ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

シャンタル.アケルマン 東から

2023年05月25日 | 映画

 

シャンタル.アケルマンという名前は聞いたことがあるが(男だと思っていた)、作品は見たことがなく見る機会もなく今に至っていたが、特集で上映するというので松本に行って来た。いくつかの作品で唯一「東から」というのが見るのが可能だった。全く予備知識なく(ドキュメンタリーということのみ)見たのだが、これがなかなか手ごわい作品だった。

まず全編どこで撮ったのかが分からない(ナレーション無し)。東欧方面らしいことは分かる。そこの町の風景、道路を行きかう人々の姿や駅らしき待合室の人々の姿やら突然のチェロコンサートの風景などが散発的に延々続く。場所は色々変わる。始めは東ドイツあたりかと想像したがその通りで、最後はウクライナあたりか(ロシア語だった)と思ったらそれも当たりだった。所謂分かるというのはそのくらいで、兎に角行きかう人々の暗い表情が印象的だ。雪原を歩く(何故かは分からない)家族なのか何かの仲間なのかの映像は、まるで「旅芸人の記録」のような神話的世界を彷彿とさせるし、映像には確かな力がある。ワイズマンと同じで何でもないような映像が違うのだ。しかしそれが二時間余りとなると流石に睡魔が襲ってくる(直前にビールを飲んでいたので三回ほど来た)。観客は八人ほどでそのうち一人は一時間ほどで脱落した。が、才能ある監督であることはよく分かった。

 

 

 

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