初めてそれを耳にしたのは、去年、残暑の最中だった…。
暑いがカラリと晴れた日、部屋中の窓を全開にして私は掃除を愉しんでいた。
手にした雑巾を濯ぐ水が心地よく、流れる汗さえ快いと感じていたその時、聞こえてきたのだ
『み゛~ぬ゛ぅぅぅい゛~~ぃび~ぃえ゛~~ぇむ゛っっっや゛ぁ~ぁ~ぜぇぇ~~っ』
それは階下の部屋から聞こえてくる。
蝉時雨ですら一瞬途切れてしまうほどの、それは…
「なっなっなっ、ナニぃ…?何なのぉぉっ」
ちょっとミステリー風の出だしを気取ってみました
その『み゛~ぬ゛ぅぅぅい゛~~…』は、アパートの私の下の階に住んでいる、若い男性が“歌う”声だったのです
ロックが好きらしく普段からCDの音はよく聞こえてきますが、別段迷惑なほどの音量ではないから気にならなかった…。
でも、まさか“歌う”とは…
いやいやいや、“歌う”のは構わないの、そのことにビックリしたわけじゃないの。
まさか、あんなに下手くそだなんてっ…
まさに「絵に描いたような下手くそ」…、あ、ちょっとニュアンスが違うな…、「音に聞こえた下手くそ」…、ん~ちょっと違うな、別にご近所で評判になってるわけじゃないし…、ん~っと、ん~っと…
そう!「我が耳を疑っちゃうような下手くそ」なのよねぇ。
どんな声かといいますと、《発情期の猫が首絞められたような声》ですな
それ以来、彼は毎日“歌う”
何やらロックのヴォーカルからジャニーズまで、手当たり次第、思いつき次第でとにかく1日一度、何かワンコーラスは歌う
「人間、羞恥心が無いという事は、ある意味幸せに生きられるという事かも知れぬ」と思ったら、それ以来面白くなってきた…。
その調子っぱずれが聞こえてくると、
「おっ、始まった始まった…」
と楽しくなってしまう。
何かの加減なんだか気分なんだかで途中でやめられてしまうと
「もう終わりかいっ」
とがっかりするようになってしまいました…
そして今朝、彼は初めてMCに挑戦
『O゛K゛、ザビズベゾガゴゲバガレ゛ロ゛、イエイッ!ゲバボベヂネ゛ミ゛ッッ、………』
もうビックリして一気に目が覚めてしまいました
それは、言語ではない、滅茶苦茶な音の羅列なのでした
いかに私でも、意味内容は分からずとも、聞けばそれが英語なのかフランス語なのかドイツ語なのかスペイン語なのかイタリア語なのか、はたまた韓国語なのか中国語なのかの判別は出来ます
彼の口から堂々とでかい声で発せられるそれは、何語でもない、言語ではない、音でした。
多分、耳で聞いた誰かのMCの声を聞こえたままコピーして、そのままのノリで発音してるんでしょうね
「おいおいおいおい、大丈夫かい…」
と心配になる反面、
「これもまた、才能という魔の、主張の発露かも知れん…」
と朝から怪しいことを考えてしまいました
暑いがカラリと晴れた日、部屋中の窓を全開にして私は掃除を愉しんでいた。
手にした雑巾を濯ぐ水が心地よく、流れる汗さえ快いと感じていたその時、聞こえてきたのだ
『み゛~ぬ゛ぅぅぅい゛~~ぃび~ぃえ゛~~ぇむ゛っっっや゛ぁ~ぁ~ぜぇぇ~~っ』
それは階下の部屋から聞こえてくる。
蝉時雨ですら一瞬途切れてしまうほどの、それは…
「なっなっなっ、ナニぃ…?何なのぉぉっ」
ちょっとミステリー風の出だしを気取ってみました
その『み゛~ぬ゛ぅぅぅい゛~~…』は、アパートの私の下の階に住んでいる、若い男性が“歌う”声だったのです
ロックが好きらしく普段からCDの音はよく聞こえてきますが、別段迷惑なほどの音量ではないから気にならなかった…。
でも、まさか“歌う”とは…
いやいやいや、“歌う”のは構わないの、そのことにビックリしたわけじゃないの。
まさか、あんなに下手くそだなんてっ…
まさに「絵に描いたような下手くそ」…、あ、ちょっとニュアンスが違うな…、「音に聞こえた下手くそ」…、ん~ちょっと違うな、別にご近所で評判になってるわけじゃないし…、ん~っと、ん~っと…
そう!「我が耳を疑っちゃうような下手くそ」なのよねぇ。
どんな声かといいますと、《発情期の猫が首絞められたような声》ですな
それ以来、彼は毎日“歌う”
何やらロックのヴォーカルからジャニーズまで、手当たり次第、思いつき次第でとにかく1日一度、何かワンコーラスは歌う
「人間、羞恥心が無いという事は、ある意味幸せに生きられるという事かも知れぬ」と思ったら、それ以来面白くなってきた…。
その調子っぱずれが聞こえてくると、
「おっ、始まった始まった…」
と楽しくなってしまう。
何かの加減なんだか気分なんだかで途中でやめられてしまうと
「もう終わりかいっ」
とがっかりするようになってしまいました…
そして今朝、彼は初めてMCに挑戦
『O゛K゛、ザビズベゾガゴゲバガレ゛ロ゛、イエイッ!ゲバボベヂネ゛ミ゛ッッ、………』
もうビックリして一気に目が覚めてしまいました
それは、言語ではない、滅茶苦茶な音の羅列なのでした
いかに私でも、意味内容は分からずとも、聞けばそれが英語なのかフランス語なのかドイツ語なのかスペイン語なのかイタリア語なのか、はたまた韓国語なのか中国語なのかの判別は出来ます
彼の口から堂々とでかい声で発せられるそれは、何語でもない、言語ではない、音でした。
多分、耳で聞いた誰かのMCの声を聞こえたままコピーして、そのままのノリで発音してるんでしょうね
「おいおいおいおい、大丈夫かい…」
と心配になる反面、
「これもまた、才能という魔の、主張の発露かも知れん…」
と朝から怪しいことを考えてしまいました