Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

ヨハネス・ケプラーのワイン樽

2004-11-17 | 数学・自然科学
2004 02/19 編集

天文三つの法則で、ガリレオの地動説を理論的に援護し、ニュートンの万有引力を準備した天文学者兼数学者(1571-1630)。観測結果の精度が出ない間、光学系の研究も進める。視力に関しての論文は、最初期のものという。シュトッツガルト近郊のヴァイル・デア・シュタットの兵卒と旅館賄いの長男。幼くして、数学の才能を示し、当時の高名な天文学者のいるシュヴァーベンのテュービンゲン大学に学ぶ。ギリシャ語からヘブライ語の文献へと学識を広げる。新教的信仰の中にコペルニクス的宇宙観をもち、ピタゴラスやユークリッド数学を用いその構築を厳密数学的に追求していく。蜂の巣からの多面体の解析も業績。火星の観測から楕円軌道を推測するが、第三法則の出版まで10年近くの歳月を要する。その間、思想の革新性からグラーツへの移転を余儀なくされる。観測精度不十分のため高名な天体観測者チコ・ブラーエを訪ねプラハへ転居。二度目の妻を娶り、挙式を挙げることになった。彼は、晩餐のために樽でワインを大量に注文する。その際、形状の違う樽に関わらず穴から棒を突っ込み量を測る方法を見て疑問に思う。三日三晩の試行錯誤の末、厳密な計測の計算式を編み出す。微細な曲線部分は、微分の概念で計算していく。これら計算式や素材などは現在でも観覧できる。

彼の更なる研究は、こうして完成されていった。ガリレオの地動説に即、賛辞を送った彼は、ガリレオの父であるヴィンツェンツォの音楽論文を彼の著「宇宙の調和」で扱う。その音楽論文は、ヘレニスム的思考に立ち、中世教会調を元にした多声からの脱皮と12音や5度8度4度などの音響的調和を解析する。デカルトに尋ねるまでもなラモー以降の和声理論に直接の影響を与えた。この「宇宙の調和」を基に20世紀の作曲家ヒンデミットがオペラ(管弦楽)を作曲している。

ワインの内容量に疑問を差し挟む事になった、シュヴァーベン地方の合理性と倹約と実験精神は、現在も同地方のメルセデス社他の機械産業や教育・研究施設に脈々と流れるのを容易に見出すことができる。
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人工衛星のインターネット化

2004-11-17 | テクニック


航空機内でのインターネット利用は目新しいことではないが、全クラスで使えるようになるのは初めてらしい。サテライトと航空機の安定した交信方法や航空機システムに与える無線LANの影響などは技術的に興味ある点である。このインターネットポータルを提供しているのはシステム開祖ボーイング社の子会社であり、クレジットカードなどで清算される。ラップトップの無線LANカードがIEE802.11b仕様であればよい訳だ。このシステムを繋ぐのが地球自転と同期して見かけ上静止している三万六千メートル上空の10個の静止衛星と云う。電子メールなど多種の利用法があるが、10時間前後の短い旅行時間では使い方も限られる。

先日、メガジャンボ機A380が既に3機完成して試験飛行の準備に入っていると伝えていた。最長の旅客機A340-600のようなエレガントな飛行が楽しめるかどうかは知らないが、安定した飛行挙動と低燃費・騒音振動でヨーロッパテイストの航空機が期待される。特に向上する居住性は、制限の中で許す限り嘗ての客船に近づいている様だ。その大きさから受け入れ側の飛行場の整備が世界中で急務となっている。上の一号機を納入するシンガポール・エアーラインならずとも世界中で駐機所の改造が進んでいる。整備施設も一回り大きな格納庫が必要となり新設も検討されている。ミュンヘンの新第二ターミナルは、2006年のワールドカップ開幕の日にA380の初就航を祝うということである。

航空機内のエンターテェイメントの考え方は今後も変化していくと思われる。飛行は航海と違い地球の裏側への長距離飛行とノンストップ到達という理論的時間の上限が存在する。だから飛行は時間が限られる。上の有料のシステムよりもホテルロビーのような無料の軽微でインディヴィデュアルなシステムへと、嘗ての強制的な映画上演から個別モニターになったように変化するだろう。コックピットの技師が消え、キャビン専用に情報工学の技師が飛行する現実は些か滑稽であるが、どちらも高速度の情報処理の賜物であることに変わりない。
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特別なアトモスフェアー

2004-11-17 | テクニック
2004 10/16 編集

2008年から就航予定のボーイング社世界共同製作機7E7の記事を読む。欧州のエアバス社がA380という超ジャンボ機を開発して、アメリカのボーイングが超音速機開発を断念して、軽快な長距離機を開発するというのは興味深い。流石に古くなった大ヒット商品ジャンボ機から、B767を挟んでここ暫く対抗馬に押され気味だが、新たな市場を開拓して巻き返しを図る。

航空機に永く殆ど乗らなかったので、かえってここ数年の技術の向上には目を見張る。一万メートル上空でのシャンペンの素晴らしさを1月にも語ったように、最新のエアバスの低騒音や居住性はかつてのジャンボ機と比較出来ない。さて、新しいボーイングのスカイライナーは材料素材を開発厳選することによって、更に低排出を目指すようだ。コンピュータグラフィックからも嘗てのグロテスクな重厚巨大高排出から脱出して全く正反対の方向へ進んでいる。新開発の材質でキャビンの気圧を高めて居住性を高めるという。現在の航空機が標高約2400メートルに合わしてあるところを約1800メートルにまで下げる。自身高度の影響に敏感なので、この違いを考証してみたい。ボーイング社はオクラホマの大学と共同研究したらしいが、この高度600メートルに相当する気圧の差は、更に多くの人にとって快適を意味すると想像できる。しかし高度順応力には個人差もあり、自らの経験からすれば2400メートルに相当する気圧は決して不快ではなく特別なアトモスフェアーを醸し始める領域である。そもそもこのキャビンの気圧も普段の生活域と相対的なもので、インターコンチネンタルな旅行では出発地と到着地の気候差や時差ほどに大きくは無い。

前回も書いたように少し乾燥した軽やかな空気の機内は素晴らしい飲酒の環境となる。シャンペンが薄い気体の中で地上より勢い良く広がっていくのに比べ、フルボディーのワインは地上に比べ更に重みを増す感じだ。微妙な香りを楽しむには、今ひとつ空気が馴染まない。アルコールの気化の仕方に左右されるのだろう。ビールは、シャンペンほどに機内では美味しくない。これは普通ビールは香りで楽しまないからだろう。上の600メートルの高度差は、何よりも飲酒環境を変えるかもしれない。特別な雰囲気は減り、本格的に飲食出来るようになると、航空機自体が量より質へ技術革新する中、飲食は質から量へと進んでしまいそうでこれも心配である。
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