ご近所さん

　「さて朝食を作るか！」そう考えながら台所の流しで作業を始めていたら、　台所の網戸を通して”チョキン・チョキン”と植木バサミの音が聞こえているのに気がついた、　それも窓の外の意外と近くから。　「うん？！」と思って音のする方向を覗いてみたらお隣の奥さんとおぼしき人の姿がありました。

　　蒸し器でジャガイモやかぼちゃを蒸かそうとコンロの火に掛けたのをそのままに急いで外に出ました。　我が家の垣根に絡まっていたツタ植物を切り取る作業をしていたのは、やはりお隣の奥さんでした。

　「おはようございます、　済みませんね」と僕が声を掛けると
「垣根にも悪いし、　こんな蔦類は花が咲いて実が成ると、他にも増えていってしまいますから切らないとね」と奥さん。

　そして僕が家を借りるまで、　長い間空いていた家を、　なんだかんだと手入れをして下さっていた事も話してくれた。　垣根の枝も「伸びすぎると、道がカーブしているこの場所は見通しが悪くなり、車の運転に不都合だから」と言うことで、他のご近所さんと共に刈込みもやったのだそうですよ。

　切り取って道端に置かれたツタは結構な量がありました。　奥さんは「後で乾いたら家で燃やして処分します」という、　「いや燃やすのは私がやらせて貰います」　そう言いながら、　物置から熊手を持ち出してかき集め、　我が家の畑の一画に運びこみました。　じつは雑草畑の草刈りをつい先日やって、　刈った後にはその上でダンボール箱等の紙類を燃やして地面を出そうと試しているさいちゅう。　その延長線上で一緒に燃やせば済むことですからね。　そうそう、ここ安曇野では田畑の畦の草刈りしたのを堂々と野焼きしてます。　僕が同じように草や紙を燃やしても大丈夫でしょう？

　さて隣家の奥さん、結構スポーツウーマンらしく、　山歩きも時折されている様子。　お互いに「有明山に登った事がある」、「餓鬼岳にはまだ登ったことが無い」　そんなことで話しが弾み、　最後には「タナカさん、今度いつかお茶飲みにいらしゃい」とお誘いを受けました。