夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

輪島塗 銀吹の漆器 修理

2017-11-23 00:01:00 | 漆器
本家から伝わる銀吹の漆器類、修理が完了かと思われましたが、最後にトラブル。10客揃いの一の膳、二の膳の修理の仕上がりが悪いのです。どうも金額が足りないというのが依頼先の言い分のようです。

下の写真の右側が事前に試行した修理品。左が今回の修理が仕上がった作です。艶が違い、今回の仕上がりは曇ったガラスのようです。「コストがかかったので磨きの工程の分の金額が足りない。」というらしいのですが、当方への十分な説明はありませんでした。結局追加料金を払うことになって再修理の依頼することになり、輪島に送り返す羽目になりました。

梱包用の袋も一の膳と二の膳を直接重ねての袋となり、これでは互いに傷がつくのでこちらもやり直しですが、最近の職人や担当者は「本物」を知らないとしか思えないので、修理を依頼するこちら側も説明がたいへんです。



碗から始まった銀吹の漆器の修理ですが、長い道のりです。

ところで現在の漆器の漆の99%が中国産です。要はコストが安いから・・・。「JAPAN」と欧米から別称される器が欧米から「JAPNN]ではないと批判を受けています。浄法寺塗はなんとか日本製の漆を使おうと努力していますし、津軽塗では最後の仕上げは日本製ということのようです。中国製の漆は品質的にも、漆の香りについても問題がありますが、輪島ではコスト優先になっているのは致し方がないという状況のようです。

このせいでJAPANNと言われる日本の漆器が最近は評判が悪いかもしれません。海外で高い評価を受けながら自滅する可能性が高い伝統工芸です。特に輪島は・・・、過去の作品に現代の作品は足元にも及ばないようです。



当方の作品で当時のまま保存状態の良いのは重箱くらいです。亀は三人兄弟の家紋、今は親子三人の象徴。



当時は見事だったのでしょう。最低30客揃いはあった本家では宴会で実際に使用していました。旧い漆器は「JAPANN」を遺す漆器の最後の砦のようなもの。品質の落ちた現代ではせめて使用する漆の表示はきちんとすべきでしょう。



お櫃は修理完了ですが、当時の面影はなかなか残るようには修理できませんでした。津軽塗はすっかり蘇りましたが・・。輪島の品質、職人の質・意識の低下は憂うべきものがあるかもしれません。



いろいろと問題が浮き彫りになった漆器の補修ですが、それでも一式揃うと壮観・・??



10客揃いで使うことはなくなった昨今ですが、こういうものは遺しておきたいという贅沢な望みです。



柿右衛門の工房作品も10客。梨地の三の膳や杯洗、桑や黒柿の煙草盆などを揃えて一献。



染付類も10客・・、たしかもう一揃いの陶磁器群が揃いであったはず・・。



料理するほうがたいへん・・。

ところで私事ですが、実家の家業がうまくいかなくなり、家が抵当に入っていたので、家業を整理する際に家を出なくてはならない大みそかに特別にこの膳で食べたのが最後です。豪華さの陰にもの悲しい思い出のある作品です。

人生はいろいろあるもの、地道に頑張れば少しずつ蘇る。たとえ元のとおりでなくても・・・。人生は苦労が大切、日本の漆器も同じであってほしい・・。



さて、新垣榮三郎の作品群が家がないと騒いでおります、・・・もとい収納箱がないと。次は民芸の作品の整理だと・・、そういえば沖縄の焼き物も過去のものに遠く及ばなくなった民芸作品のひとつです。







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