竜王戦第三局 豊島竜王対挑戦者羽生九段戦。
アベマTVの生中継をかぶりつきで視聴した。
終盤に羽生九段が逆転に成功し、コンピュータソフトが示す評価値は、大きく羽生九段に傾いた。
手に汗握る終盤戦だ。
豊島竜王は、龍を作って羽生玉に迫り、怪しく追い上げる。
そして、時間を使わずにすぐに指す。
すでに1分将棋となっている羽生九段に対して、時間攻めも駆使する老獪な差し回しだ。
クライマックスは最終盤にやってきた。
詰めろが続かないことを悟った豊島竜王がギアチェンジ。
攻めから一転し、▲6四馬の詰めろを受けるために4六の歩を成って、4二に歩を打てるようにした。
これが奏功し、羽生九段が間違える。
162手目に放った▲5三銀が大悪手。
銀を入手すれば先手玉に詰みがあることを見越していた豊島竜王の罠に羽生九段がまんまとはまってしまう。
勝利の女神が目前でスルリと逃げてしまった。
▲5三銀に替えてソフトが示した▲9四角なら羽生九段が勝っていたそうだ。
もし銀を受ければ、攻め駒が足りなくなるので▲5三銀が成立する。
しかし、朝から10時間以上指し続け、1分将棋になった生身の人間にその手を発見しろというのは余りにも酷だ。
豊島竜王の駆け引き上手な差し回しをほめるべきだろう。
羽生九段が投了を告げた瞬間、申し訳なさそうに深々と頭を下げた豊島竜王の姿が何とも印象的であった。