<まあまあの味とは云わせない>
店によってそこで食べるものひとつと決めている。
莫迦のひとつ覚えのようだが、こうしておけば迷うことはない。
ところが仕事中の昼メシとなるとそうはいかない。店は行く頻度が違うからである。気に入って週に一、二度入る店も多いので、頼む料理も変化せざるを得ない。かなりな品数を試したあげく、ひとつの店でだいたい三種類ほどのパターンができてしまうのだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/43/52021ffc84d7e059401c3b49da2a9c2f.jpg)
地下鉄東西線木場駅から永代通りを東陽町方面に歩いて五分ほどの、東陽三丁目交差点を右に曲がってところにある「媽媽(まーまー)」は地元で人気がある中華料理店である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/53/7e86d34484dcdea3740ef61fc1d6262c.jpg)
間口は狭いのだが思ったより奥行きがあるので、三十人以上は楽に座れる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/24/b3ff552bfac3375457ba6218172f728c.jpg)
媽媽では「やわらかいやきそば」を注文することが一番多い。五目やきそばよりもこちらのほうがわたしの好みである。
醤油味の焼きそばである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/15/a37e214e94711c0e86f9232f9a04022c.jpg)
初めて入った店で「醤油焼きそば」をメニューにみつけると必ずといって注文してしまうのは、間違いなくこの店の影響である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/77/fdfcb24ba7f519bd5432028d70d6f01f.jpg)
麺のほどよい固さと、麺の邪魔にならないよう丁寧に切りそろえて混ざり合う具とともに口に広がる味わいがなんともいえぬ。
小皿に辛子がたっぷり載っているので、中盤過ぎたらやきそばの味のアクセントをつけられるのがいい。
七、八年以上食べにいっているのだが、訳あって半年だけブランクがあった。
ある夜に三人連れで、「媽媽」で軽く食事して帰ろうということになった。
内、二人がかなりの呑み助なので酒もちょっと呑もうということになり、三品ほど料理を注文し、ひとりはビールを、わたしはウィスキーの水割りを頼んだ。
顔なじみのママさんが気をきかせてボトル呑みを勧めたが、そんなに呑む予定ではないのでグラス売りでいいと断った。
シングルはいかにも薄いので、二杯目はダブルにしてもらった。ダブルだから千円近い料金だ。
やっぱ、ウィスキーを呑むならダブルだよなと言っているうちに、片割れもビールからダブルに参戦し、話題も盛りあがったせいもあって、ここから怒涛のダブルの連続お代わり攻勢が始まってしまったのだった。
そうして、「これがラストのダブル二杯」注文が何度も続き、勘定の金額を聞いてビックリ仰天した。予算の倍以上である。
「これさぁー、計算間違ってない」
よせばいいのに、図々しくもおずおずと訊くわたしに、
「割高なグラス売りのウィスキーを、ダブルで二十杯近くも呑むからですよ。あれほどボトルを勧めたのに・・・」
声から愛想が消えてトーンが思い切り下がり、ママの眉根がひそめられ、目元がちょいと吊りあがり怒気で赤らむのがわかった。
たしかに最初に言われたのをはっきりと思いだして、さすがに、気まずい雰囲気が漂ってしまう。
しまった、ああ、我ながら情けない。これはもう自業自得というしかない。
深く猛烈に自己反省し、自らに「半年間の出入り禁止処分」を課したのであった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/6e/8d887133637217adbde9abb0593ef0be.jpg)
週の二度目の場合には、炒飯を頼む。いろいろな炒飯のなかでも「豆板醤(とうばんじゃん)炒飯」が一番のお気に入りである。オイスター炒飯もハマッたが、やっぱりこちらが本命だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/32/a6f781b9553a0e25f1bb944957fad3c8.jpg)
同じ炒飯を出している店がほとんどないのは、豆板醤を使うと、味の調整が難しいのかもしれない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/e5/673530d1a9e35fdb53e72fea77f5e113.jpg)
ぴり辛いこの炒飯、月に一度くらい無性に食べたくなってしまう。
そして、どこの店でも食べられない「辛しそば」は寒い冬にはもってこいである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/dc/d022f43cf627484d5d8c899a074d31f8.jpg)
いわゆる「坦々麺」の領域なのであるが、一線を画していて、ふつうの坦々麺みたいにゴマゴマしていない。辛いのは好きだが坦々麺が苦手というひとも、こいつは食べられる。
大汗かいて食べきると、大げさだが途方もない満足感に満たされる。
「やわらかいやきそば」、「豆板醤炒飯」、「辛しそば」、ありがたいことにどれもが量が多めである。かつ値段は手ごろで、他の店より百円から二百円安い。
肝心の味は、いわゆる「まあまあ」では決してなく、極めつけのいずれも絶品だ。
量が多めなので、三品の画像をとるために、この教えたくない店にわざわざ三回も来てしまった。
もちろん、喜んでである。
店によってそこで食べるものひとつと決めている。
莫迦のひとつ覚えのようだが、こうしておけば迷うことはない。
ところが仕事中の昼メシとなるとそうはいかない。店は行く頻度が違うからである。気に入って週に一、二度入る店も多いので、頼む料理も変化せざるを得ない。かなりな品数を試したあげく、ひとつの店でだいたい三種類ほどのパターンができてしまうのだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/43/52021ffc84d7e059401c3b49da2a9c2f.jpg)
地下鉄東西線木場駅から永代通りを東陽町方面に歩いて五分ほどの、東陽三丁目交差点を右に曲がってところにある「媽媽(まーまー)」は地元で人気がある中華料理店である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/53/7e86d34484dcdea3740ef61fc1d6262c.jpg)
間口は狭いのだが思ったより奥行きがあるので、三十人以上は楽に座れる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/24/b3ff552bfac3375457ba6218172f728c.jpg)
媽媽では「やわらかいやきそば」を注文することが一番多い。五目やきそばよりもこちらのほうがわたしの好みである。
醤油味の焼きそばである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/15/a37e214e94711c0e86f9232f9a04022c.jpg)
初めて入った店で「醤油焼きそば」をメニューにみつけると必ずといって注文してしまうのは、間違いなくこの店の影響である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/77/fdfcb24ba7f519bd5432028d70d6f01f.jpg)
麺のほどよい固さと、麺の邪魔にならないよう丁寧に切りそろえて混ざり合う具とともに口に広がる味わいがなんともいえぬ。
小皿に辛子がたっぷり載っているので、中盤過ぎたらやきそばの味のアクセントをつけられるのがいい。
七、八年以上食べにいっているのだが、訳あって半年だけブランクがあった。
ある夜に三人連れで、「媽媽」で軽く食事して帰ろうということになった。
内、二人がかなりの呑み助なので酒もちょっと呑もうということになり、三品ほど料理を注文し、ひとりはビールを、わたしはウィスキーの水割りを頼んだ。
顔なじみのママさんが気をきかせてボトル呑みを勧めたが、そんなに呑む予定ではないのでグラス売りでいいと断った。
シングルはいかにも薄いので、二杯目はダブルにしてもらった。ダブルだから千円近い料金だ。
やっぱ、ウィスキーを呑むならダブルだよなと言っているうちに、片割れもビールからダブルに参戦し、話題も盛りあがったせいもあって、ここから怒涛のダブルの連続お代わり攻勢が始まってしまったのだった。
そうして、「これがラストのダブル二杯」注文が何度も続き、勘定の金額を聞いてビックリ仰天した。予算の倍以上である。
「これさぁー、計算間違ってない」
よせばいいのに、図々しくもおずおずと訊くわたしに、
「割高なグラス売りのウィスキーを、ダブルで二十杯近くも呑むからですよ。あれほどボトルを勧めたのに・・・」
声から愛想が消えてトーンが思い切り下がり、ママの眉根がひそめられ、目元がちょいと吊りあがり怒気で赤らむのがわかった。
たしかに最初に言われたのをはっきりと思いだして、さすがに、気まずい雰囲気が漂ってしまう。
しまった、ああ、我ながら情けない。これはもう自業自得というしかない。
深く猛烈に自己反省し、自らに「半年間の出入り禁止処分」を課したのであった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/6e/8d887133637217adbde9abb0593ef0be.jpg)
週の二度目の場合には、炒飯を頼む。いろいろな炒飯のなかでも「豆板醤(とうばんじゃん)炒飯」が一番のお気に入りである。オイスター炒飯もハマッたが、やっぱりこちらが本命だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/32/a6f781b9553a0e25f1bb944957fad3c8.jpg)
同じ炒飯を出している店がほとんどないのは、豆板醤を使うと、味の調整が難しいのかもしれない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/e5/673530d1a9e35fdb53e72fea77f5e113.jpg)
ぴり辛いこの炒飯、月に一度くらい無性に食べたくなってしまう。
そして、どこの店でも食べられない「辛しそば」は寒い冬にはもってこいである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/dc/d022f43cf627484d5d8c899a074d31f8.jpg)
いわゆる「坦々麺」の領域なのであるが、一線を画していて、ふつうの坦々麺みたいにゴマゴマしていない。辛いのは好きだが坦々麺が苦手というひとも、こいつは食べられる。
大汗かいて食べきると、大げさだが途方もない満足感に満たされる。
「やわらかいやきそば」、「豆板醤炒飯」、「辛しそば」、ありがたいことにどれもが量が多めである。かつ値段は手ごろで、他の店より百円から二百円安い。
肝心の味は、いわゆる「まあまあ」では決してなく、極めつけのいずれも絶品だ。
量が多めなので、三品の画像をとるために、この教えたくない店にわざわざ三回も来てしまった。
もちろん、喜んでである。
何と言う事でしょう!
奇しくも15年以上前に、所謂「打ち上げ」をした時に利用させて頂いたお店です。駅から、ちょっと遠いこともあって、本当に、「美味しさの穴場」的な、お店でしたよね!掲載された写真を拝見し、「あの頃」が、心の中に蘇ってきました。
席を一緒にし、そして今はいない、その時の同僚たちの、一人一人の顔が、脳裏をかすめます。
時の流れは、人との出会いや別れを、残酷すぎるくらいに強いることがあります。
もう、私自身、このお店を訪れることはないでしょう。でも、こうしてブログにアップされますと、カーペンターズの「YESTURDAYS ONCE MORE」みたいに、「あの頃」が蘇ります。
素敵なお店のUP、ありがとうございました。
返信遅れてすみませんでした。
お久しぶりです。
二度目の大雪の翌々日、つまり前の日曜日ですが、雪に足をとられながら駅まで向かい、片道一時間半かけて木場まで「やわらかいやきそば」の画像を撮るために出掛けた、甲斐がありました。
いずれ近い内に「木場の昼メシ」の続篇を発信いたしますのでお楽しみに。