Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

劇場に人を詰め込む方法

2020-05-13 | 文化一般
雪は降らなかったが寒かった。放射冷却でも陽が昇ると裸で走れる。やはり気持ちがいい。暑いよりも運動しやすい。

ヴィースバーデンのヘッセン州立劇場が来週からコロナ対策フェスティヴァルを行う。どれほど時間を掛けたのかは知らないが形を整えている。支配人はバイロイトでも演出をしていてお話しにならない演出家でもあるラウフェンベルクであるが、お見事だ。よくここまでそれもヴィーンのアンサムブルまで揃えたものだと思う。旅行の自由化もまだ分からない時に声を掛けている。

先ず出し物はスタンダードなオペラ「ばらの騎士」、「アラベラ」、「カルメン」、「オランダ人」に「トリスタン」などを並べている。勿論おけいこのようなピアノ版であるが、リーダーアーベントと共に顔を集めていて、元々のプログラムの面々をスライドさせている。

さて、可能となったのは勿論コロナ対策のコンセプトが当局によって認められたということだが、衛生を管理するのも大変である。トイレも一人づつしか使えないようにするらしい。芝居の方の小劇場は60人限定で、オペラの大劇場は200人入場となる。予約は列ごとで当日そこで席を割り当てる様だ。夫婦などは並ばせて、その他は四席に一人となる。一列ごと空けるので八分の一の入場者数となる。1041人の大劇場に200人をどのように入れるのか?恐らく夫婦づれの場合半分弱の半分で四分の一弱つまり260人弱収容可能。八分の一で130人入場なので丁度半々以上は夫婦連れとしている。場合によっては三角関係や家族などもあるのでその場合はさらに詰められる。

もうこうして考えるだけで興奮してきた。希少なティケットが入手できるのだろうか?少なくとも一旦キャンセルしたので殆ど全席が開放されると期待しているがどうだろう。更に健康に自信の無い人は来ないだろう。兎に角試してみたい。そしてこの様子を見ると横で「公演を禁止された」とぬけぬけと抜かしたラインガウ音楽祭の親仁が許せなくなった。なるほどプライヴェートであると上のような人数の公演では赤字になるだけだ。同じことをバーデンバーデンの支配人も語っている。しかしプランBとして秋以降も少人数で誰がどのように演奏して、来て呉れるかという言及まではあった。

あとはマスクを建物内でするということだが演奏中をどうするのか?ディスペンサーも入り口とトイレに用意してあるようだ。その他はスーパーと同じで一方通行にして、パーソナルを充分に配置すればよい。

キリル・ペトレンコが推薦したフィルムを観た。無料で観れる。フルトヴァングラーなどが出るベルリナーフィルハーモニカーはナチのオーケストラかというフィルムで、戦前の団員のまたその遺族をインタヴューを中心にまとめてある。演奏風景映像は比較的馴染みのものを再三使っていたが、AEG工場でのそれは違うアングルからの映像があって宣伝フィルムとは違うように使っていた。指揮者ではフルトヴェングラーが逃げた後での誤射で急死したボルシャウと若きチェリビダッケの映像またはリヒャルトシュトラウス指揮のオリムピックでの映像が出て来て、ペトレンコだけではなく今回の東京の事も脳裏に浮かぶ。何よりも興味がある音楽家はシモン・ゴールトベルクだが二度と共演しなかったことが興味深い。インタヴューを見れば、後の東独のシュターツオパーなどよりも戦後遥かに厳しい基準で非ナチ化したことが分かる。ペトレンコにとってもここは見せたかった歴史かも知れない。同時にカラヤン指揮制作のフランスものなへと繋がるのはそうしたショーウィンドーとしての西ベルリンの歴史でもあろう。



参照:
僅かばかりの石鹸だけ 2020-05-05 | 雑感
モニターの前の評論家 2020-05-04 | 文化一般


コメント
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