最後の最後に、ミンミンゼミが一鳴き二鳴きして、ど
うやら今年の夏も終わりそうだ。
数は非常に少なかったが、ミンミンゼミも確認できほっ
と一息。
夏の終わりのミンミンゼミは、単独で鳴くと(集団だと
ちょっとうるさい)、その独特な余韻が、あたかも空間
を漂うようで、情緒を感じる。
そして、こんな情景が浮かんでくる。
娘(原節子)
「お父様、ミンミンゼミが」
父(笠智衆)
「ああ、そうか」
娘
「夏も終わりですわね」
父
「ああ、そうか」
そして画面は、煙突のある屋根の風景をはさんで次の
場面。
それは、駅のホーム。
そこには、近所の若い男(佐田啓二或いは二本柳寛)
が、電車を待っている。
いつものように電車に乗る。
海をバックに(湘南辺り)、いつものように電車は走
る。
補足説明。
佐田啓二というのは、中井貴一の父親で、小津安二郎
と同じく蓼科に別荘を持っていて(茅葺のいい感じの別
荘)、その帰りに交通事故で亡くなった。
補補足説明。
笠智衆の別荘も蓼科にありました。
それと、小津安二郎の別荘は、「無芸荘」といって、公
開されてます。