■ 50代で二軒目の住宅ローン? ■
最近、身近に50代で新たに住宅ローンを組む人が増えています。
フラット35で中古物件を購入した場合、月額返済が3万円代になった。」などと聴くと、かつての高い金利の住宅ローンを必死で返済している自営業の身としては馬鹿らしくなってきます。
フラット35は2軒目の購入でも総返済額が年収の35%以内であれば2軒目のローンを組む事が出来るみたいですね。
貸し手としては、新規に購入するマンションと、現在の手持ちのマンションも合わせれば担保も充分で、さらに団体信用保険に加入出切れば、死亡時の貸し倒れも回避出来ます。
■ 団体信用保険は破綻しないのか? ■
団体信用保険はローンの借主が死亡した時にローンの残高を保険でカバーする制度です。ローンを組でいらっしゃる方なら加入されている方も多いでしょう。
団体信用保険の完済年齢は80歳なので、50歳を過ぎていても加入出来ます。日本人の平均寿命が高齢化したからこそ可能なシステムとも言えます。高齢の加入者が増えると団体信用保険が支払いによって破綻しないかと不安にもなりますが、高齢者のローン残高は少ないはずなので、多分大丈夫なのでしょう。
■ 変動金利は安心か? ■
現在の住宅ローン金利は20年で固定が3%弱。2%を切っている金融機関もあります。一方、変動金利は低い所で0.65%なんてケースも。
アベノミクスで金利が上がるかと思いきや、日銀の異次元緩和の影響もあって、金利上昇は見事に抑え込まれています。「金融抑圧」という状態が永続するならば、変動金利を選択して、金利上昇が始まったら固定に駆りかえるのも上手な方法かも知れません。
問題は金利上昇がいつから始まるかですが、日本の不景気が少子高齢化や空洞化などによる構造的な原因に起因しているので、景気回復による金利上昇の心配は当面必要無いかも知れません。
■ 経常赤字化による影響 ■
日本の金利に影響を及ぼしそうなのが「経常赤字」。
2013年が黒字で踏みとどまるのか、通期で赤字となるのかも気になりますが、少なくとも今年あたりから通期で赤字化する可能性も出て来ています。
「経常赤字」が日本に与える影響で最も心配されるのが円安の過度な進行です。110円~120円/ドル程度で安定していれば問題ありませんが、これが170円、200円と進行して行く様なら「通貨防衛の為の利上げ」が実行される可能性は高くなります。
では円安が一気に進行する可能性がどの位いあるかと言えば・・・国民の貯蓄残高との兼ね合いになるのかなと・・・。
現在、日本国債は建前上、日本国民の貯蓄によって支えられています。もし、円安が進行する仮定において、日本人が貯蓄を外貨預金や海外投資に切り替えて金利を確保しようとする動きが強まれば、日本国債の需給安定に貢献している貯蓄が減少し、需給関係が崩れます。
長期的に観れば貯蓄額は減少に転じるので、日銀の異次元緩和は先手を打ったとも言えますが、明らかに日本の財政が日銀に依存しているとなれば、円の価値は現在よりも下がる、円安が加速します。これが過度な円安に突入すれば金利上昇も起こり得ます。
■ 米経済のV字回復も想像し難い・・・ ■
一方で、現在の為替レートは「ブサイク犬コンテスト」を依然脱しておらず、ドルやユーロの信用が急激に高まるとも思えません。FRBもECBも緩和縮小に舵を切りたいのですが、金融市場が緩和マネー・ジャンキー状態なので、本格的な緩和縮小から金融引締めまでの道のりはまだまだ遠い。
この様な状況では、余程のアクシデントでも無い限り、極端な円安も想像し難い状況です。
■ 問題はマンションの無価値化 ■
一見、中高年からの住宅購入や2軒目の購入に有利な社会情勢ではありますが、問題があるとすれば住宅の過剰供給問題。
そもそも、2軒目の中古物件が手ごろな価格で買えるのは、住宅が余り始めているから。
そして、マンションの法的な償却年数が47年である現状では、築20年の中古物件は、25年後にローンを完済した頃は、建物としては無価値となります。(実用上の価値は残っています)
先日、マンションの管理組合の研修会に参加して来たのですが、日本ではマンションの老朽化と居住者の高齢化が同時進行しており、築30年を超えるマンションの居住者の平均寿命は70歳を越えていたりします。
この様なマンションを立替しように住民の4/5の賛同を得る事はほぼ不可能です。容積率の緩和などで、ほぼ無償で立替が出きるケースを除いては、日本では現在の法律ではマンションの立替が非常に困難です。
20年後には・・・・老人ばかりが居住する、老築化マンションが全国に林立する・・・そんな時代がやって来るのかも知れません。
・・・あれ、それって私達の世代の事ですね。
■ 若者はローンを組めないイビツな社会 ■
本来、30代や40代前半の世代が活発に住宅を購入して来ましたが、非正規雇用の増加でローン審査もなかなか通らなくなっています。これは需要低下に繫がります。
需給バランスが崩れて中古物件の価格が低下する中で、中高年が2軒目のマンション購入を検討している・・・。何だか、こんな所にも格差社会の影響が出ている様に思えます。
ただ、2軒目を購入して、1軒目を息子夫婦に住まわせるなどというケースも在る訳で、その時々の経済状況や社会情勢に応じて、国民は最適と思われる選択をしているのでしょう。
金利上昇が起きるまでは、日本経済はこんな状態で生き長らえてゆくのかも知れません。
まとまりが無い内容ですが、雑感まで。