Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

英国の相続遺産

2004-11-15 | 料理
2004 07/11 編集

英国から様々な紅茶の入った包みを受け取った。ダージリンを中心にアールグレイ等である。ヒマラヤ産のこの高貴な茶だけでも5種類あるので、淹れながら比較していきたい。ティーバックは便利だが、時間が許せば葉っぱからポットで淹れたい。御用達のブランドに並んで、日本橋三越のお手本であり続けるデパートの商品も混じる。御用達マークが付いていないのに気がつく。其の中でも最高級の商品は、包装を見て驚かされ、その誇大包装に思わず吹き出してしまう。英国人のアイデアなのか、エジプト人のか、日本人のものなのか分からないが、大変滑稽である。先ずは、これは外見からパスして、月並みなのもパスして、中間の木箱入り「新茶」から始めよう。

木箱を開けて先ず驚くのが、葉っぱの色と形状である。お茶の緑色と丸まったままの葉っぱが見て取れる。なるほど冬明けの初スコール後の採取という講釈が理解できる。いろいろと淹れ方を工夫してみる。ダージリンに濃くと香りだけを求めると期待はずれとなる。短く、軽めに出して、レモンを付け加えてヒマラヤの清涼感を楽しみたい。水の違いと沸かし方は、いま少し研究を要する。

英国人のあるワイン専門家は、食間の飲み物に話題が触れるといつも紅茶の話になる。彼に言わせると、食事をワインに合わせるのは良いが、高級なワインになるほど選定が難しくなるので、食事にはワインではなく、全く問題ない紅茶を合わせるというのだ。良い紅茶が切れている期間はコーヒーで過ごしてきたが、コーヒーでは食事の相伴に大抵ならないことに気が付く。紅茶ならば、上の彼が言うようにミルクを入れても多くの食事から浮き出ないかもしれない。カレーにチャーイだけではないことを確認してみたい。



参照:嗜好品のエキス [ 料理 ] / 2004-11-16
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簡潔さと的確さ - H・ハイネ (1797- 1856)

2004-11-15 | 文学・思想


コブレンツから川向こうのローレライ側をさらにボンの方へ向かうと後期バロックの城がライン川沿いに建っている。そこで音楽会があったので参上した。ローレライの岸壁が落ちる曲がりくねったラインからは少し離れたところを通るアウトバーンは、微妙な高低差とカーブが多い路線なので無制限のところは少ない。そして当たりは冷えて霧が出てますます暗くなってくる、しかし適当に飛ばせるので眠気を誘う。ハイネの詠った伝説の金髪の美女は今はここへと所替えをして来ている。

迂闊にも詩人ハイネしか知らなかった者は、彼の文章の簡潔さと的確さに感心させられる。現在のジャーナリズムにおける特に文化欄の書き方の創始者であるということだ。皮肉や風刺やパロディーの分析にとどまらず、言語のもつ文化的記号の意味を巧妙に操って読者の視点を左右上下自在に思うように操る。そしてその詩も、当然のことながら読者の六感に訴えて思い通りに狙った効果を上げる。このように見てくると、1831年パリ移住後の活動、1832年のハンバッハー・フェストにコメントを寄せ、1835年以降国内出版停止された思想家としての活動と詩人としての活動が初めてハイネの業績の全体像として無理なく合致する。

さて音楽会の方は、来年東京デビューをすると言うシュタットフェルド君と同じく売り出し中のアマール四重奏団の競演で、ボヘミアの音楽をテーマに三日間連続の催しであった。ボヘミアの多重文化の中で作曲家たちはどの視点で何をどのように表現したかを垣間見せる趣向。マウルス博士の要点をついた進行で、演奏者にも様式や時代に依らない解釈へのフレクシブルな対応が求められた。ハイネの文章のような狙い通りの受け手の反応を期して、若い四重奏団の正確な譜読みによる様式感が、それより若々しく悠然とした自家薬籠中のピアノを援護した。因みにハイネの詩による歌曲も有名だが、シューマンよりもシューベルトやメンデルスゾーンの「歌の翼へ」の方が知的な面で合っているように思う。



参照:
行進しても喉が渇かない [ 生活・暦 ] / 2005-04-25
荒野に生えた葡萄 [ 歴史・時事 ] / 2005-04-29
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