夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

普段使いの器 織部(緑)釉鉄絵行灯皿

2022-06-18 00:01:00 | 陶磁器
本日紹介する作品は、幕末から明治期にかけて瀬戸で大量に作られたされる行灯皿です。瀬戸の石皿をベースとした作りですが、そのような作品群の中には織部釉薬を用いている作品がありますが、本日紹介する作品もそのような作りの作品です。



織部(緑)釉鉄絵行灯皿
誂箱
口径約220*高さ18



当時の民家に普及するためにも廉価で販売され、そのために大量生産されたもので、大量生産のためスピーデイな筆運びで、手慣れた絵付けが見所となっています。



数多く描くことで、すでにうまく描こうなんて気持ちをまったく感じないさせない無造作さが魅力なっていますね。瀬戸の石皿や馬の目皿などにもこの魅力があり、家内もお気に入りの作品群です。



柳に橋、そして舟上の人・・。これ以上ないと思われる省筆で描いた作品はこの上ない味わいを持っています。



上下にあきらかに無造作に浸してつけた織部釉薬。



色は鉄釉とまじりあって発色し、口縁周りに美しい緑色となっています。



そして作りもなるべく簡単となっていて、高台などもほぼ削ったままの作り込んです。



さてそれでは行灯皿(行燈皿)は具体的にどのように用いたのでしょうか?

 

上の右の写真の上から      
灯明皿   油を入れ、灯芯をさして点灯する油用灯火具の基本の部分
掻立て   灯明皿の中に置いて灯芯を押え、芯の長さを調整する道具

下は     
油さし   油を灯明皿に補給する為の道具
行灯皿   行灯の台の上に置き灯明皿からたれる油受け、行灯がよごれることを防ぎ、油さしも置くことがある。

電気照明の普及と共になくなった道具ですね。非常に頑丈な点と、手頃な大きさとお値段がマッチし、この皿を現在では石皿と共に食卓で使うようになっているのです。むろんよく洗ってから使います。

瀬戸の行灯皿で織部釉を用いた作品では本ブログにて下記の作品を紹介しています。
                    
織部(緑)釉無地行灯皿
誂箱
口径215~217*高さ18



織部釉薬を裏表の全面に掛けた作品は珍しいと思います。



下記の作品は本日の作品と同じように絵は鉄釉で描き、周囲に織部釉薬を施しています。

灯火紋様行燈織部六寸皿  
口径190*底径150*高さ18



絵は洒脱さをポイントします。



明治期になって陶磁器の普及で一般家庭でも陶磁器の器を使うようになり、その結果廉価で大量生産というニーズが生まれ、このような作品が生まれたという経緯のようです。現代では100円ショップの器のようなものでしょうが、はてさて100円ショップの作品が見直される時代は来るのでしょうか?? 






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