< 北海道旅日記(1)>
( - 略 ― )
大間の温泉センターへの道へも曲がりそこねてそのまま直進し、突き当りの大間
の港にでてしまう。
車をとめてぶらぶらとフェリー乗り場の事務所にはいった。みやげ物でもみてみ
よう。
なんとなしに発着時刻表をみていると四時十分発のフェリーがある。あと十分ほ
どで出発だ。そういえば事務所付近の駐車場には車がいない。桟橋に停泊する船の
後部があくびをするように口をあけていた。乗船開始を告げるアナウンスも流れて
いる。
窓口の女性に、いまから間に合いますかねえと冗談半分に訊いたら、ハイだいじ
ょうぶですよと言われて絶句し、次の瞬間頭の中が一瞬真っ白になった。
横浜から走行すること千二百キロ。
ようやく北端の地まで来たが爽快な青い空に辿り着けなかった。
どこまで行ってもピタリと忠実な犬のように雨が寄り添ってくる。
しかし、このフェリーに乗れば夕方には北海道にいるわけだ。探していた青空も
北海道でならきっと特大の涼やかな蒼空であろう。それも明日の朝に見られるの
だ。もしかしたら函館は青空で、今日のうちに見られるかもしれない。
気にする上役も、埋め尽くされたスケジュール表などいまの自分にはないのだ。
下風呂も大間も、今日の旅館はまだ予約していない。
自由につかえる時間だけはたっぷりある。青空に出逢えるまでひたすら北上すれ
ばいい。迷うな。心の壁に張り付いた鬱が黴がきれいさっぱり洗われればそれで
充分じゃないか。着替えも持ち合わせが少ないが函館の銀行で降ろせばなんとでも
なる。家にはフェリーから連絡できる。行け、行くんだ。
連綿と永遠と続くこの薄汚い雲の連なりの、空の奥へ。
そんな、あれこれが真っ白な頭の中を光速で駆け巡り、ひとつの答えに集中し
殺到した。
「すいません、オレ、この船に乗りますから」
すぐ来ますから。窓口にそう怒鳴ると、書類を記入するために車検証をとりに
車に全力で走った。
・・・とここまでが横浜から大間までの話「空の奥 5章」である。
ここからが、いよいよ北海道の旅日記、函館からの分である。
■7月W日 走行 323キロ、累積 1169キロ。
大間発のフェリーは、函館港に定刻である17時50分に着いた。
函館も雨。
フェリーの腹から函館の地に踏み出す瞬間はいつも昂揚する。
最初のときなどは、北海道の地を走り始めた瞬間に、イージーライダーのテーマ
「ワイルドでいこう!(Born to be wild)」が頭のなかに、それはそれは大音量
でガンガン流れたものだ。
何度も来ているいまでは走り始めても、聞こえてくるのはサイモンとガーファン
クルの「ミセス・ロビンソン」ほどだが、昂揚の量自体にはそれほど変化はない。
北海道が好きなのだ。
途中「蕎麦小屋」という蕎麦屋があったのではいってみた。
盛り蕎麦の大がないので、量がすこし多いというざる蕎麦の海苔抜きをたべる。
海苔を抜きで値段は同じ650円ではだまされた感じである。手打ちだから大盛は
ないというのは合点がいかない。その気持ちが味にきたようだ。かなりの不満。
そこから「グリーンピア大沼」に向かうが、三陸青森と同じくまた濃霧であっ
た。
グリーンピア大沼はなかなかよろしい。設備がいい。
部屋もセミダブルのツインのシングルユーズというやつ。奥行きもある広い清潔
な部屋。壁も新品。B&B7000円。
ただし、温泉はスパ系でわたしにはちょっとダメかな。しかし、また来てもいい
ね。
→北海道旅日記(2)はこちら
( - 略 ― )
大間の温泉センターへの道へも曲がりそこねてそのまま直進し、突き当りの大間
の港にでてしまう。
車をとめてぶらぶらとフェリー乗り場の事務所にはいった。みやげ物でもみてみ
よう。
なんとなしに発着時刻表をみていると四時十分発のフェリーがある。あと十分ほ
どで出発だ。そういえば事務所付近の駐車場には車がいない。桟橋に停泊する船の
後部があくびをするように口をあけていた。乗船開始を告げるアナウンスも流れて
いる。
窓口の女性に、いまから間に合いますかねえと冗談半分に訊いたら、ハイだいじ
ょうぶですよと言われて絶句し、次の瞬間頭の中が一瞬真っ白になった。
横浜から走行すること千二百キロ。
ようやく北端の地まで来たが爽快な青い空に辿り着けなかった。
どこまで行ってもピタリと忠実な犬のように雨が寄り添ってくる。
しかし、このフェリーに乗れば夕方には北海道にいるわけだ。探していた青空も
北海道でならきっと特大の涼やかな蒼空であろう。それも明日の朝に見られるの
だ。もしかしたら函館は青空で、今日のうちに見られるかもしれない。
気にする上役も、埋め尽くされたスケジュール表などいまの自分にはないのだ。
下風呂も大間も、今日の旅館はまだ予約していない。
自由につかえる時間だけはたっぷりある。青空に出逢えるまでひたすら北上すれ
ばいい。迷うな。心の壁に張り付いた鬱が黴がきれいさっぱり洗われればそれで
充分じゃないか。着替えも持ち合わせが少ないが函館の銀行で降ろせばなんとでも
なる。家にはフェリーから連絡できる。行け、行くんだ。
連綿と永遠と続くこの薄汚い雲の連なりの、空の奥へ。
そんな、あれこれが真っ白な頭の中を光速で駆け巡り、ひとつの答えに集中し
殺到した。
「すいません、オレ、この船に乗りますから」
すぐ来ますから。窓口にそう怒鳴ると、書類を記入するために車検証をとりに
車に全力で走った。
・・・とここまでが横浜から大間までの話「空の奥 5章」である。
ここからが、いよいよ北海道の旅日記、函館からの分である。
■7月W日 走行 323キロ、累積 1169キロ。
大間発のフェリーは、函館港に定刻である17時50分に着いた。
函館も雨。
フェリーの腹から函館の地に踏み出す瞬間はいつも昂揚する。
最初のときなどは、北海道の地を走り始めた瞬間に、イージーライダーのテーマ
「ワイルドでいこう!(Born to be wild)」が頭のなかに、それはそれは大音量
でガンガン流れたものだ。
何度も来ているいまでは走り始めても、聞こえてくるのはサイモンとガーファン
クルの「ミセス・ロビンソン」ほどだが、昂揚の量自体にはそれほど変化はない。
北海道が好きなのだ。
途中「蕎麦小屋」という蕎麦屋があったのではいってみた。
盛り蕎麦の大がないので、量がすこし多いというざる蕎麦の海苔抜きをたべる。
海苔を抜きで値段は同じ650円ではだまされた感じである。手打ちだから大盛は
ないというのは合点がいかない。その気持ちが味にきたようだ。かなりの不満。
そこから「グリーンピア大沼」に向かうが、三陸青森と同じくまた濃霧であっ
た。
グリーンピア大沼はなかなかよろしい。設備がいい。
部屋もセミダブルのツインのシングルユーズというやつ。奥行きもある広い清潔
な部屋。壁も新品。B&B7000円。
ただし、温泉はスパ系でわたしにはちょっとダメかな。しかし、また来てもいい
ね。
→北海道旅日記(2)はこちら
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