夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

春寒 福田豊四郎筆 色紙

2020-07-11 00:01:00 | 日本画
福田豊四郎が上京しても想うのは故郷・・。その記憶に郷里の自宅で買っていた愛犬がいたようです。一見すると稚拙な絵・・???



本日は土曜日ということですので、気軽に楽しめる作品を選びました。

春寒 福田豊四郎筆
絹本着色色紙額装タトウ入 3号
画サイズ:縦270*横240



本作品に押印されている朱文白方印「豊」は珍しい。同期時の小点のほとんどの作品はこれと累形の朱文平行線白印「豊」が押印されているからです。当方でも初めて見る印章ですが、描き方や落款などから昭和10年頃の福田豊四郎のの作品として違和感はありません。

下写真左が本作品の落款と印章で、下写真右が同時期と思われる当方の所蔵作品「鶏小屋」の落款と印章です。この時期には印章と落款が期間が短く変動しているようです。

 

この犬と同型の犬は同時期に郷里にて描いている作品「春寒」(同題の2作品:昭和8年作と昭和10年作)にも描かれており、郷里の自宅での愛犬ではなかったろうかと思われます。母曰く福田豊四郎氏は犬好きだったようです。父と母は福田豊四郎氏とは友人の付き合いだったようです。

参考作品
春寒(人物) 部分
1933年(昭和8年)作 紙本着色 額:1196*880 秋田県立近代美術館蔵
子供の頃の思い出?



軒下には犬が描かれています。



参考作品
春寒
1835年(昭和10年)作 紙本着色 額:720*905 小坂町立総合博物館郷土館蔵

母がこの作品を観て「豊四郎さんの真骨頂ね。」と言われてたのを今でも覚えています。



同様に軒下には犬が描かれています。



これらの作品を知っていることから、初期の稚拙とも思えるこの作品を当方では入手することと判断しました。




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