夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

キュウセン 色紙 大野麥風筆 

2019-06-28 00:01:00 | 日本画
義父が肺炎のため、今週の月曜日から長期?入院となりました。病気の回復度合いが気になりながら、なんやかんやと気ぜわしい日々となりました。畑を面倒見る人がいなくなり、掘りかけの芋が散乱したまま・・。家内と息子が畑でとりあえずジャガイモを収穫してきました。息子は農家の息子が似合うようで・・・。



幼稚園から帰ったばかりで畑仕事はきつかったようで、畑の脇で休んでしまったらしい



さて大野麥風について有名なのは『大日本魚類画集』・・、その作品に興味を持つうちに版画だけでなく肉筆画もいくつか手元に遺るようになりました。当然、大野麥風の作品は版画が魅力的ですが、肉筆にも版画に迫る作品があります。

キュウセン 色紙 大野麥風筆 
紙本水墨着色 色紙 タトウ
画サイズ:縦270*横240



大野麥風について有名なのは『大日本魚類画集』(昭和12年から19年まで6期に分け発行 500部限定)で、全72セットといわれていますが詳細は不明です。本ブログでもいくつかの作品を紹介したように『大日本魚類画集』は昭和十年代に部数限定&解説つきで毎月一枚ずつ販売されました。当初は水族館で魚を観察していましたが、やがて海の中で泳ぐ魚を求め潜水艇に乗り込み、間近で観察し始めたそうです。鱗の模様などを細やかに描写するとともに、生息環境をも正確に描き出しています。海水魚だけではなくドジョウやメダカといった川魚も、色鮮やかに生き生きと描写しています。

近年では2010年に姫路市立美術館でそのすべてが公開されたのが初めてで、2013年に東京ステーションギャラリーで公開されています。驚くことは「原色木版二百度手摺」と、この木版画集のうたい文句があるように、200回も重ねて摺って1枚が完成するという手法であり、一般的な浮世絵なら10回ほどだからいかに特異であるかがうかがい知れます。それは彫師や摺(すり)師ら優秀な職人がいたからこそ可能であって、今では到底無理な版画の技術でしょう。

本作品は以前に紹介した下記の所蔵作品と同時期の作品でしょう。

カサゴ 色紙 大野麥風筆 
紙本水墨淡彩 色紙 タトウ
画サイズ:縦270*横240



「カサゴ」の落款と印章が左下の写真で本作品の落款と印章が右下の写真ですが、同一印章と推察されます。

 

「キュウセン」について

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メスは体長20cm ほど。体色は黄褐色で、背面中央と体側に黒色の太い縦帯が入り、黒帯の内外に点線状の赤い縦線がある。「キュウセン」という和名は、この線の数を計9本とみたことに由来する。元々「キュウセン」は神奈川県三浦半島で使われていた呼称で、これが全国に定着する形となった。 一方、オスは体長30cm、稀にそれ以上に達するものがいる。体色は鮮やかな黄緑色で、体側の縦帯がメスより広く不明瞭になる。胸びれの後方に大きな藍色の斑点が1つある。この体色の違いからメスは「アカベラ」、オスは「アオベラ」とも呼ばれる。極端な性的二形のため、別種と思われることもある。 メスの一部は、成長するとオスへ性転換する(雌性先熟)。アオベラは全てメスが性転換したオスであり、体長9–15cm位の頃にメスの大きい物がオスへ性転換を図る。このグループを二次オスとよび区別している。二次オスは、複数のメスを抱えハーレムを形成する。 一方で生まれながらのオスもおり、一次オスと呼ばれるが、姿形はメスと同じである。見た目だけではオス、メスの区別ができないため、一次オスをイニシャル・フェーズ (initial phase)、二次オスをターミナル・フェーズ(terminal phase) と呼び、頭文字からそれぞれIP、TPと表記される。一次オスについては、メスのふりをして他のオスのハーレムで生活し、産卵行動に紛れて自分の精子をかけ子孫を残すという行動も報告されている。 表皮にぬめりがあり、うろこは魚体に対して大きいが、非常にはがれにくい。また鰓蓋があまり開かないため、調理には技術を要する。



*上記写真は雄

北海道・函館市以南、朝鮮半島、東シナ海、南シナ海沿岸まで分布するが、南西諸島には分布しない。ベラの仲間としては低温に強く、温帯域に分布できる数少ないベラの1種である。 やや内湾性で、岩礁の点在する砂礫底や砂底に生息する。若魚は干潮線付近の大きなタイドプールで見られることもある。昼間に海底付近や海藻の間をゆっくりと泳ぎ、甲殻類、貝類、多毛類など様々な小動物を捕食する。夜と冬は砂に潜って休眠する。まれに潮の引いた後にも砂に潜っていることがあり、潮干狩りなどで見つけることがある。産卵期は6月下旬から9月頃までで、地方により差異がある。



関西圏では夏季にキスとともに好んで釣りの対象にされ、専用の釣り船も出るほど人気がある。夜や冬は休眠するため、釣りは夏の日中に行われる。波打ち際の駆け上がりから沖まで生息域も幅広く、海岸からの投げ釣りもできる。フグ類のような「餌取り名人」としても知られ、小さな口と牙状の歯でうまく餌をちぎる。そのためあたりは小さく、コツコツという小さなあたりを見逃さず釣竿を小さくしゃくるように合わせる。釣り人の経験や腕の差が現れやすく、釣趣がある。

皮膚はぬめりがあるが、白身で癖がない。新鮮な大型個体は刺身が美味で、ワサビ、シソなどの薬味を添える。他に煮付け、塩焼き、唐揚げ、南蛮漬けなど様々な料理に利用される。

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なになに???「メスの一部は、成長するとオスへ性転換する(雌性先熟)。アオベラは全てメスが性転換したオスであり、体長9–15cm位の頃にメスの大きい物がオスへ性転換を図る。このグループを二次オスとよび区別している。二次オスは、複数のメスを抱えハーレムを形成する。 一方で生まれながらのオスもおり、一次オスと呼ばれるが、姿形はメスと同じである。一次オスについては、メスのふりをして他のオスのハーレムで生活し、産卵行動に紛れて自分の精子をかけ子孫を残すという行動も報告されている。 」だと・・・・。魚の世界もたいへんだ。絵というものは本当にいろんな知己が得られるものです。


なお「キュウセン」については「大日本魚類画集 NO56 ベラ図」として取り上げられています。 

大日本魚類画集 NO56 ベラ図 大野麥風画 
紙本淡彩額装 版画 1937年11月第4回
画サイズ:縦370*横275



上記作品は本ブログにて投稿済の作品ですのでそちらを参考にしてください。



ないやら展示室にやたらと魚の作品が増えてきました。



我が家には自然の幸が満ち溢れている?? 義父の回復を祈るばかり・・。



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