最近、何気なく出来の良そうな漆の蒔絵が施された作品と思い購入したのが本日紹介する作品です。
全部で4膳が出品されていましたが、ひとつは落札できませんでした。この作品は昭和初期頃の輪島塗の作品と推定されます。
復興への祈り 四君子蒔絵脚付小吸物膳 3客揃
輪島塗 大崎庄右衛門商店 布着堅地漆器 包装紙有 誂箱
作品サイズ:幅303*奥行303*高さ103
膳の四隅に描かれている蒔絵は「四君子」・・・。
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四君子(しくんし):蘭、竹、菊、梅の4種を、草木の中の君子として称えた言葉。またはそれらを全て使った図柄、模様。本来、中国語で君子は徳と学識、礼儀を備えた人を指し、文人はみな君子になることを目指した。
蘭、竹、菊、梅の4種の植物がもつ特長が、まさに君子の特性と似ていることから、文人画の代表的な素材にもなった。
蘭はほのかな香りと気品を備え、
竹は寒い冬にも葉を落とさず青々としている上、曲がらずまっすぐな性質を持っている。
梅が早春の雪の中で最初に花を咲かせる強靱さ、
菊が晩秋の寒さの中で鮮やかに咲く姿が好まれた。
それぞれの気品の高い美しさから、中国宋代より東洋画の画題としてよく用いられ、春は蘭、夏は竹、秋は菊、冬は梅と、四季を通じての題材となる。
これら4つの草木を描くにあたって基本的な筆遣いを全て学べるため、書を学ぶ場合の永字八法と同じように、画法を学ぶ重要な素材となっている。中国および日本における画題の一つであり、水墨によるかっこうの主題として,
墨竹は唐末,
墨梅は北宋末,
墨蘭は南宋末,
墨菊は明より描かれたが,これ以降しばしば文人による墨戯として,さまざまな組合せで描かれた。類似の画題に歳寒三友(松,竹,梅)がある。
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この作品はその包装紙が遺っていることから製造元が解ります。製作時期はおそらく戦前戦後かな?
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大崎庄右エ門:江戸末期に創業し、その工房は平成26年12月19日に国の有形文化財に登録されました。塗師文化の凝縮された主屋、土蔵、作業場、工蔵、土蔵が立ち並び、輪島ではこのような塗師屋の家屋配置を「住前職後」と言い、漆器生産の現場においてわずかな塵(チリ)や埃(ホコリ)を嫌うことにより可能な限りこれらを排除するために、気温や温度が安定した土蔵で作業を行なっている。
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今この輪島の漆器の工房が震災で大ピンチです。
最近の輪島塗は日本製の漆の使用量が少ない、蒔絵の技術が稚拙などという課題があるものの、この伝統工芸が消滅していくには忍びない。
当方ではわずかばかりの寄付金と輪島塗の素晴らしさを本ブログで少しでも伝えることしかできないのだが・・・。