夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

虎図 渡辺秀詮筆

2012-09-08 08:03:16 | 掛け軸
収集が長くなると著名な画家や陶芸家にこだわらずいいものはいいと思うようになり、求める作品も必然的に無名な作者であったりすることが多くなります。決して実利にはならない趣味です。

そのような作品は思った作品はたいがいぼろぼろに痛んでおりかなりの廉価で購入できます。そのような作品を改装などによって甦らせるのは収集する大きな楽しみのひとつです。

収集を始めた頃。盛岡近郊に赴任していた時に盛岡の雑多なものを扱う骨董店でぼろぼろに近い状態の「鍾馗図」を見つけ数千円で購入し、改装して額装にして現場事務所に厄除けで飾っておきました。転勤して現場を幾つか無事に終了した頃に、とある会社の社長さんがこの絵がどうしても欲しいと何度も懇願するので、根負けして差し上げました。後日、英国屋の背広の仕立券を贈っていただき困った思いをしました。改装費用よりは高そうなので実利になった??

どうも田園調布の大邸宅の玄関に飾ってあり、孫が怖いといって困っているらしい・・・、その作品はどこかにアナログ写真があるはずですが・・・。

本日の投稿する作品もかなり痛んでいますので改装が必要です。あまり著名な画家ではありませんので、上記のような趣旨の作品の部類に入るでしょう。

江戸中期以降に画流を席巻したのは長崎を中心とした画派です。特に沈南蘋を祖とする南蘋派と称される画流です。

片山楊谷もまた虎の絵で有名ですが、本作品もまたその流れを伝える作品といえます。

虎の絵といえば江戸期は円山応挙、佐伯岸駒、近代では大橋翆石が著名です。本ブログでも何点か投稿しております。小生は母の干支が寅のせいか、虎の作品が多くなってきました。



虎図 渡辺秀詮筆
紙本着色軸装 軸先木製
全体サイズ:縦1950*横717 画サイズ:縦1240*横581

わりと大きな掛け軸です。




「秀詮元瑜写」と落款が記されており、印象は白文朱方印「」朱文白方印が押印され、遊印「」が押印されています。「渡辺秀詮者長崎之人也就沈南蘋学画殊能虎鳥取藩画師楊谷之師也 □井書屋蔵」と巻止めに記されています。



長崎派と称される一派には古くから非常に贋作が多く、それほど当時から高い評価を受けていたと推察されます。
本ブログには関連する作品として下記の作品が投稿されています。

葛之花と虫 伝柳沢淇園筆
絹本着色軸先骨軸装二重箱入 
全体サイズ:縦1675*451 画サイズ:縦857*335


松に鶴図 岡本秋暉筆
絹本着色絹装軸修復時代箱入 
全体サイズ横672*縦1890 
画サイズ横515*縦1265

虎の絵は江戸期にはやはり朝鮮民画風の影響が大きく猫の絵のような印象を受けます。

千葉市美術館蔵には「虎図」としておなじような作品があります。







渡辺秀詮:江戸後期の画家。秀彩の子。字は元瑜、号は自適斎。猛虎を能くした。文政7年(1824)歿、89才。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。