エイコおばさま

2014-08-08 07:43:23 | 安曇野生活
 「エイコおばさま」は山小屋のオーナーだ、 その名前を口に出して見ると、僕の親戚の叔母さんの名前とよく似た響きだし、年齢も同じくらい。 ところで最初は「おばさん」と書き始めてみたのだが、 全然田舎のおばさんと違う彼女の語り口を聞いて「おばさま」に変更したのです。

 餓鬼岳にある山小屋の連絡先住所は大町市常磐の住所が記載されていました。 オーナーは女性名で「エイコさん」。 その女性オーナーに会いたくてお宅を訪ねた訳じゃ無くて、 僕の使っているプリペイド携帯は話が長くなると(10分くらいで)料金が千円を越えてしまう。 どうせ大町市内に囲碁をやりに行く日なのだからちょいと寄り道して、山小屋の予約やコースの状況などを聞きたいと思ったのだ。

 WEBの地図で住所検索してみたら大町陸上競技場のごく近く。 紙に書き出すまでもなく「えーと、あそこら辺か」と知った場所でした。

 門柱に取り付けられたインターホンのボタンをちょい押しして来意を告げると、ハキハキした女性の声で「どうぞ、お入り下さい」の返事がありました。 門柱から母屋の玄関まで歩く事およそ25mの距離、広い敷地の家でした。 玄関扉は施錠さてれていて、そこにもインターホンのスイッチがあったので、もう一回ボタンをちょい押しして待つこと暫し。

 出てきたのは見た感じ60代後半かと思える女性でした。 「餓鬼岳小屋の宿泊予約とお尋ねしたい事がありまして・・・」そう言いながら、 ”登山予定日や人数、名前、連絡先”そんな予約に必要であろう諸々の項目を書き込んで用意してきた紙片を差し出しました。 それに目を通しながら「13日は台風も過ぎて良い天気になりそうですね」、「小屋もきっと貸し切り状態かも知れませんよ」、「今ね、台風を敬遠して週末の宿泊予約のキャンセルが大分入ってきてましてね、今もその電話してた所」 そしてまた紙片の住所を見て「私、学校に行ってた頃、三鷹に住んでいましたの、お近くですわね」問わず語りに色々と話してくれます。 

 紙には書き込んでいなかった年齢にも話がおよび「還暦くらいでしょうか?」との質問に「いや、もう今年古希になりまして」と僕。 そして逆にエイコさんの年齢当てにまで話は発展していきました。 「60後半、70歳くらいかな?」そう聞くと、「あら嬉しい、私はもうXX歳になってますの」との話。 奥から出てきた時の歩く姿勢、 サッパリしたスカート姿、 話のやりとりのテンポ 等々、どう見たって80代の田舎のおばさんじゃありませんでしたからね。

 話題が「午後に市内のアルプス囲碁村会館で囲碁の対局がある、そんなついでが有ったので、直接立ち寄らせて貰いました」そんな話をすると 「あら、それをやっている方、ミヤオさんだったかしら?」「市役所にお勤めになってらしたのよ」「眼鏡を掛けた、シャイな方でね」「私が宜しく言っていたと伝えて下さいな」と”世間は狭い”モードの話題に突入しちゃいました。

 そうそう肝心の質問 :
僕:「台風の状況に依っては、登山日を変更したいのですが、
   そんな時にはどうすれば?」
エ:「電話で連絡下されば宜しいですよ」と名刺を手渡された。

僕:「中房温泉から東澤乗越に突き上げるルートの状況は?」
エ: 登山ルートに崩れ等はありますが、
   「毎年、燕山荘さんと協力して沢沿いの渡渉点など、
    必要な箇所にはペンキで目印しています」
   「大雨等で流され、移動してしまった目印は
    消してありますから安心して下さい。」

   つまりそれなりに毎年整備している様です

 登山成功の極意も授けてくれました。
エ:「女性お二人同行されるとの事ですが、
   登りにどのくらいの時間を見ていますか?」
僕:「標高差1600m、300m/時間として7時間」
エ:「それで大丈夫でしょう」
  「でもね、女性を決して甘やかさない事
  「ゆっくりでも良いですからペースを保って
   しっかり歩き続ける事ですよ」

 しかしね、同行者の心配よりも自分自身が歩けるか? そっちが気掛かりなんですけどね。

 そして最後に餓鬼岳へ至るルート図等が記載されたパンフレットを手渡してくれました。その中の「白沢ルートに設けられた最終水場手前から大凪山頂付近に至る新たなルートも出来ている」 そんな情報も資料に手書きして教えてくれました。 まあそこらへんの実際は登山後に報告しましょうかね。

 そして本当の最後、 「ちょっとお待ちになって」そう言って奥に引込み、 冷えた缶入りお茶を持ってきて「お飲みになって」と手渡してくれました。

 まだまだ話は続き、本当の本当の最後があるんだよな、「もうすぐ小屋のボッカさんが降りて来る頃なの、貴方と同じお歳なのよ、是非あってもらいたいのに・・・」 鶴瓶の家族に乾杯の最後のナレーション風に、 「まだまだ続きを話したいけれど・・・」、 「これから昼飯食べて、囲碁に行かなくちゃならないんですよ」 と言うことでお暇して来ました。 
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