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作品を整理していくと箱のない作品が出てきます。そのまま柔らかいもので包んで収納しておくと一番費用がかからないのですが、毀れないように、どこの作品かがわかるようにするにはやはり収納箱に保存するのがいいだろうということになります。
今回は平野庫太郎氏の一輪挿二点の収納箱を用意して保存することにしました。本作品は平野庫太郎氏から頂戴した作品なので、平野庫太郎氏としては満足がいかない箇所があるように思いますが、我々から見ると完品そのもです。
油滴耳付一輪挿
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平野庫太郎氏の油滴天目は端正なフォルムと味わい深い釉薬によって良き作品となっています。
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高台からもたしかなろくろ技術が窺い知れます。
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均窯鶴首一輪挿
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釉薬の美しい流れが景色を豊かにしています。
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高台の美しさは天下逸品・・・。
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秋田市内に窯を構える保戸野窯の平野庫太郎氏の作品に注目してください。
本日は保戸野窯の作品とは違った観点の魅力のある源内焼の作品の紹介です。
源内焼が古伊万里や鍋島焼ほどメジャーにならない理由はいくつかありましが、その理由にひとつに優品の数が少ないというのが挙げられるでしょう。地図皿や軍配鉢などの代表的な優品は市場で見かけることは皆無ですし、しかも個人蔵が多くなっているために美術館で見かけることはめったにありません。
しかも代表的な優品以外は駄作が多いかというと、意外に駄作の数は非常に少なく優品揃いの源内焼です。やはり知名度が低く、再興源内焼など四国の他の讃岐で焼成された下卑た作品と混同されているのが大きなマイナスなのかもしれません。
本日は地図皿や軍配鉢などの代表的な優品に勝るとも劣らない源内焼の紹介です。
源内焼 その102 三彩牛乗祖師図脚付六角鉢
合箱入
作品サイズ:最大幅333*横*高さ50
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牛乗祖師図は、政黄牛図ともいい、北宋時代の僧惟政が、黄牛に乗って市中を徘徊したという故事を描いた図柄です。
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本作品は牛などに黄釉、衣服と笹に緑釉、菊の花のような植物などに紫釉を施し、縁取りには緑、黄、そしてわずかに紫の三彩を施し、三彩の魅力が十分な濃厚な感覚の仕上がりとなっています。
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多少の釉薬の剥離がありますので、漆で補修しておく必要はあるようです。傷のない作品、とくに絵柄に傷のある作品は極端に評価が下がることにも留意が必要です。ただ図柄の珍しい作品で無傷というものはたやすくは入手できるものではありません。
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型の彫りがシャープに出ていることが源内焼の生命線でありますが、作品のよっては型を繰り返し使っているからでしょうが、型がシャープでない作品が多々ありますので、蒐集においては線が明確な作品を選ぶことが肝要です。
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三彩で色が濃厚なものを施した作品には、線が甘くなった部分を修正する意図で濃厚な釉薬を使うこともあります。
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本作品はそのような意図ではなく、意匠として濃厚な釉薬を使用しているようです。
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大きさも30センチを超える作品は源内焼には数が少なく、三彩としての源内焼の魅力が充分に堪能できる作品であろうと思っています。
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五島美術館発刊の「平賀源内のまなざし 源内焼」には作品「NO78」として同型の作品が掲載されています。掲載されている作品は脚が巻貝文の三脚ですが、本作品は脚が縁取り状になっています。
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また「平賀源内先生遺作館企画展 さぬきの源内焼」には作品NO61で掲載され、同じく巻貝文の三脚です。
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掲載のような巻貝の脚の作品は源内焼にはよくありますが、縁取りの脚付の作品は源内焼では高級感のある作品に多いもので、数は少ないようです。
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本作品の特筆すべき魅力はその彫の精密さがあります。
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まずは牛に乗った「僧惟政」の着ている衣服の文様。
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牛に乗った人物像を描いた掛け軸の作品が多いのですが、「北宋時代の僧惟政が、黄牛に乗って市中を徘徊したという故事を描いた図」ということを知らない人が多いようですが・・。
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ここまで緻密に文様がある源内焼は非常に珍しいものです。僧惟政の顔も鮮明になっています。
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陽刻の作品でこれほど鮮明な陶器は類を見ません。
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周囲の草花は菊。
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もう一つの本作品の魅力は口縁に描かれた龍です。
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龍が口縁を一周しています。
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龍をデフォルメしたデザインは中国の殷時代の銅器のようでもあり、現代的でもあります。
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釉薬の剥離や欠けの部分はそのままにしておくと範囲が拡大するかの可能性が高いので金繕いで補修しておきました。
日本が生んだ「源内焼」を再評価して欲しいものです。
今回は平野庫太郎氏の一輪挿二点の収納箱を用意して保存することにしました。本作品は平野庫太郎氏から頂戴した作品なので、平野庫太郎氏としては満足がいかない箇所があるように思いますが、我々から見ると完品そのもです。
油滴耳付一輪挿
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平野庫太郎氏の油滴天目は端正なフォルムと味わい深い釉薬によって良き作品となっています。
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高台からもたしかなろくろ技術が窺い知れます。
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均窯鶴首一輪挿
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釉薬の美しい流れが景色を豊かにしています。
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高台の美しさは天下逸品・・・。
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秋田市内に窯を構える保戸野窯の平野庫太郎氏の作品に注目してください。
本日は保戸野窯の作品とは違った観点の魅力のある源内焼の作品の紹介です。
源内焼が古伊万里や鍋島焼ほどメジャーにならない理由はいくつかありましが、その理由にひとつに優品の数が少ないというのが挙げられるでしょう。地図皿や軍配鉢などの代表的な優品は市場で見かけることは皆無ですし、しかも個人蔵が多くなっているために美術館で見かけることはめったにありません。
しかも代表的な優品以外は駄作が多いかというと、意外に駄作の数は非常に少なく優品揃いの源内焼です。やはり知名度が低く、再興源内焼など四国の他の讃岐で焼成された下卑た作品と混同されているのが大きなマイナスなのかもしれません。
本日は地図皿や軍配鉢などの代表的な優品に勝るとも劣らない源内焼の紹介です。
源内焼 その102 三彩牛乗祖師図脚付六角鉢
合箱入
作品サイズ:最大幅333*横*高さ50
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牛乗祖師図は、政黄牛図ともいい、北宋時代の僧惟政が、黄牛に乗って市中を徘徊したという故事を描いた図柄です。
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本作品は牛などに黄釉、衣服と笹に緑釉、菊の花のような植物などに紫釉を施し、縁取りには緑、黄、そしてわずかに紫の三彩を施し、三彩の魅力が十分な濃厚な感覚の仕上がりとなっています。
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多少の釉薬の剥離がありますので、漆で補修しておく必要はあるようです。傷のない作品、とくに絵柄に傷のある作品は極端に評価が下がることにも留意が必要です。ただ図柄の珍しい作品で無傷というものはたやすくは入手できるものではありません。
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型の彫りがシャープに出ていることが源内焼の生命線でありますが、作品のよっては型を繰り返し使っているからでしょうが、型がシャープでない作品が多々ありますので、蒐集においては線が明確な作品を選ぶことが肝要です。
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三彩で色が濃厚なものを施した作品には、線が甘くなった部分を修正する意図で濃厚な釉薬を使うこともあります。
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本作品はそのような意図ではなく、意匠として濃厚な釉薬を使用しているようです。
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大きさも30センチを超える作品は源内焼には数が少なく、三彩としての源内焼の魅力が充分に堪能できる作品であろうと思っています。
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五島美術館発刊の「平賀源内のまなざし 源内焼」には作品「NO78」として同型の作品が掲載されています。掲載されている作品は脚が巻貝文の三脚ですが、本作品は脚が縁取り状になっています。
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また「平賀源内先生遺作館企画展 さぬきの源内焼」には作品NO61で掲載され、同じく巻貝文の三脚です。
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掲載のような巻貝の脚の作品は源内焼にはよくありますが、縁取りの脚付の作品は源内焼では高級感のある作品に多いもので、数は少ないようです。
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本作品の特筆すべき魅力はその彫の精密さがあります。
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まずは牛に乗った「僧惟政」の着ている衣服の文様。
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牛に乗った人物像を描いた掛け軸の作品が多いのですが、「北宋時代の僧惟政が、黄牛に乗って市中を徘徊したという故事を描いた図」ということを知らない人が多いようですが・・。
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ここまで緻密に文様がある源内焼は非常に珍しいものです。僧惟政の顔も鮮明になっています。
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陽刻の作品でこれほど鮮明な陶器は類を見ません。
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周囲の草花は菊。
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もう一つの本作品の魅力は口縁に描かれた龍です。
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龍が口縁を一周しています。
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龍をデフォルメしたデザインは中国の殷時代の銅器のようでもあり、現代的でもあります。
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釉薬の剥離や欠けの部分はそのままにしておくと範囲が拡大するかの可能性が高いので金繕いで補修しておきました。
日本が生んだ「源内焼」を再評価して欲しいものです。