久しぶりに「トスカ」を聴いています。
この間の「ラ・ボエーム」に続き、また泣いちゃった。
カヴァラドッシのアリア「妙なる調和」や「星も光ぬ」も大好きで胸がフルフル、ジーンと来ちゃうけど、もうね、特にとにかくトスカが「マーリオ!マーリオ!!」って悲痛な叫びを上げるところとかたまらんですよ。(T-T)
「トスカ」は私の中でも思い入れのあるオペラ。
昔からクラシック系音楽やドイツリートには多少は慣れ親しんではいたけれど、オペラはまだ未知の分野で、モーツアルトの「魔笛」ぐらいしかちゃんと聴いたことがなくって、でも、モーツアルトのオペラはオペラというカテゴリーに入れるとちょっと違うんだよね。
モーツアルトのオペラはあくまでも「モーツアルトのオペラ」というくくりな感じなんです、私にとって。
というわけで、オペラに対してはクラシックに馴染みが無い人が感じるのと大して変わらない敷居の高さを感じていました。
そんなある日、かれこれ十五年ぐらい前のこと、突然自分で声楽を習いたくなって先生についた私、どうせならドイツリートやイタリア古典歌曲だけじゃなくオペラアリアも歌ってみたい、そう思うようになりました。
で、だったら、折角だから「オペラファンになるぞ!」って、気合いを入れてレーザーディスクプレーヤーを買い込み、そして初めて買ったソフトがこの「トスカ」だったんでした。
それはプラシド・ドミンゴとライナ・カバイヴァンスカが演じたオペラ映画だったんですが、最初は退屈だったっけ。
「歌に生き、恋に生き」あたりで何度ウトウトしたことか。
でも、このソフトが入門向けにはピッタリで。
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マリオ役のドミンゴは男前だし色気があるし芝居も上手だしもちろん歌も良い。
でもってトスカ役のカバイヴァンスカは女優さんが口パク?って思っちゃうぐらいプロポーションも抜群な美貌の持ち主な上に歌も芝居も上手いし、スカルピア役のシェリル・ミルンズは見るからに厭な奴を演じてくれていて、これ以上の説得力は無いでしょう。
作品の尺が短いおかげもあって、しばらく後には全曲頭に入り、無事に自分の中に「快感の受け皿」も出来て、大好きな一曲になったんでした。
映像は上記のものが一番好きなんですが、今聴いているのはマリア・カラスとジュセッペ・ディ・ステーファノのダイジェストCD。
最初はこのクセのあるカラスの声ってあんまり好きだと思えなかったけど、聴き込むうちにやっぱりこの巧さと魅力は格別だと思えるようになりました。
ステーファノのマリオも良いんだよなぁ。
それにしても、何も悪いことしてないのにさんざ苦しめられた挙げ句、正当防衛(って言えるよ)とはいえ殺人を犯すハメに陥り、そしてようやくこの一芝居が終わったら愛する人と二人で逃避行・・・って思って見せかけだけのはずのマリオの死刑執行を見守っていたトスカが兵隊達がいなくなり、伏したままの恋人の元に駆け寄って「もう終わったのよ、マリオ、起きて!」って言いながらよく見たら、なんと、実弾受けて既に息絶えていただなんて。
酷いよぅ。
そりゃ身投げもするさぁ。(T-T)
怒濤のカタルシス。
ストレス発散にはやっぱり悲劇なオペラ、最高っす。v