船中八策」という高知の辛口の酒だ。
隣の客が出ると、若者たちの下ネタ話が直接聞こえるようになる。女性二人も止めることもなく話に興じている。
一句できたし、聞くに堪えなくなって精算を頼む。
勘定は驚くほど安かった。愛猫の快癒が叶ったら、成田山にお礼参りしてこの店に必ずまた来よう。
→「成田山初参詣(1)」の記事はこちら
→「成田山初参詣(2)」の記事はこちら
JR成田駅を成田山新勝寺のあるほうへ出て、線路沿いを佐原方向に進む。
短い下り坂をおりて五、六十メーターくらい行ったら右に折れる。
「さわらや」がそこにある。
全国各地の銘酒が外から見えるように山ほど並んでいる。
カウンターに座るのも気づまりなので、座卓が三つある小上がり風の座敷にあがった。
さて、なにを呑もうか。
焼酎は「魔王」以外はすべて四百円。芋焼酎でも二十種類近い。ちょっと狂喜してしまう。
呑みものをオーダーして、さてつまみをなににしよう。白身の魚の刺し身がいい。
鯛がないから平目にした。ついでにもろきゅうも頼む。
(えっ、これが頼んだ刺身か・・・)
うーん。
運ばれてきた平目の刺身をみて思わず唸った。もちろん喜んで唸ったのだ。
エンガワがメインではないか。こんな贅沢な平目のエンガワ食べたことない。コリコリとした食感であるが、全体として上質な鮪の大トロの味に近いのである。生涯で食べた平目で一番旨いと心底思う。
最近、わたしのお気に入りのTV番組に「吉田類の酒場放浪記」というのがある。
全国、といっても首都圏が多いが、酒場詩人といわれる吉田類(よしだるい)が酒場を訪ねて酒を呑み、肴を食べて酒場の客や主人と交流し盛りあがる、という内容だ。
番組の最後は一句詠んで締める。吉田類はイラストレーターでもあり俳人でもある。いろいろな分野に造詣が深い吉田類だが、決して知識をひけらかさない。そこも気に入っている。
わたしも、B&Bで泊まり夜は酒場ということが多いので、参考になる旅先での酒場があればということで観ているのだ。だいたい二十軒くらいに一軒、そんな割合でちょっと行ってみたくなる店が出てくる。
この店は、そこで紹介された一軒である。
「他意(鯛)はない・・・がヒラメはある」
つまらないことを思いだした。
どう考えても一回こっきりの笑いしかとれそうもないギャグなのだが、一度これがみんなに受けたら毎度繰り返すけっこう真面目な同僚がいたのを思いだす。
収入がいい、ただし勤務時間が死ぬほど長い会社へ転職していったが、いまごろどうしているだろうか。
ついで、夏の香りが皿で運ばれてくる。
こんな圧倒的な匂いの胡瓜は珍しい。
(この香り高い胡瓜で一句ひねるか・・・)
なんか一句くらいひねれそうだ。
思いついたらメモできるように携帯をテーブルの上に用意する。
いつもの虚空を睨みながら白目を剥いて俳句をひねる、をやると他の客の迷惑になる。なるべく視線を上に向けないようにして沈思する。
茄子とつみれの挟み揚げ。
ふつう魚のすり身がつみれなのだが、ここのはヒラメをベースにしてアワビと桜エビを使った贅沢三昧のつみれである。老舗料亭の一品として出せるような、すごく高級な味わいであった。
横に礼儀正しい四人組の男性客、奥に若者男女五人組がはいってきてとんでもなく下品な話を大声で喋り出す。
生湯葉の刺身。
実はこれが目当てだったのだが、お通しで生湯葉の小皿がでたので最後にしたのだ。
ここで焼酎から日本酒に変えた。
「船中八策」という高知の辛口の酒だ。
隣の客が出ると、若者たちの下ネタ話が直接聞こえるようになる。女性二人も止めることもなく話に興じている。
一句できたし、聞くに堪えなくなって精算を頼む。
勘定は驚くほど安かった。愛猫の快癒が叶ったら、成田山にお礼参りしてこの店に必ずまた来よう。
→「成田山初参詣(1)」の記事はこちら
→「成田山初参詣(2)」の記事はこちら
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