4日間にわたる年末前の庭の手入れが完了したようです。
毎回のことながら結構な大仕事です。
家内に撮影するなら今しかないと言われて、慌てて撮影。たしかにきれいになり、人間でいうなら理髪のあと。
それにしても庭というのは結構な手間と時間がかかるものです。
庭のないマンション住まいも味気ない気がしますが、手間のかからだけ気楽かも・・。
郷里のおとこの隠れ家も庭には苦労していますが、その分楽しみも増えるのも捨てがたいものです。
義母は思い切ってリュウゼツランの余計な葉は落としてもらったようですが、もっと落としてもよかったらしい。
70年に一度しか咲かないものにえらい手間のかかる・・・。
さて、本日紹介する作品は木谷千種の画集に掲載されている作品です。
女流画家で美人画というと上村松園、池田焦園、島成園らが上がられますが、それを引き継いだのが木谷千種という女流画家ですが、本ブログでは「その6」の作品の投稿となります。
千種・成園・更園・華羊らは「女四人の会」を結成し、西鶴の「好色五人女」を題材にとった展覧会を開催しています。この件は当方の他のブログ記事を参考にしてください。
千種は、東京の池田蕉園のもとで約3年間の研鑽を積んでいます。その当時の作と思われるのが本作品です。
少女図 木谷千種筆 その6 大正5年頃
閨秀書画家辞典掲載作品 絹本着色軸装 軸先木製 合箱
全体サイズ:縦1410*横250 画サイズ:縦*横
*軸装から額装に改装しています。軸装部分を染み抜き裏打ちし直してから、額装にしています。
第6回新文展に入選した木谷千種の作品である「花譜」を、ある美術評論家がただ一言、「温藉な画境」と評していたそうです。聞き慣れない言葉ですが、「心広くやさしく、しとやかなこと」を言う意味のようです。千種が到達した世界を表すのにもっともふさわしい言葉であるかもしれません。
本作品は「閨秀書画家辞典」という本に掲載されている作品のようです。本作品は落款の書体から大正5年前後の作と思われますが、この頃には女性らを閨秀画家と称するようになったのかもしれません。
閨秀画家・吉岡千種(木谷蓬吟との結婚前なので旧姓の「吉岡」としています。)と称されますが、「閨秀」という言葉は現在ではほとんど耳にすることがなくなりましたが、学問や芸術に特に優れた婦人という意味です。現在はやりの「セレブ」に近いニュアンスといっていいかもしれません。
第1回大阪美術展覧会では、千種を含め7人の女性画家が入選を果たしています。当時婦人の絵画熱が高まりをみせていたこともあって、「閨秀画家○○」というさまざまな記事が各新聞紙上に見受けられます。その中にあって、千種は新進の女性画家として、また、前述の「当世美女伝」にも取り上げられたこともあり、とくに注目を集めるようになりました。
さらに、大正4年10月、全国公募展覧会である第9回文部省美術展覧会に「針供養」ではじめて入選しました。受付作品数2150点、入選作品数218点、大阪の入選画家22人、内女性画家は千種を含め3人というものでした。
木谷千種の作品は、当初師である焦園や恒富の強い影響の下にありましたが、大正末年から昭和初年ごろを境に、その画風に千種流ともいうべき独自の形式化がみられるようになります。優艶流麗といわれた千種の世界が確立されたといっていいのかもしれません。また、美人画だけではなく、浄瑠璃や歌舞伎などに題材を求めた作品も多く手掛けるようになり、千種の世界がさらに広がりをもつようにもなりました。
大正末年、江戸時代末期から明治初年ごろの女性風俗を描きたいと、千種はある美術雑誌の中で述べています。この時代は、明治維新による混乱もあって、当時の社会風俗を伝える資料が欠落した時代でもあります。千種が目指した世界は、単なる美人画というものではなく、新たな時代の胎動を予感させる社会、その中の女性風俗をさまざまな資料を駆使して復元し、絵を介して描き出そうとするより高い次元にあったのかもしれません。
この作品は木谷千種が独自の世界を広げる前の作ですが、捨て難き趣を持った作品ですね。
額装に改装の費用などの打ち合わせメモから
「木谷千種筆・少女圖 絹本半切横
軸装を剥いで裏打ち(泰平商事) 15,000円
額装(世界堂) 11,000円
額はインターネットオークションで調達
改装の合計金額おおよそ30,000円
全体サイズ:縦530*横610 画サイズ:縦265*横335」
額自体はインターネットオークションで落札しています。額は送料を入れてもインターネットオークションでいいものを選んだ方がお得ですし、多種多様の額から作品に似合う額を選ぶ楽しみもあります。それにある意味でリサイクルになります。
軸装の作品は額装の前に裏打ちし直して、シミなどの洗浄を行った方がいいでしょう。マット類は世界堂や神田の草土舎がお勧めですが、いろんなものを探すといいでしょう。当方では額類は必ずタトウと黄袋のセットを誂えます。