夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

贋作考 富士山 伝竹内栖鳳筆

2017-11-27 00:01:00 | 掛け軸
スーツは気に入りの仕立て、腕時計は手巻きの50年以上前の中古品、ワイシャツはちょうど着易くなった生地に襟と袖を取り替えたもの、ネクタイは妻からの贈り物、ネクタイピンはアメリカのアンテークのブリッジ、靴は10年以上は手入れを尽くした革靴・・・、晩年の男は基本的にブランドを表に出さない骨董趣味が理想としたい。

そういう晩年を迎えると持っているものを処分することから始まるようです。スーツ、ジャケット、ズボン、セーター、シャツ・・・、骨董と同じく少しずつ処分しています。いいものだけをどれだけ残せるか、思い出がどれだけ意味があるのか、それが問われる。

さて本日は「まくり」の作品を面白半分で入手し、真贋の考察にて愉しんだ作品です。

贋作考 富士山 伝竹内栖鳳筆
絹本着色軸装 軸先 共箱 
まくり(未表装の状態)画サイズ:縦1290*横460



そもそもこのような富士山の描き方は初期の竹内栖鳳ならともかく、昭和期前後の竹内栖鳳は描いたのだろうか?



小室翠雲の作風に似ているが、描写はそれなりにうまいとは思います。



竹内栖鳳ならもっと筆数が少ない描写をすると思いますが・・・。



竹内栖鳳の共箱付というのが面白い。



作品中と共箱に落款と印章は下記のとおりです。まずは落款はほぼ合格。

 

参考となる落款資料は下記のものかな? 印章は違うものです。



印章は「霞中庵主」という非常に印種の多いものを使用しています。

 

資料の候補となり印譜は下記のものでしょうか? NO32はちょっと違いますね。NO31の周囲がとれた状態? 可能性はなきにしも非ず???



箱書きの「富士山」を他の真作らと筆致を比較してみました。

  

ちなみに参考にした作品本体は下記の写真の作品です。両方とも真作です。

 

本作品の現在の結論は「真作とは断定できない。(贋作)」ということになりますが、こういう作品を観ることを軽率だとは思いません。いろんな可能性を考慮しながら、おおいに学習になります。

真贋を己の趣向の赴くままという御仁もしますが、やはり贋作は贋作。己の品格の問題になりますので、とことん悩むべき問題です。悩んだ挙句は贋作と判断したら破棄することですね。なにごとも同じ・・・。







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