<禁断のドンブリ>
旅先で、虜になってしまった。
別に旅で出逢った美女とかの艶っぽい話ではなく、なんの虜(とりこ)になったかというと、食い物に、である。しかもドンブリものである。
食い物ぐらいで、虜とは大袈裟なヤツと思うかも知れないが本当なのだ。
べらぼうに旨い「さけ茶漬」という、鮭の身をほぐした瓶詰めがある。
そのまま酒のつまみにしてもいいし、ごはんのオカズにしても、その名のとおりに茶漬けにしてもイケる。
新潟にある加島屋という店で造られていて、たいていのデパートで手に入る。
ただしちょっと値がはるのだけが欠点だが、これは誰もがハマってしまう味で、これを食べたら大量に出回っている類似の商品にはまず手が出なくなってしまう。
新潟の繁華街、古町通りの近くに加島屋本店がある。
その二階に、「茶屋長作」という加島屋直営のレストランがあって、そこが目当てで今回は新潟を訪れたのだ。
昼前の早い時間なのに、入り口には待ち時間三十分という表示が出ていた。ほかの店なら「ふざけるな!」とあきらめるところだが、これは待つ一手しかない。
記帳して、一階の販売スペースをぶらぶらして時間を潰す。
やっと、名前を呼ばれて店内にはいり、席につくとメニューをじっくり検討した。
真剣に考え抜いて「長作丼」と、さけ茶漬を使った「お茶漬膳」の二品に絞り込んだ。
さあ、どちらにしようか迷う。
うーむ・・・そうだ!
閃いた。(っていうほどでもないが)
もう一品は、どうせ市内で一泊するから明日また来て頼めばいいのだと気づき「長作丼」をオーダーした。
さて、その長作丼が運ばれてきた。
丼のご飯の上にはキングサーモン、いくら醤油漬、生うに水たきが載せられている。
まずはサーモンからいくか、このあまりの鮮やかさからは期待できないような気が・・・。
「なに? なんだ、このサーモンは!」
その、鮮やかな切り身をひとくち食べた瞬間、眼を剥いたわたしは一瞬にして虜になってしまったのだ。
こんなサーモンはいままで食べたことがない。いったい、いままで自分が食したサーモンはなんだったのか。
厳選吟味した素材に、手間を掛けた塩加減と熟成だけで、この極上をはるかに超えた美味が生まれるとのことだが、とうてい信じられない。
店内を見回せば子どもが多いのだが、わたしだったら間違ってもこの店でこのサーモンだけは食べさせたくはない。
この味知ったら人生が狂う。稼ぎのない未成年者禁止の危険なドンブリ指定、禁断のサーモンだ。
味を覚えた子どもが、目の玉が飛び出る勘定をとられる東京銀座の寿司屋で「母ちゃ、このサーモン旨くねっし!」と、ひと噛みでほうりだす光景が目に浮かぶ。
次の日は開店早々にいき、もう一品の「お茶漬膳」を注文した。
こちらはそれなりにさけ茶漬を食べなれているので安心できる。たらこも絶妙の味。
箸がとまらなくなる、とはこのことである。思わず茶漬で食べるのを忘れてしまう。
半分以下になったところで気がつき、ちゃんと出汁を入れてお茶漬にして食べた。
昨日も大満足、今日も大満足の二食に合掌である。
そうだ、値段を書いておこうか。丼が千四百円、お茶漬膳はその半額の七百円と超リーズナブル。
これ書いているうちにまた食べたくなってきたぞ。
旅先で、虜になってしまった。
別に旅で出逢った美女とかの艶っぽい話ではなく、なんの虜(とりこ)になったかというと、食い物に、である。しかもドンブリものである。
食い物ぐらいで、虜とは大袈裟なヤツと思うかも知れないが本当なのだ。
べらぼうに旨い「さけ茶漬」という、鮭の身をほぐした瓶詰めがある。
そのまま酒のつまみにしてもいいし、ごはんのオカズにしても、その名のとおりに茶漬けにしてもイケる。
新潟にある加島屋という店で造られていて、たいていのデパートで手に入る。
ただしちょっと値がはるのだけが欠点だが、これは誰もがハマってしまう味で、これを食べたら大量に出回っている類似の商品にはまず手が出なくなってしまう。
新潟の繁華街、古町通りの近くに加島屋本店がある。
その二階に、「茶屋長作」という加島屋直営のレストランがあって、そこが目当てで今回は新潟を訪れたのだ。
昼前の早い時間なのに、入り口には待ち時間三十分という表示が出ていた。ほかの店なら「ふざけるな!」とあきらめるところだが、これは待つ一手しかない。
記帳して、一階の販売スペースをぶらぶらして時間を潰す。
やっと、名前を呼ばれて店内にはいり、席につくとメニューをじっくり検討した。
真剣に考え抜いて「長作丼」と、さけ茶漬を使った「お茶漬膳」の二品に絞り込んだ。
さあ、どちらにしようか迷う。
うーむ・・・そうだ!
閃いた。(っていうほどでもないが)
もう一品は、どうせ市内で一泊するから明日また来て頼めばいいのだと気づき「長作丼」をオーダーした。
さて、その長作丼が運ばれてきた。
丼のご飯の上にはキングサーモン、いくら醤油漬、生うに水たきが載せられている。
まずはサーモンからいくか、このあまりの鮮やかさからは期待できないような気が・・・。
「なに? なんだ、このサーモンは!」
その、鮮やかな切り身をひとくち食べた瞬間、眼を剥いたわたしは一瞬にして虜になってしまったのだ。
こんなサーモンはいままで食べたことがない。いったい、いままで自分が食したサーモンはなんだったのか。
厳選吟味した素材に、手間を掛けた塩加減と熟成だけで、この極上をはるかに超えた美味が生まれるとのことだが、とうてい信じられない。
店内を見回せば子どもが多いのだが、わたしだったら間違ってもこの店でこのサーモンだけは食べさせたくはない。
この味知ったら人生が狂う。稼ぎのない未成年者禁止の危険なドンブリ指定、禁断のサーモンだ。
味を覚えた子どもが、目の玉が飛び出る勘定をとられる東京銀座の寿司屋で「母ちゃ、このサーモン旨くねっし!」と、ひと噛みでほうりだす光景が目に浮かぶ。
次の日は開店早々にいき、もう一品の「お茶漬膳」を注文した。
こちらはそれなりにさけ茶漬を食べなれているので安心できる。たらこも絶妙の味。
箸がとまらなくなる、とはこのことである。思わず茶漬で食べるのを忘れてしまう。
半分以下になったところで気がつき、ちゃんと出汁を入れてお茶漬にして食べた。
昨日も大満足、今日も大満足の二食に合掌である。
そうだ、値段を書いておこうか。丼が千四百円、お茶漬膳はその半額の七百円と超リーズナブル。
これ書いているうちにまた食べたくなってきたぞ。
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