夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

楠木彫聖観音菩薩尊像 市川鉄琅作

2016-11-30 00:01:00 | 掛け軸
「聖観音菩薩像」が続きます。ここでついでに三作品を紹介します。



ひとつは最近紹介した伝平櫛田中の作品です。

聖観音 伝平櫛田中作 その2
共箱
高さ327*幅113*奥行115



この作品は以前に紹介しましたので、詳細は省略します。

もうひとつは澤田政廣の作の頒布作品。これは昭和55年講談社出版販売㈱から発売されたブロンズ彫刻の頒布作品です。

聖観世音菩薩 澤田政廣作
頒布品 共箱
高さ518*幅147*奥行125



澤田政廣の作品で金属製の作はあることはありますが、本作品は頒布作品ですので、数がかなり多く出回っています。



オリジナルの作品は知人が一体持っていましたが、だいぶ作風は違うものです。



オリジナル(原型)は澤田政廣自作ですので、それなりの風格はあります。



講談社からの頒布作品です。

 

落款や印章は木版か複写でしょう。頒布価格は高く。55万という資料もありますが、あくまでも頒布作品ですので、取引価格は10分の1以下が妥当でしょう。

 

知人の所蔵していた作品は下記の作品です。このようなオリジナルの作品に出会うまでの息抜きの頒布作品です。オリジナルの如くで売ったり、オークションに出品されていますが、それなりの値段なら許せるのですが、高額での入手は遠慮したほうがいいでしょう。北村西望にはこの手の作品が数多くあります。

聖観世音菩薩 澤田政廣作
共箱(未撮影) 高さ285*幅80*奥行き75



そしてもうひとつは以前に加納鉄哉の作品で紹介した市川鉄琅の作品です。最近えびす講にちなんで加納鉄哉の作品を紹介しましたが、その鑑定箱書をしているのが市川鉄琅です。

楠木彫聖観音菩薩尊像 市川鉄琅作
楠木 金彩色 共箱
幅136*高さ315



市川鉄琅:彫刻家。東京生。本名は虎蔵。師・加納鉄哉が復活させた鉄筆彫刻の最後の継承者。



金属茶道具に鉄筆の自由な筆致で花鳥風月を描き、絵画と彫刻を結ぶ技法と評価され、昭和62年(1987)歿、享年85才。評価は、師である加納鉄哉をしのぐとも言われています。



東大寺 第208世 清水公照とは、互いの師匠同士につながりがあり当然のように親交が続いていました。互いに技量を認め合っており、特に清水公照は市川銕琅の業に惚れ込んみ「天下の至宝」という言葉を送っています。



市川鉄琅は鉄筆彫刻の作品が主ですので、このような彫刻の作品は非常に稀です。



金彩が施されているのも珍しいかと思います。



加納鉄哉との関連、志賀直哉との関連は以前のブログでの紹介記事を参考にして下さい。



仏像は顔がとても重要です。また仏像は過去の念がありますので、うぶな作品のほうが無難でしょう。よほど古くて念が消失して枯れている?作品はいいかもしれませんが・・。



作家作品は共箱であることが必須です。

 

このような特徴の有る、癖のある字体は真似が難しいらしい。

 

高村光雲、平櫛田中は真似がしやすいらしいですが・・。

 

平櫛田中と市川鉄琅の「聖観音像」・・・、非常に似ていて興味深い作品です。



さてついでながら、現在展示されている他の彫像作品を改めて紹介します。

伝村田整珉作「大香炉」



伝平櫛田中作「大黒天」



作者不詳「毘沙門天」



伝高村光雲作「菅公」



近日のニュースで博多人形の名工に川崎幸子氏が選ばれたという放送がされていました。ニュースでは「父川崎虎雄に師事していた」とか・・。「川崎虎雄」・・・?、たしかどこかで聞いたような・・。展示室に飾ってある「利休」の作者はたしか「虎雄」・・・。



何気なく購入した作品ですが、どうも「名人と誉高い川崎虎雄」かな? 惜しむらくはマンションの玄関に飾ってあったので、弾みで右手首を破損したこと



作品の底にはたしかに「虎雄作 押印」とありますが、詳細は不明。

下手物揃いながら、感性頼りに探り当ててきた小生の彫像作品ら・・・。



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