家内がなにやら浴衣を入手したようで、ず~っと寝室のテーブルの上に置いてありました。どうも着物を着ない小生に少しでも慣れさせようという魂胆らしい。着物が嫌いではない小生は根負けして着てみることにしました。
上記写真の掛け軸は川合玉堂の「渓村秋晴」(川合修二鑑定書添付 玉堂美術館登録番号:イ-第0559号)です。後日、本ブログで紹介予定です。
上記の作品は「黒髪の婦人」(木下孝則)の作品ですが、こちらも後日、本ブログで紹介予定です。
さて本日の作品ですが、本日はひさかたぶりに奥村厚一の作品を紹介します。少しずつ予算の許す範囲で蒐集してきて15作品目の紹介となります。
*手前の皿は藍釉餅花手の大皿、右棚が源内焼の作品です。
新緑 奥村厚一筆 その15
絹本着色軸装 軸先象牙 太巻二重共箱
全体サイズ:縦1410*横660 画サイズ:縦420*横510
掛け軸は季節ごとの掛けかえることが基本ですが、季節が移り行くことを先どって掛けるのが原則です。その原則に沿って、掛け軸を選ぼうとすると、いつも候補に挙がるのが奥村厚一の作品です。
奥村厚一の関心はもっぱら近隣の自然風物であり、幼少の頃から手製の画板を携え野山を駆けめぐり、ひたすら画家になることを夢みていたそうです。自然を自分の感性の中で優しく表現したのが奥村厚一の作品です。
女流画家の秋野不矩は奥村厚一の風景画について、次のように述べています。「奥村さんその人にあるような気がする作品である」と・・・。
印章類は他の所蔵作品と一致しており、違和感はありません。奥村厚一の作品には贋作を見たことがありません。
太巻き二重箱で共箱となっています。ところで奥村厚一の作品はシミの発生している作品が割に多いようです。なんらかの理由があるのでしょうが、蒐集する側にとっては状態の良い作品をさがすのにひと苦労です。
本作品は入手費用が2万円でした。状態が良くて、廉価で、いい作品というのを探し出せたのは非常にラッキーであった思います。ただ、前の方の保管方法は非常に粗雑なようで、その様子は譲り受けた時の掛け軸の紐の結びからからも分かります。掛け軸の紐の扱い方ひとつで作品に対する対応度が解るのは骨董の怖さでもあります。時には掛け軸を箱から取り出すしぐさひとつで、骨董に対する理解度まで解るものです。
さて当方では同じ画家や同じジャンルの陶磁器群が蒐集されるとアナログ的に資料を整理します。本ブログをはじめとするデジタル情報だけでは瞬時の判断が難しいからです。
印章類や落款も整理しながら記憶するようにしておきます。さらに解ってくると年代別に整理していくことになります。奥村厚一にはむろん贋作がありませんが、贋作の多い画家はさらに贋作との比較まで写真で整理しています。
このような作業によって小生のような呑み込みの悪い人間も審美眼が少しづつ鍛えられると考えています。
当方のように呑み込みの悪い人間は画集や美術館鑑賞では一向に審美眼が鍛えられませんので、地道な努力をすることが必要なようです。
蒐集する前に資料や画集、美術館を熱心に観ている人ほどいいものが蒐集できていないのが骨董の不思議な現象です。また入手してから熱心に調べるのも上っ面だけではダメなようです。努力した感性がすべて・・。