■ 温暖化対策よりも「節電」という世間の圧力で進行した省エネ ■
日本においては原発が停止した時点で、2000年比マイナス6%の温室効果ガス削減という目標は完全に放棄されたも同然ですが、一方で、電力不足緩和の為の省エネ努力が官民で凄まじい勢いで進んでおり、二酸化炭素の排出量の減少無き省エネという不思議な状況が生まれています。
半ば強制的な省エネ目標の設定で、本来なら未だ耐用年数を残しており、減価償却も終わっていない照明設備などがLED光源に交換されるなど、ライフサイクルコストを考えれば明らかに二酸化炭素を余計に排出する状況になっていますが、その恩恵でLED光源の低価格化が一気に進行した事は、驚愕すべき事実です。
原発事故以来、「電気の無駄遣い=悪」という与論が形成され、株主総会などでも省エネ率のデータの提示が求められた結果、企業はコスト度外視で省エネ化を推進しています。将来的には固定費の削減になるので、企業にもメリットはあります。
■ 太陽の4極化という現象 ■
最近では一般の新聞も無邪気に「二酸化炭素による地球温暖化仮設」を全面に押し出す事は少なくなりましたが、それでも夏場は温暖化の記事はある程度の説得力を持ちます。特に昨年の8月半ばは日本各地で観測史上の最高温度を更新しており、「温暖化している」と思われた方は少なく無いはずです。
一方で昨今の様に東京近辺で「観測史上最大の積雪を記録」すると、「温暖化って本当なの_」という疑問が生じる事もあります。尤も、温暖化論者の立場からすれば、「温暖化によって海水面からの水蒸気の発生が増大するので大雪に繋がる」とか、「温暖化によって地球の気温分布に不均等が生じて大寒波も発生する」と主張出来る訳で、本当の所、日本やヨーロッパ、北米大陸の近年の大雪や大寒波の原因が何かは科学的には「良く分からない」というのが正しい解答です。
ただ確実に言える事は、現在の太陽は「4極化」という不思議な状態にあるという事です。
http://www.jaxa.jp/article/interview/2013/vol79/p2_j.html
JAXAのホームページより
太陽は11年周期で北極と南極の極性が入れ替わる事が知られています。
この11年周期というのは、太陽の黒点数の増大・減少周期とも一致しています。そして、太陽は黒点数が多い時に活動が活性化し、黒点数の少ない時に活動が低下します。
太陽から地球に降り注ぐエネルギーも11年周期で増減しますが、その割合は極めて小さく、それ自体で地球の気候を変化させるものではありません。しかし、穀物の収穫量が、太陽の活動周期の11年に合わせて変動する事は昔から穀物相場を扱う人達には知られており、地球の気象は太陽の活動周期に何等かの影響を受けている事が分かります。
近年では、太陽の活動期に増大する太陽風が、雲の核になる宇宙塵を吹き払う事で、太陽の活動増大期に晴天率が上昇するという説が有力となっています。
本来ならば2013年は太陽活動の極大期で、太陽の極性が反転する時期に当たります。
しかし、日本の観測衛星の観測結果でも、北極と南極の極性が同じになっており、代わりに赤道付近に反対の極性が現れる「4極化」という現象が起きている事が分かっています。
この4極化が一過性の事なのか、しばらく継続する現象なのかは分かっていませんが、太陽活動の周期性に変化が表れている事は確かな様です。
■ 低下傾向にある太陽活動 ■
上のグラフは太陽の黒点数の推移とその予測です。近年、太陽の黒点数が減少してきている事が観測されていますが、これは太陽の活動が低下傾向にある事を示しています。
上のグラフは中世以降の太陽黒点数と気温の推移ですが、太陽黒点の数が多い平安時代から鎌倉時代初期までは地球は比較的温暖でした。この時期、霞ヶ浦や千葉県の内陸にある印旛沼は海と繋がっている内湾でした。
一方、鎌倉後期から江戸時代に掛けては、太陽黒点数は減少しており、気温も低下傾向にあります。この時期、冷害や干ばつによって飢饉が頻発しますが、地球の気温が低下する事により海面からの水蒸気の供給量が減った事も、干ばつの原因として考えられます。
同時期、ヨーロッパでも小麦の収量が減少して飢饉が頻繁に発生しています。ドイツなどヨロッパの北の国々では、寒冷地でも栽培出来るジャガイモが南米から伝わり、盛んに栽培される様になります。
1645年から1715年は特に太陽の黒点数が少なく、「マウンダー極小期」と呼ばれています。この時期はロンドンのテムズ川が全面結氷するなど、ヨーロッパでも寒冷化が進行しています。
■ 寒冷化は穀物生産を減少させる ■
温暖化が叫ばれる時代に寒冷化の心配をするのも妙ではあるのですが、温暖化よりも寒冷化の方が人々の生活に悪影響を及ぼします。
日本でも冷夏の年は米の収量が減少し、極端な年では米を緊急輸入した事を記憶されている方も多いでしょう。本来、南方系の作物である稲は夏場の充分な日照と気温が必要な作物です。品種改良によって、稲作の北限は北海道まで拡大していますが、冷夏が度々起こる状況では稲作の北限は南下せざるを得ません。又、日本全体での米の収量も減少します。
小麦も同様で、寒冷化が進行すれば中世ヨーロッパの様に、北の地域では収量が大きく減少します。温暖化問題でロシアや中国が、「温暖化は作物の収量が増えるので歓迎だ」的な発言をするのは理に適っているのです。
さらに、寒冷化は海水面からの水の蒸発量が減るので、大陸内部などでの降水量が減り、穀物などの収穫量に影響を与えます。
一方、温暖化や二酸化炭素の増大は、植物にとっては成長し易い環境と言えます。
■ そろそろ寒冷化の影響も真剣に考えるべき時 ■
太陽黒点数の長期的低下傾向や、4極化などの状況を鑑みるに、太陽活動は低下傾向にあり、長期的には寒冷化が心配される状況にあるかも知れません。
歴史的に見ると温暖化の時期は食料生産が増大するので都市や文明が発達し、寒冷化の時期には飢饉が発生しています。
中世の寒冷期の様な状況が今後発生するのであれば、地球は当時より格段に増大した人口を支えるだけの食糧生産を満たせなくなる恐れもあります。
■ 温暖化しているかもしれないし、寒冷化しているかも知れない ■
ICPPは相変わらず不完全なコンピューターシミュレーションを根拠に温暖化を主張していますが、既にNASAなどは、地球の気温低下を警告しています。
実際に地球の平均気温は2000年以降低下傾向にあると言われていますが、ICPPの資料などでは、観測点を恣意的に選択するなど、気温上昇の傾向が出る情報操作がされているとも言われています。
何れにしても私達は、地球が温暖化しているのか、寒冷化しているのか正確に知る手段を持ちませんが、記録的な大雪によって、「寒冷化」の怖さを図らずも私達は知る事になりました。
数年前からヨーロッパでも北米でも南米でも、寒波や大雪のニュースが絶えません。
行政的には一度走り出した「温暖化対策」は例え「寒冷化」が顕著になってもなかなか止まりません。一方で、民間のビジネスは目先を誤ると損失に繋がります。
「温暖化という名の政治」に振り回される時は終わりつつあるのかも知れません。