夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

観音 富田渓仙筆

2019-10-28 00:01:00 | 掛け軸
本日紹介する作品は、最近では人気がなくなった?富田渓仙の作品ですが、私の好きな画家のひとりです。

観音 富田渓仙筆
紙本水墨軸装 軸先象牙 池田遥邨鑑題 二重箱入 
全体サイズ:横455*縦2105 画サイズ:横330*縦1308

 

富田渓仙は初め狩野派、四条派に学びながらも、それだけでは飽き足ることはありませんでした。京都で学んでいた富田渓仙は、仏画であったり洋画、南画などの新しい世界に心が惹かれて行き、次第に仙厓義梵、富岡鉄斎の独創的な世界観に傾倒をしていきます。

本作品は「楊柳観音」?を描いた作品でしょう。



富田渓仙の作品は独創的であり、繊細さが特徴です。自然のモチーフを愛していながらも、そのままの描写ではなく敢えて、形を歪ませていったり、中にはあり得ないようなものを加えていたりと、とにかくその独創性には驚かされることがあります。



現在は京都国立近代美術館、福岡市美術館、 高島屋史料館などに、富田渓仙の作品が数多く所蔵されています。



箱書は下記のとおりですが、池田遥邨の鑑定箱入は珍しいでしょう。池田遙邨は、初め洋画を学びますが、その後竹内栖鳳に師事し日本画に転じています。当初は、洋画風の写実表現を基調とした日本画を描いていたのですが、大和絵をベースとした作風へと移り、その後富田渓仙の画風に共鳴した作品を描いています。

  

賛はなんと読むのでしょう?

 

箱などの誂えはいいものになっています。



富田渓仙、今では忘れ去られてしまった画家のひとりになりつつありますね。現代の気質と南画や仏画の気風とが一致しなくなってせいかもしれません。



富岡鉄斎、富田渓仙、そして池田遙邨と並べて作品を鑑賞したら面白いかもしれないと思っています。







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