夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

野菜画賛 伝岸田劉生筆 昭和2年

2023-09-08 00:01:00 | 日本画
岸田劉生の水彩画については(真贋含めて)本ブログでも何度か取り上げて、本記事は3回目の投稿となります。岸田劉生の作品は人気故に贋作が多いので魑魅魍魎たる分野のひとつのようですね。

*今まで紹介した2作品は贋作と判断しています。



当方は蒐集対象となっている郷里の伊藤弥太という画家が岸田劉生に師事していたこともあって、多少の関連から興味があっての入手です。

野菜画賛 伝岸田劉生筆 昭和2年
紙本淡彩軸装→額装  黄袋+タトウ
全体サイズ:縦1045*横240 画サイズ:縦235*横215

 

作品自体からは良さそうな作品ですが、真贋については素人の及ぶところではありません。真作ならばシミ抜きした後に額装かな?



冒頭の賛部分は「春?威方□々 佳実巳纍々」でまでしか解らず、意味は不詳です。



纍々:積み重なっているさま。また、連なり続くさま。

描いているのは青いトマト、ピーマン、あとひとつは?



下部の落款部分には「昭和丁卯夏 塘十才?堂 劉生寫并題 押印(「劉生」朱文白方印)」とあり、真作なら昭和丁卯夏(1927年 昭和2年(丁卯)夏)の作で亡くなる2年前、37歳の作と推定されます。

*岸田劉生の水彩画の真作には意外に「年季や倣元人」とかの賛が多いようです。



*落款部分の印章は多くは「劉生」(白文白朱方印)が一般的で、「劉生」(朱文白方印)は当方では資料がなく確認できていません。


冒頭の印章は下記の写真の左ですが、参考作品の中に同一の印章(下記写真の右)があります。

他の本ブログの記事の作品(「果物図」)の共シールにある印章では違和感がありましたので、贋作と判断しています。

 

その参考作品は下記の作品です。
「猫図」1926年 紙本彩色


筆致は前述した伊藤弥太と共通した雰囲気があります。果たして三度目の正直となりかな? 

*最終的にしみ抜きして額装にしました。シミはきれいに除去できました。



額も自分で誂えました。



今ままで調べた資料はすべてタトウに同封されています。



良さそうな作品かと・・・。

先日インターネットオークションで木村荘八の鑑定のある水彩画が出品されていましたが、おそらく真筆の作品でしょう。落札金額がおおよそ20万円でした。見る人はちゃんと見ているようですし、さすがにファンがまだまだ多いようですね。

*水彩画には「倣元人」という賛が意外に多くあるようです。

ところで岸田劉生とは関連がありませんが、先日の帰省で整理した郷里の男の隠れ家の作品には野菜を描いた水彩画があります。



どなたが描いたのか未だに不明・・・。







最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。