<読んだ本 2016年12月>
ブログにも書いたが、風邪気味の今月は酒と饂飩の日々であった。
いま巷で流行りの熱湯5分より長い「10分どんべえ」もいくつか試して食べたが目からウロコであった。焼肉屋のカルビうどんなんかも滋養強壮になったかもしれない。
戸塚を流れる、もとは暴れ川と呼ばれた「柏尾川」である。
度重なる治水工事で氾濫の心配もなくなって、水質が改善されるとともに魚が多く生息するようになり、それらを狙っていろいろな水鳥たちが集まってくるようになった。
アオサギ、白鷺、鴨などはしょっちゅう見かける。
たまにカモメもいるのが不思議である。下流の海である相模湾からでも十キロ離れているというのに、そのたくましい飛翔力を使って群れでよく現れるのだ。
戸塚駅の架線にずらりと並ぶカモメは、なんとなく違和感があるようなないような不思議な景観である。
通常はスズメだったりハトだったり烏だったりするのだ。
のどかな、まるで海辺の駅のようでもある。
傍若無人な烏の大軍も、侮れない生命力を持つカモメには往生しているようだ。烏もカモメも雑食だから、きっとこの川には餌が豊富にあるのだろう。
さて、12月に読んだ本ですが一年の締めの月もなかなか凄いぞの9冊、年間累計で大台の92冊でした。
1. ○61時間 (下) リー・チャイルド 講談社文庫
2. ◎あきない世傳 金と銀 早瀬篇二 高田郁 ハルキ文庫
3.○鯖雲ノ城 居眠り磐音 江戸双紙二十一 佐伯泰英 双葉文庫
4. ◎火花 又吉直樹 文芸春秋
5. ◎親愛なる者へ 野沢尚 フジテレビ出版
6. ○荒海ノ津 居眠り磐音 江戸双紙二十二 佐伯泰英 双葉文庫
7. ○万両ノ雪 居眠り磐音 江戸双紙二十三 佐伯泰英 双葉文庫
8. ○朧夜ノ桜 居眠り磐音 江戸双紙二十四 佐伯泰英 双葉文庫
9. ○白桐ノ夢 居眠り磐音 江戸双紙二十五 佐伯泰英 双葉文庫
早瀬篇は、「あきない世傳」の二巻目だ。
治兵衛は主人公の幸に、絶妙のタイミングで心のこもった助言をする。
『「大坂には昔から『縁と月日』という言い回しがおます。何と優しい、ええ言葉やろか、と近頃、つくづく感心するんだす」
「えんとつきひ?」
大坂で暮らすようになって五年経つが、幸には初めて出会う言葉だった。「えん」は「縁」、「つきひ」は「月日」だろうか、
と見当をつけて、治兵衛の言葉を待った。
「もとは、良縁を得るには時をかけよ、という意味やろか。けど、それよりももっと深い味わいの言葉のように思えましてなぁ」
右の人差し指で、空に「縁」と描いてみせて、治兵衛は続ける。
「物事が成るか成らんかは、ひとの想いや働きだけで決まるもんやない。ご神仏の手ぇが差し伸べられるかどうかだす。
それに加えて、起こってしもた難事を解決するためには、短気はあかん。決して諦めんと、歳月をかけてゆっくりと時節を待て、
という意味やないか、て考えるようになりました」
卒中風で命を長らえたのはまさに「縁」だった。あとは「月日」をかけてゆっくりと身体の自由を取り戻せば良い
――そう思えるようになったのだ、と治兵衛は語った。
病によって身体の左半分の動きを封じられた治兵衛の言葉は、ずっしりと重みを伴って、幸の心に沁みていく。
幸、と治兵衛は久々に、娘の名を呼んだ。
「お前はんが戦国武将になるために、まさに『縁と月日』を待ちなはれ」
そのためにも焦らずに、今、出来ることをしておきなはれ、と五十鈴屋のもと番頭は店主の後添いに助言を与えた。』
この助言、主人公の幸でなくても心にしみる。
以前、番頭の治兵衛に言われたことを幸は思いだす。
『「ご寮さん、まずは知識をしっかりと身につけなはれ」
「知識を?」
鸚鵡返しをする娘に、そう、知識だす、と治兵衛は応える。
「知恵は、何もないとこからは生まれしまへん。知識、いう蓄えがあってこそ、絞りだせるんが知恵だすのや。
商いの知恵だけやない、生き抜くためのどんな知恵も、そないして生まれる、と私は思うてます。せやさかい、
盛大に知識を身につけなはれ」
この知識と知恵についてはわたしもまったく同感だ。若いころからそう考えていた。ただし、なんとなく偉そうなので人に言ったことはない。
二巻目読み終えると、たちまち早く三巻目が読みたい。面白い。
→「読んだ本 2016年11月」の記事はこちら
ブログにも書いたが、風邪気味の今月は酒と饂飩の日々であった。
いま巷で流行りの熱湯5分より長い「10分どんべえ」もいくつか試して食べたが目からウロコであった。焼肉屋のカルビうどんなんかも滋養強壮になったかもしれない。
戸塚を流れる、もとは暴れ川と呼ばれた「柏尾川」である。
度重なる治水工事で氾濫の心配もなくなって、水質が改善されるとともに魚が多く生息するようになり、それらを狙っていろいろな水鳥たちが集まってくるようになった。
アオサギ、白鷺、鴨などはしょっちゅう見かける。
たまにカモメもいるのが不思議である。下流の海である相模湾からでも十キロ離れているというのに、そのたくましい飛翔力を使って群れでよく現れるのだ。
戸塚駅の架線にずらりと並ぶカモメは、なんとなく違和感があるようなないような不思議な景観である。
通常はスズメだったりハトだったり烏だったりするのだ。
のどかな、まるで海辺の駅のようでもある。
傍若無人な烏の大軍も、侮れない生命力を持つカモメには往生しているようだ。烏もカモメも雑食だから、きっとこの川には餌が豊富にあるのだろう。
さて、12月に読んだ本ですが一年の締めの月もなかなか凄いぞの9冊、年間累計で大台の92冊でした。
1. ○61時間 (下) リー・チャイルド 講談社文庫
2. ◎あきない世傳 金と銀 早瀬篇二 高田郁 ハルキ文庫
3.○鯖雲ノ城 居眠り磐音 江戸双紙二十一 佐伯泰英 双葉文庫
4. ◎火花 又吉直樹 文芸春秋
5. ◎親愛なる者へ 野沢尚 フジテレビ出版
6. ○荒海ノ津 居眠り磐音 江戸双紙二十二 佐伯泰英 双葉文庫
7. ○万両ノ雪 居眠り磐音 江戸双紙二十三 佐伯泰英 双葉文庫
8. ○朧夜ノ桜 居眠り磐音 江戸双紙二十四 佐伯泰英 双葉文庫
9. ○白桐ノ夢 居眠り磐音 江戸双紙二十五 佐伯泰英 双葉文庫
早瀬篇は、「あきない世傳」の二巻目だ。
治兵衛は主人公の幸に、絶妙のタイミングで心のこもった助言をする。
『「大坂には昔から『縁と月日』という言い回しがおます。何と優しい、ええ言葉やろか、と近頃、つくづく感心するんだす」
「えんとつきひ?」
大坂で暮らすようになって五年経つが、幸には初めて出会う言葉だった。「えん」は「縁」、「つきひ」は「月日」だろうか、
と見当をつけて、治兵衛の言葉を待った。
「もとは、良縁を得るには時をかけよ、という意味やろか。けど、それよりももっと深い味わいの言葉のように思えましてなぁ」
右の人差し指で、空に「縁」と描いてみせて、治兵衛は続ける。
「物事が成るか成らんかは、ひとの想いや働きだけで決まるもんやない。ご神仏の手ぇが差し伸べられるかどうかだす。
それに加えて、起こってしもた難事を解決するためには、短気はあかん。決して諦めんと、歳月をかけてゆっくりと時節を待て、
という意味やないか、て考えるようになりました」
卒中風で命を長らえたのはまさに「縁」だった。あとは「月日」をかけてゆっくりと身体の自由を取り戻せば良い
――そう思えるようになったのだ、と治兵衛は語った。
病によって身体の左半分の動きを封じられた治兵衛の言葉は、ずっしりと重みを伴って、幸の心に沁みていく。
幸、と治兵衛は久々に、娘の名を呼んだ。
「お前はんが戦国武将になるために、まさに『縁と月日』を待ちなはれ」
そのためにも焦らずに、今、出来ることをしておきなはれ、と五十鈴屋のもと番頭は店主の後添いに助言を与えた。』
この助言、主人公の幸でなくても心にしみる。
以前、番頭の治兵衛に言われたことを幸は思いだす。
『「ご寮さん、まずは知識をしっかりと身につけなはれ」
「知識を?」
鸚鵡返しをする娘に、そう、知識だす、と治兵衛は応える。
「知恵は、何もないとこからは生まれしまへん。知識、いう蓄えがあってこそ、絞りだせるんが知恵だすのや。
商いの知恵だけやない、生き抜くためのどんな知恵も、そないして生まれる、と私は思うてます。せやさかい、
盛大に知識を身につけなはれ」
この知識と知恵についてはわたしもまったく同感だ。若いころからそう考えていた。ただし、なんとなく偉そうなので人に言ったことはない。
二巻目読み終えると、たちまち早く三巻目が読みたい。面白い。
→「読んだ本 2016年11月」の記事はこちら
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます