温泉クンの旅日記

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河童淵

2011-03-02 | ぶらり・フォト・エッセイ
  <河童淵>

 昔あったずもな。



 土淵の新屋ず家の裏にとっても深い淵があったど。
 ある夏の暑い日、その家の若い者が、馬の足を冷やしてやるべと、淵へ馬を連れでって、そのまんま遊びさ行ってしまんたんだど。

 そしたら河童が出て来て、その馬を淵さ引き込むべとしたずもな。してば(すると)馬たまげて、河童引きずったまんま、馬屋さ飛び込んだんだど。



 今度は河童の方がたまげて、馬の舟(飼葉桶)をがっぽりひっくり返して、その中さ隠れたずもな。家の人達、
「なにして馬ばり(だけ)帰ってきたべ」
 と、不思議がって馬屋をのぞいて見たずもな。そしたら、舟がひっくり返ってべっこな(小さな)手が見えたど。開けて見たっけ、河童だったずもな。



 集まって来た村の人達は、
「この河童、いつもいたずらして、ろくでねえから殺せ殺せ」
 って言ったけど、でも、よく見たっけ、河童、手を合わせていたったど。ここの家の主人は、むじょやな(かわいそうに)と思って



「これからは、ここの淵で絶対悪いことすんなよ」
 って許すことにしたんだと。河童も、言うことを聞いて、そこからは遠く離れた奥沢の淵さ引っ越したんだとさ。





 どんどはれ。


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