人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

経済指標に踊らされる事なかれ・・・構造的原因は放置プレー

2014-02-18 03:44:00 | 時事/金融危機
 

■ 10-12月期のGDPが低い伸びに ■

昨年7月から景気が中折れしている事は、景気に敏感な私の様な商売をしていると自分の仕事量でだいたい分かるのですが、やはり10-12月期のGDPの伸び率も実質1%と低かった様です。

GDPの伸び率を抑制したのは外需の不調。アメリカの景気が思いの他悪かったというのが原因の様です。一方、内需は個人消費も含めて比較的堅調と報じられています。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL170GC_X10C14A2000000/?dg=1
日経

■ 構造的制約がある限り景気回復は限定的 ■

日経の記事はいつもピントがズレています。

1) 個人消費を押し上げているのは消費税前の駆け込み需要
2) 大規模な財政出動と駆け込み需要で雇用が改善している
3) 上記の雇用完全は期間限定であり、4月以降は駆け込み需要の反動が来る
4) 財政出動による雇用回復も期間限定である、財政を縮小すれば消える

こういう前提条件に敢えて言及せずに、「雇用の回復が~」と書かれても・・・。
現在の日本経済の停滞は構造的問題が大きいので、これが改善しない限り「気分」で経済が回復するのにも限界があります。

■ 日本と同様の問題を抱えるアメリカ ■

外需の伸び悩みはアメリカの景気の伸び悩みが原因とされていますが、米経済と日本経済の低調な理由は同じです。

アメリカ企業はリーマンショック後、大幅なリストラによって固定費を削減して業績を回復しています。その反動で一時期失業率が上昇しましたが、最近では失業率は改善して来ています。

しかし、問題は労働の質にあり、所得の高い仕事から、所得の低い仕事へのシフトが大規模に発生しています。これは、日本の非正規雇用の増加と同様に、平均所得を押し下げる結果となっています。

当然、雇用が改善しても消費はあまり改善せいず、米実体経済の回復は限定的です。経済に強いデフレバイアスが掛かっているのです。この原因は、リーマンショックでは無く、グローバリゼーションによる世界的な賃金の均衡化にあります。

リーマンショック以前の米住宅市場がバブルであり、それによって生み出された大量の債権をレバレッジによって何倍にも膨れ上がらせた金融市場が異常だったのであり、アメリカの実体経済はバブルを無視するならば、早かれ遅かれ現在の状況に至っていたと思われます。

■ 経済成長では無く、コストプッシュインフレという悪性のインフレが進行する ■

日本もアメリカもインフレ率はプラスです。
実体経済の基調は「デフレ」ですが、日本においては円安とエネルギーコストの値上がりがインフレ率を底上げしており、アメリカにおいても原油価格の上昇がインフレ率を底支えしています。(原材料費の値上がりは、コアコアCPIを押し上げます)

日本の報道機関はインフレ率のプラス変換を、「デフレ脱却」と持ち上げていますが、庶民は所得が増えないのに物価が上がっている事に薄々気づいています。

要は「悪性のインフレ=スタグフレーション」が始まっており、中央銀行の緩和政策はデフレよりもたちの悪い結果を生み出しつつあります。

■ 日銀の追加緩和の大合唱が始まっている ■

成長力の非常に弱い世界経済を支えているのは、中央銀行の供給する緩和マネーです。これが減少に転じると、危うい所で踏みとどまっている現在の世界経済は一気に悪化します。

FRBがテーパリングを開始した状況で、それに代わる資金供給源として日銀とECBに期待が寄せられています。

多分、消費税増税後には日銀は大規模な追加緩和を与儀無くされるかも知れません。しかし、その資金は金利差によって国外に流出し、日本の景気を回復させる事は難しいかも知れません。

ただ、円を手にしたGSなどの外資が、東京で不動産バブルを演出する可能性は非常に高いと思います。ただ、これも株式同様に、日本のお金が不動産市場に流入して来たら、彼らは利益を確定して手じまいとなるでしょう。

こうして、しばらくはプチバブルによって、実体経済の悪化は見えにくくなります。人々が何だか変だなと感じ始める頃には手遅れなのでしょう・・・・。

マスコミは「景気の気」を刺激する役割を担っているので、「景気回復が偽りである」とは間違っても書けません。ただ、アベノミクスを手放しで褒めているとソロソロ危ないという彼らの嗅覚が働き始めている様に感じます。

大雪やオリンピックのニュースに国民は夢中ですが、「アベノミクスに世界が飽きはじめた」というキャンペーンがロイター当たりが初めています。ピリピリした空気が市場に充満し始めている・・・次は何処の時点で日本株が売られるのか?

市場は日本株に圧力を掛けて、日銀の追加緩和を引き出そうとしています。FRBやECBの方針によっては、まだまだ日本にプレッシャを掛けて来るのでは無いでしょうか。