夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

大津絵 その6 藤娘 

2011-09-21 06:02:32 | 日本画
高峰秀子著の「おいしい人間」というエッセイを読書中です。
中島誠之助氏が骨董の薫陶を受けた女優さんです。「さすが」という交際相手ばかりです。
内容については後日また・・・・。

台風が近づいています。自然災害がこれほど多い年があったでしょうか?
自然災害は身近なものとして実感する今日この頃です。被害が少ないことを祈るばかりです。

さて、本日は大津絵の第6作目になります。
初めて大津絵というのを知ったのはずいぶん前に狩野派の絵師が『鬼の寒念佛』を描いた作品を骨董市で購入したことからです。調べてみたらそれなりに名のある絵師でしたが、痛んでいたことと、資金が必要であったので売却してしまいました。購入先から「非常にいいものをありがとうございます。」という御礼を頂き、「しまった」と思いましたが、手放すときは相手に気に入ってもらう、そういうのが一番です。

それ以来、大津絵の『鬼の寒念佛』は二度と私の手元には舞い込んできません。

大津絵 その6 藤娘 
紙本着色 画サイズ:縦645*横227

大津絵の藤娘は、近江国大津の名物で又平という絵師が作ったと言う戯れ絵、大津絵の画題の一つ。かつぎ娘、藤かつぎ娘とも称されます。



『鬼の寒念佛』と並び、元禄期からの代表的な絵です。歌舞伎や舞踊に取り入れられ、 一層有名になりました。人気があり、古いものは 『鬼の寒念佛』とともに入手が難しいようです。

大津絵ではこの黒い着物に藤柄というのが、 最も標準的です。カシミを持って踊る愛宕山参りの風俗から生まれた図と言われていますが、大津絵師が藤を持たせ人気が出てからは大津絵の姿、あるいは舞踊のイメージが強くなり、その出自は判然としなくなっていきました。



添えられる道歌も、その紆余曲折を反映してか不思議な響きがあります。「見る人も心にかけよ藤の花 長くもあれば短くもあり」「盛りとぞ見る目も共に行く水のしばし止まらぬ藤浪の花」 江戸後期以降には良縁の符として売られたこともあります。

大津絵はやはり泥絵の具と呼ばれたものを使用した古いものがいいですね。どうしても近代の作品はいけません。祈りのような大津絵本来のものが足りないのかもしれません。

大津絵は古くは安っぽい掛け軸でしたが、今は痛みもあり額に変わりつつあります。マンションでも大津絵を飾っていたら少しは粋ですね。


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