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「資源」と「食料」と「人口」は古くて新しい問題・・・現代の優生学

2014-05-09 04:14:00 | 時事/金融危機
■ 「ローマクラブ」の鳴らした警鐘 ■

「人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって、すでに半世紀が過ぎていた。」というナレーションで始まるのは『機動戦士ガンダム』でした。この作品が放映されたのは1979年です。

この時代、日本は高度成長期にありますが、経済発展に伴う公害や環境破壊が社会問題化した時代でもあります。同時に第一次、第二次石油ショックを経験し、「資源の枯渇」を強く意識していた時代でもありました。

実は「人口増加」や「資源の枯渇」を世界的に最初に警鐘を鳴らしたのは1968年の「ローマクラブ」でした。

wikipediaからその沿革を抜粋します。

イタリア・オリベッティ社の会長であったアウレリオ・ペッチェイ(Aurelio Peccei)[† 1]とイギリスの科学者で政策アドバイザーでもあったアレクサンダー・キングが、資源・人口・軍備拡張・経済・環境破壊などの全地球的な問題に対処するために設立した。世界各国の科学者・経済人・教育者・各種分野の学識経験者など100人からなり、1968年4月に立ち上げのための会合をローマで開いたことからこの名称になった。1970年3月に正式発足。1978年にFEMAを設立。「環境保護主義者」を動かしているのはローマクラブの代表機関であるアスペン研究所であり、彼らがアトランティック・リッチフィールドやその他の大手石油会社から莫大な資金援助を受けている。

ローマクラブは『成長の限界』という薄いレポートを1972年に発表し、石油は後15年で枯渇すると発表します。

ローマクラブは善意の有志を装っていますが、その出資者が石油資本である事からも、石油う資源の有限性を強調する事で、原油価格を高値で安定させる目的を持っていたのではないかと疑われます。

アメリカは1971年8月のニクソンショックでドルの金兌換を停止しましたが、それでもドルが信用を保つ事が出来たのはドルが石油の決済通貨だったからです。そして、1973年と1979年に中東戦争を切っ掛け発生したオイルショックによって、原油価格は10倍に跳ね上がりドル需要を支えるました。

これらの一連の事象に先だって、「石油資源はいずれ枯渇する」と警鐘を鳴らしたのが「ローマクラブ」でし。

ローマクラブの警鐘は、サミュエル・P・ハンティントンが1996年に発表した『文明の衝突』がその後イラク戦争を正当化させた様に、「石油ショック」の下地を作ったとも言えます。

■ 「ローマクラブ」の警鐘はウソでは無い ■

ローマクラブは「石油は後15年で枯渇する」と発表しましたが、それから44年たった現在でも石油は枯渇していません。

では、ローマクラブが嘘をついたのかと言えば、彼らは当時の真実を語っています。資源の採掘限界年数はR/P比で示されます。

R/P比 = 埋蔵量(Reserves)/生産量(Production)

当時確認されていた採掘可能な埋蔵量を当時の生産量で割った結果15年という年数が産出されました。しかし、その後新たな油田が発見されたり、それまで採掘が不可能であった海底の油田が採掘可能となる事で推定埋蔵量は増大して行きます。

最近では、原油価格が70ドルを越えているのでオイルサンドや新海油田、シェールオイルなども産出コスト以上の値段で売れる為に開発が盛んになっています。この様に産出可能な石油資源の量は年々増えるので、石油のR/P比の分子は年々大きくなり、経済成長によって拡大する分子とバランスし続け、結局はR/P比は40年程度で安定しています。

しかし、どこかの時点で産出可能な原油の埋蔵量は確実に減少に転じます。そうなれば、R/P比は減少に転じ、どこかの時点で石油資源は枯渇します。

■ 食料生産のボトルネックとなるリン鉱石の枯渇 ■

「食料危機が来る」と言われて久しくなりますが、食料危機は訪れていません。それは化学肥料と収量の多い改良品種の普及で、世界の食糧生産が拡大しているからです。

しかし、食料生産を支える化学肥料に含まれるリンの生産限界が最近話題になっています。リン鉱石は古代の生物の化石や鳥の糞の堆積が鉱床を形成しているものと、火山性の無機リンの鉱床が存在します。

このリン鉱石のR/P比は60年~130年と推定されます。これは現在採掘可能な推定埋蔵量と、現在の消費量から産出されているので、原油同様に新たな鉱床が見つかれば、年数は伸びて行きます。

何れにしても、将来的にはリン鉱石の枯渇が食料生産のボトルネックになる可能性があります。

■ 増え続ける人口と、増え続ける消費 ■



http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1151.html より

上のグラフは世界の人口推移の予測です。現在の世界の人口は72億人と言われていますが、私が小学校6年生の頃は(今から35年前)37億人だと社会科で習いました。世界の人口は35年間で倍増しています。


http://www.iae.or.jp/publish/kihou/28-2/09.html より

上のグラフは石油の消費量予測です。
上記サイトから設定条件を引用します。

れはあくまで毎年2%で需要が伸び,且つ円滑な供給がなされた場合を想定した生産予測で,世界の石油可採年数(R/P)が10年を切る2037年で,世界的な危機意識が高まり,R/P=10年を維持するために,消費量の制限が行われ,需要の急速な減退を見せるというシナリオである。今ひとつの円滑化されたカーブは,ほぼ類似のシナリオながら,2030年にピークを打ち,それ以降は年率5%で減退するというものである。
 世界の石油資源量を3兆バレルとした米国地質調査所(USGS)の評価は,いわゆる資源楽観論の代表的なもので,IEA,EIAはじめ多くの公的機関が採用している見解であり,各国政府もこれをほぼ前提とした政策を立案しているものと解されている。


石油から原子力や自然エネルギーへの代替えも進んでいますが、一方で途上国の経済成長はエネルギーや資源の消費を拡大します。

自然エネルギーや再生可能エネルギーも革命的な技術革新な無ければ、石油を代替えする程の供給量を確保出来ません。

この様に、世界の人口が増え続け、資源が有限である限り、50年、100年後には地球の資源は枯渇して行きます。

現在は「資源」よりも「需要や市場」が不足している世界経済ですが、長期的には「資源」の不足が経済成長の足かせとなり、同時に資源争奪が世界の平和を不安定化させます。

■ 人口抑制と優生学 ■

人口が過剰である事への恐れは多分第二次世界大戦前には生じていたのかも知れません。ナチスドイツの優生学研究にロックフェラーが出資してい様です。

戦後は、プエルトリコで強制的な不妊手術が行われたり、或いは女性の権利を守る名目で、ブラジルの黒人女性への不妊手術の普及が試みられてたりしています。

WHOがかつてフィルピンで行ったは破傷風の予防接種は、何故か生殖適齢期の14才から45歳までの女性だけに3年間に5回ものワクチン接種が予定されました。このワクチンには妊娠のために必要なホルモンの一部分β-HCGを含が含まれました。 このβ-HCGは抗体生産を刺激し、女性の卵子が受精したときに彼女自身の自然のHCGを抗体が攻撃する事で不妊化を実現する効果があると疑われています。

この様に、戦前、戦後を通して公に、或いは秘密裏に「優生学」的思想によっる断種や不妊化が実施されて来ました。「優生学」は「劣等」な遺伝子を絶やす事で、「有良」な遺伝子のみを残すという思想で、現代では否定される考え方です

しかし日本でも1996年まで『優性保護法』という名の法律が存在しました。これは戦前の1940年(昭和15年)の国民優生法(断種法)に端を発し、戦後は1948年に『優性保護法』という名称で施行されます。基本的には、遺伝的に問題のある胎児の堕胎の規則を定めた法律ですが、『優生保護法』という名称には「優生学」の名残が見られました。「優生学」事態が社会からマイナスイメージを持って見られる様になったので、1996年に『母体保護法』という名前の法律に改正されています。

「優生学」は戦前は「選民意識」や民族としての「優越意識」を反映していましたが、戦後は人口抑制的な目的に変化していたのではないでしょうか。途上国は人口が多く、それら貧困を生み出していると考えられているので、途上国の人口抑制の為の避妊が公然と行われていました。

私がワクチンに疑念を抱くのは、WHOにこの様な疑惑が付きまとう為で、新型インフルエンザワクチンや、子宮頸がんワクチンなど「あまりに不自然なワクチンのキャンペーン」には何か良からぬ仕掛けが隠されているのではないかと邪推してしまいます。

■ 実は豊かさこそが最大の人口抑止策だった ■

少子高齢化が深刻な社会問題化する日本で、「人工が増えている」という実感は得にくいと思います。日本に限らず、韓国や台湾、中国といったアジアの諸国が今後、日本を上回るペースで少子高齢化時代に突入します。

これらの国で人口増加が鈍化した原因は「生活が豊かになった事」です。農業を中心とした社会では「人=労働力」でしたから、「子供が多い=労働力が居多い」という関係にありました。しかし、工業化によって労働生産性が高まると、人口が必ずしも豊かさとイコールでは無くなりました。

工業化が進展し、さらに高度なサービス業が発達すると、教育による所得格差が広がります。人々は自分の子供に高度な教育を受けさせたいと望みます。一方では現在の生活水準を維持したいと望むので、子供の数か一人か二人になるケースが増えて来ます。

医療の発達で乳幼児や児童の死亡率が低下した事で、バックアップとしての子供が不要となった事も出生率の低下に貢献しました。

この様に、生産性の向上した社会では、豊かさの実現によって人工が減少します。

■ 一人当たりの消費資源量は豊かさと共に拡大する ■

一方、豊になれば一人当たりの資源やエネルギーの消費量が拡大します。



http://www.yonden.co.jp/life/kids/museum/energy/world/004.html より

中国はアメリカの4倍の人口を抱えますが、2010年の一人当たりのエネルギー消費量はアメリカの1/3.5 程度です。

今後、中国がさらなる経済発展を続けると、一人当たりのエネルギー消費量は拡大して行きます。資源消費も拡大しますから、新興国が豊になる事によって、世界のエネルギーや資源のい需給バランスは今後大きく変わる可能性が有ります。

■ 古くて新しいローマクラブの提言と成長の限界 ■

現在の世界は過剰生産性を抱えているので、足りないのは需要です。リーマンショック以降、世界経済の低迷によりこの傾向が堅調になっています。

一方、遠く無い将来、新興国の経済成長によって需要か拡大しますが、資源や食糧の量が供給のボトルネックとなる可能性は低くはありません。

ローマクラブが『成長の限界』を発表した当時は、多分に石油価格の操作という裏の目的が見え隠れしましたが、今後世界は資源によって『成長の限界』を味わうかも知れません。

■ グローバリズムと新興国の発展とは何だったのか? ■

冷戦終結後、世界はグローバリズムという名の元に成長を加速させました。かつて発展途上国と呼ばれた国々は、先進国からの技術と資本の移転によって「新興国」と呼ばれる様になります。それと同時にそれらの国の平均的な生活れレベルが向上し、無節操な人口増加にブレーキが掛かりました。

しかし、さらなる世界経済の成長は、資源の枯渇により限界を迎えるかも知れません。その過程でかつては資源争奪戦争が発生しました。

はてさて、世界の経営者は同じ道を選択するでしょうか・・・?
私はブロック経済圏によって成長を鈍化させる試みが始まるのでは無いか予測しています。
世界を幾つかの経済圏に分ける事で、成長をコントロールする時代が来る・・・。

何となく昨今の世界の動きを見ていると、しばらく忘れられていた「成長の限界」という言葉を思い出してしまいます。