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松本で特別上映会があったのでビデオで見て以来の「嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」(1991)を見に行った。ビデオの時も結構長い印象があったが今回のデジタルリマスター版は何と四時間余り(ビデオは三時間)、耐えられるか、見る前にちょっと不安がよぎる。
映画は台湾の台北が舞台、時代は1960年頃。台湾の複雑な政治状況も影響する中でのちょっと不良の中学生が主人公。後々に大きな事件に発展するのだが、映画はそんな大きな事件を物語ることに主眼を置いていない。不良仲間の中学生のやりとりやら不良グループ同士の抗争やら、更にその上のチンピラの抗争などが同じトーンで展開する。家庭の問題も恋愛もやはり同じトーン。目の前の生起する事柄をそのまま映していく。だ登場する人間も名前と人物がなかなか一致しないし、複雑な人間関係の分かり難さも多々ある。漢字表記で愛称なのか本名なのかも区別がつかない。しかし様々な事件は目の前で生起する。
とかなり分かり難い映画でしかも4時間、一般的には典型的な退屈な映画、と言えそうだ。が、この映画は、物語ではなく事件が生起する場を常に捉えた魅力的なショットの連続だ。主人公の小四(愛称だが始めは分からなかった)に共感できなくても、1960年頃の台北で起きた事件であっても、時代場所関係なく常に瑞々しい世界を見せてくれる。しかし長いことは長い。